試合後、時折見せるリラックスした表情に、手応えを掴んだ様子が伝わってきた。 2月1日に行なわれたリバプール対サウサンプ…

 試合後、時折見せるリラックスした表情に、手応えを掴んだ様子が伝わってきた。

 2月1日に行なわれたリバプール対サウサンプトン戦で、日本代表MF南野拓実は後半36分から途中出場。オランダ代表MFジョルジニオ・ワイナルドゥムとの交代で4-3-3の左FWに入り、4分のアディショナルタイムと合わせて13分間プレーした。



サウサンプトン戦で確かな存在感を示した南野拓実

 投入前から「攻守の切り替えを速くすること、ゴール前で(ボールに)関わっていくこと」を意識していたという南野は、ピッチ上で効果的な動きを見せた。シンプルに、そして積極的に。

 過去出場した3試合よりもリバプールのプレースタイルにフィットした動きを見せ、得点チャンスも掴んだ。本人にも確かな感触があったようで、取材中は時折笑みをこぼしていた。

 最大のチャンスは、後半41分の決定機だった。

 FWモハメド・サラーからラストパスが入ると、ペナルティエリア内に走り込んだ南野が右足で合わせた。しかし、シュートのタイミングでMFナビ・ケイタと重なり、シュートは大きく枠を外れた。本人は「決めないといけなかった」と唇を噛んだが、ゴールまでの形はできていた。

 後半45分にサラーが得点した場面でも、あと一歩のところまでゴールに近づいた。FWロベルト・フィルミーノのラストパスにベストのタイミングでゴール前に走り込んだが、ボールは南野にわたる直前にサラーの下へ。エジプト代表FWが冷静に押し込んだ。

 アシストのフィルミーノが南野の動きに合わせてパスを出したように見えたことから、「得点までの流れはできていた」と筆者が尋ねると、猛ダッシュで駆け上がってきたサラーについて、南野は次のように語った。

「点を獲る選手って、やっぱりゴール前のあそこに走っている。 だからこそ、点を獲れるのだろうなと、今日も感じた。

(サラーの)ポジショニングは、ボックスの中で得点の獲り方を知っている。テレビで見ているよりも、今日ピッチの中に入って、プレーしてそう感じた。味方なので心強いが、自分もそういうところで結果を残していけるように、サラーの動き方を盗んで出していければ」

 南野の投入時、日本代表の持ち味が出しやすい試合展開にあった。3点のリードを奪われたサウサンプトンは、陣形を押し上げて前がかりに。リバプールの両サイドには攻撃のための十分なスペースがあり、カウンターを仕掛けやすかった。

「ゴールできそうな感覚はありました。実際、僕じゃなくても、僕が入ってからもゴールが入った。だから、感覚的にはよくなってきています」と南野は語る。

 今後に向けて、課題も忘れていない。

「少しオープンな試合になっていた。ああいう試合展開だと、自分のやるべきことがハッキリする。たとえば、0-0とか拮抗した試合展開のなかでも、信頼してもらえるようなプレーを続けていければ」

 なにより大きな収穫は、スピーディーなリバプールのプレーリズムに合わせ、効果的なプレーを示し続けたことに尽きる。

 トップチームのメンバーと初めて一緒にプレーしたウルバーハンプトン・ワンダラーズ戦(1月23日)では、南野にボールが入ると、そこでテンポダウンしてしまった。この試合をテレビ観戦していたという吉田麻也(現サンプドリア)も、「ちょっと、探り探りやっている感じがある。リバプールのプレースピードに慣れないといけない」と、南野の課題について話していた。

 サウサンプトン戦では、スムーズにボールに絡んでいた。これまでの試合よりも「何をすべきか」が整理されていて、シンプルにプレーすべきところはシンプルに、仕掛けるべきところは積極的に攻めた。

 守備面でも、投入から2分後には左サイドから右サイドまで敵を追いかけ、前方からの積極的なプレスで貢献。試合終盤も自陣でパスカットし、前線のフィルミーノに縦パスを入れた。

「自分で奪って、自分でゴールに関わっていければ、それはプラスになる。チームのためでもあり、自分のためでもあります。途中から入っても、そこはしっかりやり切るというのは、ひとつ大事なポイント」と、南野は守備の大切さについても語っていた。

 入団からちょうど1カ月が経過し、日本代表アタッカーは、ゆっくりとだが着実にリバプールとリズムが合ってきた。出場4試合目のサウサンプトン戦で確かな存在感を示した。

「今の現在地は想定していたところにあるか」。記者からそう質問が飛ぶと、南野は言葉を選びながら答えた。

「うーーん……(長い沈黙)。いや、どうやろ……(沈黙)。(答えるのが)難しいですね。いや、順調じゃないですか。別に悲観するような内容ではないし、まだ始まったばっかりだし。

 正直、満足しているというわけではないけど、試合時間も与えられている。だからこそ、結果を残したかったですけど。でも、今の自分の高いモチベーションと、この成長できる環境があれば、よくなっていくんじゃないかなと思います」

「クラブスタッフの顔と名前も覚えてきたし……」と言いかけたところで、「いや、覚えてないな」とボソっと言って、記者団を笑わせていた南野。乗り越えるべき壁は、まだある。現在地にもまだまだ満足はしていないが、高みを目指し、世界最高峰のクラブで階段を一段ずつ登り始めた。