ドイツ杯3回戦、ブレーメンがドルトムントを破り、準々決勝進出を決めた。昨年末にはリーグ戦で4連敗。年が明けると初戦でデ…

 ドイツ杯3回戦、ブレーメンがドルトムントを破り、準々決勝進出を決めた。昨年末にはリーグ戦で4連敗。年が明けると初戦でデュッセルドルフを下したものの、その後また2連敗。16位と降格圏が目前に迫ってきたブレーメンが強豪ドルトムントを下すとは、まさに番狂わせだ。



ドルトムント戦で勝ち越しゴールを決めたミロット・ラシカを祝福する大迫勇也

 今年に入って初めて先発し、89分までプレーした大迫勇也は、試合後、安堵の表情を浮かべた。

「(チームが浮上する)大きなきっかけになると思います。ポジションもすごくハマりましたし、今シーズン、一番と言っていいほどの出来じゃないですか」

 フロリアン・コーフェルト監督は、大迫の名前を挙げて称賛した。

「彼はとてもよかった。前線でキープできる選手が必要だった」
 
 なぜコーフェルト監督がわざわざ大迫に言及したか。それは年末にチームが連敗を続けた頃から、大迫が批判の矢面に立たされてきたからだ。地元紙『ウェザークーリエ』や、ブレーメン情報専門サイトの『ダイヒシュトゥーベ』は、大迫を戦犯にあげていた。

 FWの大迫には、やはり得点を求められる。リーグ前半戦は4得点、しかも最後のゴールは11月23日のシャルケ戦と、かなり時間が空いてしまった。ある意味で批判されても仕方がなかった。

 年が明けてからも順調とは言えなかった。以前からのケガの影響で、ウィンターブレイクのキャンプでは、その回復を優先させていた。

「そこ(ケガについて)は監督と話していましたし、しっかりまず痛みを取るということで、キャンプもあまりチームとやらなかった。やっとですよ、本当に」

 大迫がほとんどチームに合流できずに公式戦が再開されたのだが、この間、チームはFWのダヴィー・ゼルケを獲得した。ゼルケはブレーメンの下部組織出身で、各年代でドイツ代表としてプレー。ヘルタ・ベルリンやライプツィヒを渡り歩き、3年半ぶりにブレーメン復帰した。センターフォワードタイプの選手ではあるが、システムによっては大迫とポジションを奪い合うことになる可能性もある。

 そんな状態だったからこそ、「やっとです」と大迫が繰り返したのも頷ける。

 ドルトムント戦のブレーメンは、大迫とゼルケが共存する形の3-4-3だった。トップにゼルケを置き、その左右に大迫とミロット・ラシカが入った。大迫はこの形にも手応えを感じていた。

「(前半戦は)問題があったというか、まあうまくはまっていない感じだったんですけど、今日はしっかりと攻守が噛み合った感じがしました。新加入選手(ゼルケ)がしっかりと入って試合をやって、自信を持ってプレーできるような形を作れました」

 試合は、ブレーメンがゼルケとレオナルド・ビッケンコートのゴールで2-0として前半を折り返した。まさかの展開に、ドルトムントは後半開始から、売り出し中の19歳のFWアーリング・ブラウト・ハーランドを投入。すると67分にはそのハーランドが得点し、1点差とした。だが、直後の70分に大迫のスルーパスに抜け出したラシカが追加点を決め、再び引き離した。

 このアシストに関して、大迫は「いつもどおりですよ」と多くを語らなかったが、ゼルケ、ラシカとの関係については「ポジショニングがすごくはまった。動いてくれる選手がいるからやりやすい」と言う。表現しているとおり、守備面だけでなく攻撃においての距離感や感覚が良かったようだ。

 ドルトムントはその後、17歳のジョバンニ・レイナが追加点を挙げたが、結局、試合は3-2で終わった。
 
 ウィンターブレイク中も、「僕とユウヤはビデオをたくさん見て話し合いをした」と、大迫との信頼関係を再構築していたコーフェルト監督。この勝利に指揮官はいたく上機嫌で、試合後にはこんなエピソードを明かしている。

「試合前日、みんなでお寿司を食べたんだ。僕はお寿司が好きだから、もちろん歓迎だった。いくつ食べたか? それだけは秘密だ(笑)」

 チームマネージャーが、先発する大迫のことも考えて、宿泊するホテルに交渉して寿司を出してもらったのだと言う。

 ブレーメンにとっても大迫にとっても、浮上のきっかけになりそうな一戦だった。