[記事提供:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療(https://okuno-y-clinic.com)] Q:スネが痛くなり病院を受診したらシンスプリントと診断されました。どういう病気ですか?シンスプリントは、主に…

[記事提供:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療(https://okuno-y-clinic.com)]


Q:スネが痛くなり病院を受診したらシンスプリントと診断されました。どういう病気ですか?

シンスプリントは、主にスポーツによるオーバーユーズ(繰り返しの負担)によって生じるすねの内側下方3分の1に痛みを伴う疾患です。別名を脛骨過労性骨膜炎、英語ではMedial Tibial Stress Syndromeとも呼びます。

激しい運動をしている人がなりやすく、さらに急な発進と急ブレーキを繰り返すスポーツ(テニス、バスケットボール、サッカー)、などでかかりやすいです。他に長距離走やダンスやスキーなども挙げられます。一度かかると競技や練習を休む必要があり、なかには数か月ないし数年続くような治りにくい難治例も見受けられます。

Q:シンスプリントの症状にはどんなものがありますか?

症状は主に脛骨(すねの部分)の前方内側に鈍くてズキズキするような痛みが生じます。初期は運動し始めの痛みで、しばらく運動をすると軽快しますが、ひどくなると運動の後半、そして安静時にも痛みが出現するようになります。

また多くの場合、患部を指で押すと痛みが強くなる症状(圧痛)があり、腫脹や熱感をともなうこともあります。

Q:シンスプリントの原因は何ですか?予防のため、してはいけないことを教えてください。


シンスプリントは、ダッシュや急ブレーキなどの繰り返す負担により、スネの内側、後ろ側の筋肉やそれを包んでいる筋膜が繰り返し引っ張られることで骨膜にストレスがかかり発症します。これらの負担が骨膜という骨の表面の膜にダメージや炎症を引き起こします。このようなダメージや炎症は、最初のうちは休んでいると治る程度のものですが、オーバーワークで休めないなどにより、完治する間もなく次の新たな損傷が生じ慢性化します。

さらにこれらの負担がかかった骨膜には、炎症に伴い、普段見られないような異常な血管が新しく作られてしまい、その血管と神経が一緒になって増えることで治りにくい痛みを作っていると考えられています。

シンスプリントのリスク因子(この項目が当てはまるとシンスプリントになりやすい)としては、

1.扁平足
2.臀部や大腿部の筋力低下
3.柔軟性の低下
4.不適切な身体の使い方、良くない練習
5.下り坂を走ること
6.コンクリートなど硬い路面を走ること
7.不適切な靴の着用
8.体脂肪、BMI(肥満度指数)の上昇

などが挙げられます。

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Q:指先が腫れて痛みが出てきました。へバーデン結節かもしれませんがどうやって診断しますか?ほかの病気の可能性はありますか?

へバーデン結節の診断は、第1関節の腫れ(腫脹)と、特徴的なレントゲン所見(関節裂隙の狭小化と骨の隆起)によって診断します。

注意すべき他の病気としては、関節リウマチ、乾癬性関節炎、痛風などといった病気を疑いますが、それぞれ特徴があるため、専門の医療機関で検査することが望ましいです。

Q:シンスプリントは自然に治りますか?

シンスプリントは自然に改善する人もいますが、一部の人ではなかなか治りにくい難治性シンスプリントとなることがあります。そのような場合、レントゲンで疲労骨折がないかの見極めも重要です。また、疲労骨折がなくても難治化することがあります。

どのくらいで治るかは個人差があり、言い当てることは困難ですが、難治性の方は半年以上、あるいは年単位で痛みが続くこともあります。難治性の場合、適切な治療をしないと慢性化します。なかなか治らないで困っている方が多いのも現状です。

前述したようにシンスプリントでは異常な血管と神経が一緒になって増えているので、それに対処することで確実に改善できます。詳しくはこのページの最後の方もご覧ください。

Q:高校1年の陸上部です。中学1年のときに練習でシンスプリントになってから、いまだに治りません。このような慢性経過のケースもあるのでしょうか?良い治療法はありますか?

シンスプリントは安静やリハビリなどの保存療法で改善することが多いですが、中には慢性化して数年単位で症状が続き治りにくい状態になることがあります。そのような場合は適切な治療がなされていないことがほとんどです。

競技を休んでいても改善しないことが多いことが知られています。慢性化した場合、前述したように痛みのある部位に異常な血管と神経が一緒になって増えてしまい治りにくい状態になっていることが考えられます。これらの原因にアプローチしない限り、根本的な改善は望めません。

詳しくはこのページの後半も参考にしてください。また数年続いている場合は専門の医療機関の受診をお勧めします。

Q:シンスプリントに効果的なストレッチを教えてください。

痛みの部位の骨膜が引っ張られるストレスを軽減するために、ふくらはぎの筋肉をストレッチして柔軟性を保つことが必要です。ここでは有効なストレッチを1つ紹介します。

立位で前後に脚を開き(痛みのある脚は後ろ側)、後ろ脚の踵は床につけたままでつま先を内側に向けて、前側の脚に体重を乗せていきます。すると、後ろ側のふくらはぎの一部の筋肉が伸びて張りを感じると思います。この状態で15秒伸ばします。

このようにすることでヒラメ筋や後脛骨筋などの筋肉をストレッチにより柔軟にすることが有効です。しかしストレッチにより痛みが出るようでしたら、そのストレッチは中止が望ましいです。

ただし、ストレッチは再発予防には有効ですが、ストレッチだけで痛みが治まるわけではありません。痛みが続いている場合は専門の医療機関の受診を検討してください。

Q:バスケットボール部に所属しています。シンスプリントです。練習や試合中のテーピングは有効ですか?

テーピングで圧迫することで、痛めている部分にかかるストレスを軽減する方法があります。すねの足首から1/3程上の骨(脛骨)の内側にテーピングの端を貼ります。そこからふくらはぎを通り、すねを1周するように貼ります。テーピングの位置を上下にずらし、同様のテーピングを3~4つ巻きます。

また、足部のアーチの崩れから、すねにストレスがかかることで痛みが出ている可能性もあります。このような場合は踵が内側へ倒れないようにして土踏まず(内側縦アーチ)を高くするテーピングが有効です。

Q:シンスプリントによる痛みで走れなくなりました。その後3か月経過しますがまだ痛みがあります。どのような練習をするほうがよいでしょうか?

3か月経過しても痛みが続いているという場合は、治りにくい難治例となっている可能性があります。その場合、練習の継続は状態を悪化させ競技復帰を遅くする可能性があります。まずは患部の痛みや炎症を改善させることを優先すべきです。

改善させるためには、余計にかかっている負担を減らすことや、根本的な治療をすることが必要です。負担を減らすためには本ページで紹介しているストレッチなどのセルフケアを参考にしてください。根本的な原因への治療についてはこのページの後半も参考にしてください。

Q:陸上部です。シンスプリントになりいろいろなお医者さんを訪ねています。インソールを勧められています。どのようなインソールが効果的ですか?

扁平足で足裏の踵側に痛みが出る場合、踵の内側(母趾側)を高くして踵が内側へ倒れないようにしたり、土踏まず(内側縦アーチ)を高くしたりするようなインソールを使用すると足底腱膜へのストレスを緩和するのに有効です。

ただし、インソールは症状が改善したあとの再発予防(フォームの修正など)には有効ですが、インソールだけで完治させることは難しい場合が多いです。専門の医療機関に相談してみてください。

Q:シンスプリントになりました。有効な筋トレはありますか?教えてほしいです。

すねの筋肉へのストレスを軽減するために足の衝撃吸収にかかわる筋肉の強化が有効です。

ここでは2つ紹介します。

1つめは、足の指を伸ばす筋肉のトレーニングです。つま先を浮かせたまま踵で歩きます。この時にできるだけ足音をたてないように気を付けて行うことでより効果的となります。

2つめは、足の親指を開く筋肉のトレーニングです。立位か座位で足の人差し指から小指までを浮かせた状態で、親指だけ床につけます。

Q:陸上をしている高校生です。シンスプリントだと思っていましたが、しばらくしてから患部が腫れ始め、骨にも5mm~1cm程のコブができてしまい、歩く際や何もしていないときですら痛みを感じます。これはシンスプリントですか?それとも疲労骨折でしょうか?

骨の隆起があるなら、シンスプリントではなく疲労骨折になっている可能性が高いです。専門の医療機関でレントゲン検査やMRIの検査をすることで判断できます。また、適切な処置をしないと痛みが長引く可能性があります。専門の医療機関の受診を検討してください。

Q:シンスプリントになり様々な治療を試しましたが改善しません。完治のために有効な治療法はありますか?できれば手術はしたくありません。

このページの前半でも述べたように、シンスプリントでは痛みの発生している部位に異常な血管と神経が一緒になって増えていて治りにくい痛みの原因になっていることが知られています。特に痛みが数か月以上続いている場合は、正常ではない「異常な血管」が増殖しているために治りにくくなっています。このような異常な血管を減らすための、運動器カテーテル治療という新しい治療法があり、日帰りでできて運動制限の期間も短いため最近になって広まっています。

手術は筋膜切開という方法がありますが、手術後も強い痛みが残存する人が3割以上いて、いまだに確立された治療方法にはなっていません。

[記事提供:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療(https://okuno-y-clinic.com)]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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