19日、ソフトバンクはオリックスとの今季最終戦を3-3の引き分けで終えた。延長12回、今季チーム最長の4時間58分におよんだドロー劇。ソフトバンクは野手全員を使い切った。■指揮官はベンチに雰囲気に手応え、「こういうゲームをしてくれたことをう…

19日、ソフトバンクはオリックスとの今季最終戦を3-3の引き分けで終えた。延長12回、今季チーム最長の4時間58分におよんだドロー劇。ソフトバンクは野手全員を使い切った。

■指揮官はベンチに雰囲気に手応え、「こういうゲームをしてくれたことをうれしく思う」

 19日、ソフトバンクはオリックスとの今季最終戦を3-3の引き分けで終えた。延長12回、今季チーム最長の4時間58分におよんだドロー劇。ソフトバンクは野手全員を使い切った。

 先発の中田賢一が初回に3ランを浴びたが、その後は粘りの投球。7回途中からは、森福允彦、五十嵐亮太、スアレス、岩嵜翔とつないだブルペン陣がオリックスに得点を許さなかった。ソフトバンクは4回と6回に1点ずつをあげ、9回裏2死から中村晃の適時打で追いついた。

 試合後の工藤公康監督は、さすがに疲れた表情で会見場へ。真っ先に、12回表に迎えた1死満塁の大ピンチの場面について語った。

「岩嵜くんは自分で満塁にはしたが、T-岡田くんに対して開き直ったピッチングができた。拓也くんも痺れるような場面でマスクを被ってリードしたことで、いい勉強になったと思う。(2人とも)自信にもなっただろうし、またひと回り大きくなってくれたら」

 12回はサファテの投入も考えられたが、工藤監督は11回から投げた岩嵜の続投を選択した。

「日本ハム戦に(サファテを)万全の体調で、という考えもあった。今年は先発もリリーフもこなして成長しているし、いい安定感を出しているので岩嵜くんにいってもらった。まさか12回にあんな展開になるとは思わなかったけどね(笑)」

■ゲーム差なしの首位で天王山、工藤監督「2試合で終わるわけじゃないから」

 その後、「確かに今日も勝ちたかったけど」と語ったうえで、9回2死の土壇場からの同点劇や延長に入ってからのベンチの雰囲気を、指揮官は前向きに捉えた。

「ギリギリの試合の中で、ベンチが一丸となっている姿を後ろから見ていた。(選手たちが)こういうゲームをしてくれたことをうれしく思う。(引き分けは)よく凌いだんじゃないかと思うし、リードされていたのを自分たちで追いついたわけだからね。勝ちたかったが、よく引き分けてくれたと思う」

 これで2位の日本ハムとのゲーム差はなし。わずかな勝率の差で首位のまま21日、22日の天王山を迎えることになった。

「まだ明日1日あるから、その時になって考えます。初戦は大谷くんが来るんでしょ? しっかり対策を取って、打って勝てるようにね。(首位で迎えることについて)仮に2位でも勝てば1位になるし、その2試合で終わりじゃないからね。一喜一憂というのはあるかもしれないが、最後までみんなで力を合わせてやることが大事」

 日本ハムが勝ったことで、数字上は“半歩後退”した形となるドロー劇だったが、むしろ“半歩”で済んだことを前向きに捉えるべきだろう。2回以降11イニングを凌ぎきった投手陣の粘りと、9回に見せた打線の意地。それは日本ハム戦に向けて、きっと大きなプラス材料となるはずだ。
 
藤浦一都●文 text by Kazuto Fujiura