写真:埼玉大学卓球部メンバー/提供:埼玉大学卓球部スポーツ推薦で高校卓球界のスターが続々と入部する私立大学、特に関東学生リーグ1部、2部の大学には全国クラスの卓球エリートが集う。一方でほとんどの国公立大学ではスポーツ推薦はなく、卓球エリート…

写真:埼玉大学卓球部メンバー/提供:埼玉大学卓球部

スポーツ推薦で高校卓球界のスターが続々と入部する私立大学、特に関東学生リーグ1部、2部の大学には全国クラスの卓球エリートが集う。一方でほとんどの国公立大学ではスポーツ推薦はなく、卓球エリートが入学してくることは多くはない。

関東学生リーグ3部でも全国出場選手を擁した私立大学が多くを占め、12校中国公立大学は東京大学、埼玉大学、群馬大学の3校のみだ。

そんな中、今、埼玉大学卓球部が勢いに乗っている。男子は2019年秋リーグで創部史上初の3部2位と関東の国公立大学の中では最上位に入り、目標の2部昇格にあと一歩と迫った。

今回は、そんな関東国公立大学の雄・埼玉大学の練習に潜入し、強さの源に迫った。

埼玉大学卓球部を支える圧倒的練習量




写真:埼玉大学卓球部の目標/撮影:ラリーズ編集部

埼玉大学卓球部は、関東学生リーグで現在男子は3部、女子は4部に所属している。練習場には6台ほどの卓球台が並べられ、集中して練習に励む部員の姿が見られた。

「他大学との違いは練習量」と丸岡信太朗主将(2年)が語るように、平日は毎日16時40分~20時まで、土曜日は9時40分~13時までの週6回の規定練習が強さを支えている。

様々な誘惑のある大学生活の中で、週6回の豊富な練習量をこなし、私立大学とも互角の勝負を繰り広げる。結果、男子は9期連続で3部リーグに残留し、順位も直近の2019年春は3位、秋は2位と上位に進出している。

全国国公立大学卓球選手権(以下、全国公)でも、男子は2年連続ベスト8、女子もベスト16に入るなど着実に成績を残し続けている。

黄金期を支えるメンバー




写真:練習中の埼玉大学メンバー/撮影:ラリーズ編集部

現在、創部以来最高成績を更新し続けている男子は、3年生のシェーク裏表の川村祐太、全中出場経験のある四辻明大のツインエースを中心に勝ち星を積み重ねてきた。

秋リーグでは川村が3勝0敗、四辻4勝1敗、川村/四辻ペア3勝2敗と3年生コンビがチームを牽引した。加えて、1年生でペン粒の鈴木正人、2年生のドライブマン岡部寛悟が脇を固める。




写真:2年生のドライブマン岡部寛悟/撮影:ラリーズ編集部

関東の国公立大学の中では最上位と、埼玉大学卓球部はスポーツ推薦組を除いたカテゴリーの中では一番強いと言っても過言ではない。

日本卓球協会によると、中学生で約17万人いた登録者も、高校の部活に所属する高体連には7.6万人、大学の部活に所属する日学連登録者は約7,500人まで少なくなってしまう。年代ごとにプレーする人数が減少していく中、埼玉大学は一般入試で入ってきた学生のみで構成されながらも実力者揃いのチームとなっている。

積極的な発信が生んだ好循環




写真:練習中の丸岡主将/撮影:ラリーズ編集部

丸岡主将は「前主将の四辻さんがいろいろ発信もしていて、自分たちも発信や勧誘を頑張りました」と粒揃いのメンバーが入部した理由を明かしてくれた。

言葉通り、公式Twitterで部活紹介動画をアップしたり、入試に関する質問に丁寧に答えたりし、積極的な発信を繰り返している。

2019年12月には、T.T彩たまのホームマッチ2連戦でボランティアした内容も投稿しており、埼玉大学ならではの魅力を世の中に向け伝えており、現在フォロワーも2000人を越えている。

前主将の四辻に聞くと「1年生の冬に疲労骨折し部活に行けなくなり、部活になにか貢献できないかと部活紹介動画を作りました。その動画の反響が大きかったのがきっかけです」と怪我の功名とも言えるこの活動が今の埼玉大学を支えているという。

「今の男子の1年生は6人いますが、6人中3人は埼玉大で卓球をしたくて受験してくれました。卓球部が目的で大学を決めてくれるのはとても嬉しいです。他にも、パラ五輪の日本代表候補や、埼玉県トップクラスの小中学生も練習に参加してくれます。中学・高校の部活からも講習会や練習試合の依頼を年に5回くらい受けるようになりました」。

積極的な発信が選手の入部やハイレベルな練習環境に繋がり、特徴である練習量の多さから部自体が強くなり、より発信が増えまた強くなるという好循環が、現在関東国公立最強の埼玉大学の強さの源となっているのだ。

全国出場の卓球エリートたちに挑み続け、今では2部目前にまで迫る埼玉大学の戦いに注目だ。

取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)