昨年のトラックシーズンは納得のいく結果を出せなかった中谷雄飛(スポ2=長野・佐久長聖)だが、駅伝シーズンにかけて本来の強さを取り戻し、箱根(東京箱根間往復大学駅伝)では2年連続でスターターの役を担った。昨年の反省を生かし、積極的にレースを動かした今大会を振り返り、何を語るのか、また今後のトラックシーズンについてどのような展望を描くのか。

※この取材は1月22日に行われたものです。

「勝負する以上、勝ち切らないといけない」


インタビューに答える中谷

――箱根が終わってからはどのように過ごしましたか

 1月3日に箱根が終わって、次の日から都道府県対抗駅伝(全国都道府県対抗男子駅伝競走)の長野県チームの合宿があったので、8日まで一次合宿をやって11日から12日まで最終調整の合宿をやって広島入りという流れです。

――疲労はありましたか

広島のレースの時は特に疲労はなかったです。箱根が終わってから2日間ぐらいは全身疲労があって少し動けませんでしたね

――全国男子駅伝について、タスキをもらった時はどのようなきもちでしたか

6区でトップに立つというのが、チームとしての理想的な展開と考えていた上で、その通りに来てくれて、去年は自分のところで順位を上げられなかった分リベンジしたいという思いをもって走り出すことができました

――後半にはギアを入れ直したように見受けられましたがいかがですか

そうですね、前半ある程度のペースで入って後半勝負だと思っていたので、意識的に後半ペースを上げられるようにしていました

――ゴールテープを切ったときの気持ちはいかがでしたか

本当に感無量というか、ゴールテープを切りたいという思いは前もってあったのですが、まさか本当に実現するとは思っていなかったので、本当にうれしかったです。長野県の監督やスタッフ、県民の皆様の多くの応援があって優勝できたのかなと思いました。

――ご自身の区間タイムもかなりの好記録でしたが

タイムとしてもまさか37分20秒を切れるとは思っていなかったので、ある程度納得するものが出せましたし、昨年は相澤選手とだいぶ差があったのですが、今回はかなり差が少なくてかつ力のある実業団選手に勝つことができたのは非常に良かったと捉えています。

――箱根についてお聞きします。集中練習が終わってからの調整期間はいかがでしたか

集中練習がいいかたちでできていた分のダメージが箱根5日前から来ていました。内臓的な疲労が出ていたので、その期間は走れる範囲で走って疲労を抜きつつ試合に合わせていったというかたちです。

――1区出走が決まったのはいつですか

12月31日の午後でした。

――その経緯を教えてください

元々1区か3区を希望していましたし、監督(相楽豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)も同じ考えでした。監督と話したときに特にこだわりはなく、どちらでも行けるということを伝えたら、1区という指示が下ったという感じです。

――監督からの指示はどのようなものでしたか

昨年は不完全燃焼、最後まで出し切れたレースではなかったことを踏まえて、ペースが遅かったら自分から動けという指示でした。

――狙っていたタイムはありましたか

いえ、狙ったタイムというものはなく、昨年を超えられればいいかなと思うぐらいでした。

――先頭を引っ張っていたときはどのような気持ちでしたか

案外ペースが良かったので調子がいいなと感じていました。その反面、なかなか後ろの選手が離れず精神的にきつい時もありました

――余裕があったのはどこまでですか

15キロぐらいまでだったと思います

――六郷橋あたりで先頭から離れてから、中継所までの走りに関しては振り返っていかがですか

六郷橋で仕掛けられたらきついなと感じていました。そして、誰かが仕掛けるなというのは予期していたのですが、それでも離れてしまったのは単純に力不足だったと思いました。しかし、先頭から離れた後、高校時代の恩師である高見澤先生などの応援などにより、もう一回気合が入り最後まで粘り切れたかなと思います。

――自身のタイムに関してどのように評価しますか

想像よりもタイムは良くある程度は納得のいく結果ではありました。昨年とは違い、自分の持ち味も出せ、最後までやり切った感じはあったので少し達成感もありました。ただ、区間順位が6番というのはまだまだだなと。勝負レースである以上、ペースは速くても順位は追い求めていかなくてはならないと思います。

――タスキを渡す時、太田智樹駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)から声を掛けられましたか

あまり覚えてないですけど、労ってもらった気がしています(笑)。

――昨年と比較して成長した点は

全体的に押していけるペースが速くなった点と最後まで意識を向けることができた点が成長したと思います

――10区間トータルで考えたときご自身の走りをどのように評価していますか

最低限の流れはつくれたかなと考えています。

――走り終えた後はどのように応援していましたか

千明(龍之佑、スポ2=群馬・東農大二)と一緒に回って、直希(太田、スポ2=静岡・浜松日体)の区間を応援に行きました

――チームの結果に関して思うところはありますか

3位という目標を考えると喜べない、またこんなところで勝負しているチームではいけないな、と感じました。しかし、あの状況のなかではベストを尽くした結果だったと思います。

――箱根駅伝全体を見たとき、刺激になったことはありますか

1区で2人の同級生に負けたことはぼくにとって刺激になりましたし、一学年下の田澤(廉・駒沢大1年)が3区でものすごい走りをしたのも、仲がいい分刺激になりました。

――終わった後監督とはどのような話をしましたか

今のままのチームでは勝負できない、次の三大駅伝を見据えたときに今のチーム状況ではトップは目指せないというのを感じていて、変わらないといけないのではないかと自分の思いを伝えました。

――自身の走りについては

レーススタイルに関しては評価していただいたのですが、やはり、勝負する以上勝ち切らないと、という話はしました

日本選手権で勝負を


スピードのある選手が揃った1区で、臆さず積極的にレースを進めた

――駅伝シーズンを経て、「トラックで勝負する」という信念に変わりはありますか

いえ、駅伝は駅伝、トラックはトラックという思いは変わらないです。ここ2シーズン駅伝の結果はよくてトラックシーズンが良くないというのが続いているので今年は駅伝以上に結果を出したい、より一層時間を注ぎたいなと思っています

――あまり合流していないと思いますが、チーム内ではどのように練習されていますか

ほとんど長野県チームでやっていたのでそこまでポイント練習をやったりはしていないけれど、どちらかというと自分の感覚に合わせてポイントを自分で組み立てて、相楽さんと相談しながらやっています。

――今後の予定を教えてください

 2月16日に早大記録会があってそこの1万メートルで、ペースメーカーも付くので28分20秒切りを目指していきたいです。また、その1週間後に福岡クロカンもあるので自分のコンディションなどによりどちらか1本というかたちになるのですが、いまのところは早大記録会の方に出ることを考えています

――トラックシーズンで特に狙っている試合、記録はありますか

日本選手権の5000メートルと1万メートルに出場して勝負したいというのが一番にあります。タイムとしては分13分30秒台を出したい、1万メートルでは28分13秒を一つの目標に据えてやっていきたいです。

――その目標に関してどのようにアプローチしていきますか

なるべく前半シーズンは大事な試合に絞って、残りの期間で下地をつくっていきたいです。自分の感覚を大事にしてその時に合ったポイント練習を積んでいくだけかなと思います。

――ちなみに今年もケニアには行かれるのですか

都道府県対抗駅伝が終わってからゆっくりと考えようと思っていたのでこれからまた考えていくことになると思います。行く場合、レベルの高い選手がたくさんいるので食らいついて自分の力をよりつけていきたいと思います。ケニアにいくと選手の覚悟などの気持ちの強さを感じることができるのでより自分を高めることが出来るのかなと思います。

――最後に次の駅伝シーズンに向けて意気込みをお願いします

どの試合も全力で走ることに変わりはないですし、今年こそは区間賞を目指したいと思います

――ありがとうございました!

(取材・編集 青山隼之介)

◆中谷雄飛(なかや・ゆうひ)

1999(平11)年6月11日生まれ。169センチ。長野・佐久長聖高出身。スポーツ科学部2年。自己記録:5000メートル13分45秒49.一万メートル28分50秒77。2019年箱根駅伝1区1時間2分42秒(区間4位)。2020年箱根駅伝1区1時間1分30秒(区間6位)。