七條氏は10年D2位で入団、プロ通算56試合登板で8勝を挙げた ヤクルトの1軍春季キャンプは、今年も沖縄県浦添市の浦添市…
七條氏は10年D2位で入団、プロ通算56試合登板で8勝を挙げた
ヤクルトの1軍春季キャンプは、今年も沖縄県浦添市の浦添市民球場で行われている。キャンプも2クール目に入り、いよいよ実戦練習が本格化しつつある。
朝からメーングラウンドで忙しく動いているのが、1軍サブマネージャー兼打撃投手の七條祐樹氏だ。七條氏は宮崎県立延岡工業高校、日産自動車九州、伯和ビクトリーズを経て2010年ドラフト2位でヤクルト入り。2015年まで現役を続け、通算56試合に登板、8勝5敗、1セーブ2ホールド、防御率4.52をマーク。引退後に現職に就いた。
――打撃投手になったきっかけは?
七條氏「戦力外通告を受けた時に、球団からすぐに声をかけていただいて。その時点では現役を続行して他球団で、とも考えましたが今後の野球人生を考えても長くないかなと。家族とも相談して球団にお世話になることにしました」
――具体的にはどんな仕事を?
「シーズン中は試合前に打撃投手として野手に投げるのが基本。それと用具の準備などでマネジャーをサポートしています。春季キャンプでも同じですが、人数を確認してタクシーに選手を送り出したりするのも僕の役割です。そしてボールなどを準備して打撃練習では投げています。ティー打撃でボールを上げたりもしています」
――打撃投手として気を付けていることは?
「やはりストライクをたくさん投げて、打者に気持ちよく打ってもらうのが基本です。そのためにはボールにぶれが生じないようにしなければなりません。バッターは、その日の調子で注文することがあります。それにいかに応えるかということを考えています。バッターには一定の傾向があって、ちょっと強めの速い球がいい選手とか、ちょっと遅めがいいとか、どの辺のコースがいいとか、それぞれ好みがあるので、その辺は自分でもいかに要望に応えるかを考えています」
――一日にどれくらいの球数を?
「春季キャンプでは100球を少し超えるくらいだと思います。シーズン中は人数にもよりますが、多く投げるタイプだったので120球くらい投げることもありますね」
――それを毎日続けるわけですね? 肩の消耗はあるんじゃないですか?
「僕は年に3回くらい疲れが来るんですが、そういうときでも極力投げるようにしています。コーチは『きつかったら言ってくれ』と言ってくれるのですが、仕事なので。バッターも同じ打撃投手が投げるほうがいいので。これも信頼関係ですね」
昨季は青木、バレンティン、山田哲、雄平ら主力野手を担当した
――特定の打者に投げるのですか?
「キャンプ中はそういうことはないですが、シーズンが始まると決まってきます。昨年は青木宣親さん、山田哲人、バレンティン(現ソフトバンク)、雄平、それにシーズン当初は坂口智隆の各選手が僕の担当でした。あとはレギュラー捕手ですね」
――主力打者ばかりですね
「打撃コーチの依頼もあって投げさせてもらっているので、光栄に思っています」
――体を使う仕事ですから、手入れも必要だと思いますが?
「毎日時間を見つけてトレーニングをしたり、ストレッチをしたりしています。全体的にバランスよく鍛えています。あまり鍛えすぎて、球質が変わっても困りますので。速すぎても遅すぎてもダメ、というところがあるので。人間なので多少の誤差も、その日の良し悪しもありますが、その誤差を小さくすることですね」
――今後についてはどのように考えていますか
「まずユニフォームを着ていたい。少なくともあと5年は今のようにトレーニングをしながら投げるのが目標です。長い目で見れば、あと10年は投げたいと思っています」
七條氏は9日も青木宣親、雄平両外野手に投げていた。プロ野球球団はこうした強いプロ意識を持つスタッフによって支えられているのだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)