北海道日本ハムファイターズ・平沼翔太がゼロからのショート挑戦を始めてから丸4年が経った。高校時代(敦賀気比)は、1年時から類まれな打撃センスを見せ、主に外野手としてスタメンを張った。3年になると、4番・エースとして春の甲子園で優勝を達成。



5年目の今季、ショートのレギュラー獲りを狙う日本ハム・平沼翔太

 そんな平沼が、プロでは打者1本で挑戦することを入団前に公言し、未経験のショートで4年間奮闘してきた。だが、予想以上にエネルギーを要した4年間だった。

「最初の1年は光の見えないトンネルのなかにいたというか……何もできない1年でした。でも4年間を終えて、ようやく光が見えてきたかなという感じです」

 ちょうど4年前の今、ショートのノウハウを学びながらプロ1年目のキャンプで泥にまみれていた平沼は、「やっぱり無理かも……」と早くも限界を感じた時があったという。

 周りはショートとしてキャリアを積んだ選手ばかり。未経験の自分がかなうわけがない。どこまでやっていけるのだろうかと不安しかなかった。ネガティブな言葉しか頭に浮かばず、下を向いていたが、徐々に開き直るようになった。

「やれることをやって、無理だったらしょうがないかなと。とにかく、自分のやるべきことを必死にこなすようにしたら、考え方が変わっていって、少しずつ一軍が視野に入ってきたんです」

 2年目のシーズンが開幕すると、早々に一軍に上がり、4月20日のオリックス戦で代打としてプロ初デビューを飾った。結果は三振に終わったが、すべてが”予想外”だった。

「二軍ではそこそこ打てていましたが、こんなに早く一軍に上がれるとは思わなかったんです。一軍と二軍は雰囲気そのものがまったく違っていて、正直、一軍では自分がひとりでポツンといるような感じでした。それだけにまだ早すぎるような空気がありました。なにより、あの年は(一軍で)まったく打てなかったですし(8打数無安打)。打てるイメージも湧きませんでした」

 守備は急にうまくなれないから、まずは長所であるバッティングでアピールしていこうと意気込んだが、まったく通用しなかった。だが、一軍を経験できたことで自分のやるべきことが明確になった。

 3年目の6月、ヤクルト戦で悲願のプロ初安打をマーク。4年目の昨年にはスタメンで起用される機会が増え、7月26日の西武戦ではプロ初本塁もマーク。目指しているものが徐々に形になってきた。

 2019年のオフからチームの先輩である近藤健介に誘われ、一緒に自主トレーニングを行なうことになった。今では「ひとりでポツンといるような感じ」はない。平沼のなかに一軍の世界が身近に感じられるようになった。

「昨年までは、ただがむしゃらにやれることをやってきました。今年はがむしゃらにやりつつも、周りをしっかり見て結果を残す。常にレギュラーを獲る気持ちを忘れないようにしたいです。今年レギュラーを獲れないとズルズルいってしまいそうなので、危機感はあります。とにかく、今年は貪欲にやっていきたいです」

 昨年はサードも守ったが、今年はショート1本で勝負に出る覚悟だ。だが、課題はまだ山積みだ。

「一軍でプレーするために最低限のものは身につけてきたと思いますが、今の守備力ではまだ打つ方でカバーしていかないといけない。もちろん、打撃もまだまだ欠点があるので改善していかないといけないんですけどね。低めのボール球にどうしても手が出てしまうので、バットの軌道を見直しているところなんです」

「やっぱり無理かも」から始まった平沼の挑戦も、ついに答えを出すシーズンとなった。ひたむきに走り続けてきた4年間を土台に、一軍での飛躍を誓う