「橋本総業 ジャパンウイメンズオープン」(本戦9月12~18日/東京・有明テニスの森公園テニスコート)の本戦5日目はシングルス準決勝2試合とダブルス決勝が行われ、日本の青山修子(近藤乳業)/二宮真琴(橋本総業ホールディングス)がジョスリン…
「橋本総業 ジャパンウイメンズオープン」(本戦9月12~18日/東京・有明テニスの森公園テニスコート)の本戦5日目はシングルス準決勝2試合とダブルス決勝が行われ、日本の青山修子(近藤乳業)/二宮真琴(橋本総業ホールディングス)がジョスリン・レイ/アンナ・スミス(ともにイギリス)を6-3 6-3で破り、このペアとしてツアー初優勝を果たした。
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思い描いた通り、いやそれ以上のダブルスを見せたといっていいだろう。
青山の前衛での動きや決定力、二宮のベースラインからの思いきりのいいストロークだけではなく、この日の決勝では二宮の軽快な動きからのポーチ、青山のベースラインから大胆にコースを狙った強打も冴え、体格で勝る相手ペアを寄せ付けなかった。
レイ/スミスはダブルスを中心にプレーする選手。レイが106位、スミスが103位とランキングこそ低いものの、今大会ではダブルスプレーヤーらしい平行陣で1セットも落とさずに決勝へ進出した。準決勝では、全米オープン3回戦進出の穂積絵莉(エモテント)/加藤未唯(佐川印刷)を6-1 6-2で退けている。
第1セットの立ち上がりは互いにサービスブレークと落ち着かない流れだったが、ここで一気に流れを引き寄せたのは、2013年にウィンブルドンでベスト4入り、これまでダブルスで5度のツアー優勝を誇るなど経験豊富な青山のバリエーション豊かなプレーだ。
思いきりよくネット際へ飛び込んでいくポーチに、絶妙なトップスピンロブなどでポイントを重ねて3-1とリード。二宮のサービスをブレークされて3-3まで追いすがられたが、青山は自身のサービスゲームでベースラインからのダウン・ザ・ラインやミドルへの鋭いストロークでエースを奪って相手に流れを渡さない。引っ張られるように二宮も連続でポーチを決めて、この勝負どころをキープするとふたりは一気に勢いに乗った。
第1セットでは青山の再三の挽回に助けられた二宮だが、第2セットには自信にあふれたプレーで躍動する。思いきりのいいポーチを何度も決め、ベースラインからは相手の頭上を抜くトップスピンロブ。5-3と勝利まであと1ゲームとした相手サービスでは、40-30から相手の厳しいショットをネット際でストップしてデュースに持ち込み、最後はレシーバーチョイスで二宮がリターン。リターンエースで1本目のマッチポイントを決めきった。
「今日は二宮さんの前での動き、ストロークが冴えて、相手もやりにくかったと思う。準決勝からトライする姿勢がすごく出ていて、勢いをつけてもらった」と28歳の青山は6歳年下の二宮に感謝した。
ペアを組み始めたのはちょうど1年前。外国人選手とペアを組んで結果を残していた青山が、オリンピックを目指す目的やコミュニケーションの取りやすさなどを考え、二宮に声をかけたのがペア結成のスタートだったという。
「もちろんシングルスで対戦したこともありましたし、(二宮の)プレーを見ていたので」という青山には、きっとふたりのダブルスの目指す形が見えていたのだろう。
一方、「ペアを組み始めて以降のこの1年でも、青山さんはツアーでほかの選手と組んで決勝に行くこともあって、私は悔しかったんです。パートナーは私じゃなくてもいいんじゃないかって……」と、ここまでの苦しい胸の内を明かしたのは二宮だ。
それでも二宮は「私にできることを頑張る」と覚悟を決めて青山の期待に応えようと取り組み、そしてこの日つかんだ勝利は自身の初タイトルにもつながった。
「今回優勝できてうれしいですが、もっと上の舞台で勝つことが目標。これは通過点です」
自信を得た22歳は晴れ晴れとした笑顔で、青山とのペアでさらなる高みを目指すことを誓った。
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地元の日本勢が消えたシングルスでは、カテリーナ・シニアコバ(チェコ)とクリスティーナ・マクヘイル(アメリカ)が決勝に進出。シニアコバは第6シードのジャン・シューアイ(中国)を6-3 6-0で破り、第7シードのマクヘイルは準々決勝で奈良くるみ(安藤証券)を破ったヤナ・セペロバ(スロバキア)を6-4 3-6 7-5で下している。
明日のシングルス決勝は正午スタートの予定だ。
(テニスマガジン/ライター◎田辺由紀子)