2月2日、バルセロナは本拠地カンプノウでレバンテを2-1と一蹴している。終盤に1点を返されるなど、危うさも見られたが、…

 2月2日、バルセロナは本拠地カンプノウでレバンテを2-1と一蹴している。終盤に1点を返されるなど、危うさも見られたが、サッカーの質で格の違いを見せつけた。23本のシュートを浴びせ、果敢にゴールへ迫った。

「8-2、8-3の試合だった。後半は特にコントロールを失う場面はあったが、我々は多くのチャンスを作り出した。基本的には満足している」

 バルサの指揮官キケ・セティエンがそう振り返ったように、チャンスを作り出す技術は出色だった。



レバンテ戦で2ゴールを挙げたアンス・ファティを祝福するリオネル・メッシ

 セティエンは4-3-3のシステムを用い、前線にはアントワーヌ・グリーズマン、リオネル・メッシ、アンス・ファティを起用。3人は自在にポジションを変えながら、スペースを作り出し、ボールを引き出した。”9番”と言えるストライカーがいないなか、3人がそれぞれ”偽9番”のように流動し、相手を幻惑している。

 “偽9番”の連係として象徴的だったのが、先制点のシーンだろう。メッシがセンターサークルまで引いてボールを受けると、釣瓶(つるべ)のようにファティ、グリーズマンが裏へ走る。メッシが最終ラインを引きつけ、その背後が一瞬、空いていた。走りながらボールを受けたファティは、GKの股の間へ軽快にシュートを流し込んだ。

 2得点したファティだけでなく、メッシも、グリーズマンも、ボールプレーヤーであるだけでなく、ゴールセンスが突出している。お互いがポジションなく動くことで、それぞれのよさを引き出し、相手にダメージを与えられる。後方からも選手が駆け上がり、複合的な厚みのある攻撃を生み出し、相手に的を絞らせない。

 セティエンは、”偽9番”で戦う腹を決めたのか--。

「(この冬のマーケットで)バルサは9番(ストライカー)を獲得しないことを決めた」

 1月末、スペインの大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、そんな見出しで状況を説明している。

 エースストライカーのルイス・スアレスは、ケガで今シーズンの復帰が絶望的。9番のバックアッパーはおらず、クラブはロドリゴ(バレンシア)の獲得交渉を進めていた。しかし、6000万ユーロ(約72億円)の移籍金を捻出できなかった。そもそも、そこまでの大金を払うつもりはなかったのである。

 バルサ側は、「下部組織の選手との交換トレード」を考えていた。しかし、この条件での交渉は呆気なく不調に。期限付き移籍で再交渉し、「バルサがスポルティング・リスボンのMFブルーノ・フェルナンデスを獲得し、期限付き移籍でバレンシアに渡し、同じく期限付き移籍でロドリゴを受け取る」というウルトラCまで提案。ロドリゴはサインするためにバルセロナを訪れていたが、ブルーノ・フェルナンデスがマンチェスター・ユナイテッドに移籍したため、話は流れた。

 フロントはアーセナルのピエール=エメリク・オーバメヤンにも食指を動かしていたようだが、金額的に折り合わなかった。そもそも、冬の移籍では無理をすべきではないというのが、今や欧州ビッグクラブの強化の常道。昨シーズン、バルサは期限付き移籍でケビン=プリンス・ボアテング(現フィオレンティーナ)を獲得したが、”安かろう”は裏目に出た。

<9番はいないが、”偽9番”でやりくりするべし>

 それが最終結論となった。すでにリーグ戦も”偽9番”で戦っている。スペイン国王杯でも、3回戦のイビサ戦、4回戦のレガネス戦と、グリーズマンが連続得点を記録。前線はどこからでも得点を取れるのが強みだ。

「(ケガをしているウスマン・)デンベレがまもなく復帰する」

 9番(ストライカー)問題について、セティエン監督は含みのある言葉で説明している。”偽9番”の候補は、グリーズマン、メッシ、ファティとよりどりみどりだけに、デンベレも含めた組み合わせで挑むことになるようだ。デンベレは両利きで、プレースピードは抜群。コンビネーションにも優れる。前線の攻撃に彩りを与えるはずだ。

 レバンテ戦では、セルジ・ロベルト、リキ・プッチのふたりも交代出場で前線に入っている。バレンシア戦に途中出場で抜擢された左利きの攻撃的MFアレックス・コジャードも、バルサBでは前線のユーティリティプレーヤーであるように、”偽9番”候補と言えよう。安部裕葵もバルサBの”偽9番”であり期待されるが、現在は右足ハムストリングを痛めて離脱を余儀なくされている。

 前線3枚が、”偽9番”として流動的にポジションを変え、プレーの渦を作り出す。セティエン・バルサは、変幻の戦いで勝利をつかめるか--。2月6日にはスペイン国王杯準々決勝で、アスレティック・ビルバオと一戦を交える。