全米で今年11月25日公開予定の映画「King Richard」では、ウィル・スミスが主演し、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)とセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)の父親であるリチャード・ウイリ…

全米で今年11月25日公開予定の映画「King Richard」では、ウィル・スミスが主演し、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)とセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)の父親であるリチャード・ウイリアムズ氏の役を演じることが報じられていたが、今月になって子供の頃の姉妹の役や、母親役を演じる俳優たちも発表された。

リチャード氏はテニスの経歴が全くないにも関わらず、途方もない苦難、周りからの懐疑的な目や自身の過去の問題を乗り越え、姉妹を最強のテニス選手に育て上げた。娘たちが4歳ぐらいの頃、彼は2人をプロ選手として育て上げるために、78ページに及ぶ計画を書き上げたという。

カリフォルニア州ロサンゼルス郡南部にあるコンプトン市の、ひび割れて雑草の生えた市民コートで父親によるテニスレッスンが始まると、2人は驚くべきスピードで上達した。テニス嫌いで場所を譲ろうとしない若い乱暴者たちと、乱闘になったこともあったと伝えられている。そうして、ウイリアムズ姉妹は史上最強の女性テニス選手の2人となった。

グランドスラムで23回優勝しているセレナは、間違いなく史上最強のプレーヤーの1人だし、ビーナスもまたグランドスラムで7回の優勝を遂げている。1999年にセレナが「全米オープン」で優勝し、翌2000年にビーナスがリンゼイ・ダベンポート(アメリカ)を破って「ウィンブルドン」のタイトルを獲得した時から、姉妹は10年以上にわたって女子テニス界の大スターであり続けた。

2000年の「ウィンブルドン」でのビーナスの勝利の後、リチャード氏は「Straight Outta Compton!(コンプトン出身!)」(やはりコンプトン出身の伝説的ヒップホップバンドN.W.Aの曲にちなんで、アフリカ系アメリカ人が多く住む犯罪多発地域からチャンピオンが現れた、という意味で)と叫び、放送ブースを飛び越えてテニス・レジェンドのクリス・エバート氏をつかまえて勝利のダンスを披露した。驚愕した放送ブースにいた人々は「天井が落ちてきたかと思った」とエバート氏は語った。後から考えてみると、確かにガラスの天井は壊されたのだ(アフリカ系アメリカ人の女性という二重にマイノリティの姉妹がスター選手となったこと)。

映画「King Richard」では、映画「フェンス」や「ドリーム」に出演したサニーヤ・シドニーが若い頃のビーナスを、ドラマ「Godfather of Harlem」やブロードウェイの「ライオンキング」「スクール・オブ・ロック」などに出演しているデミ・シングルトンが若い頃のセレナを演じることが決まった。さらに、リチャードの妻で姉妹の母ブランディ役としてドラマ「ボクらを見る目(When They See Us)」でエミー賞にノミネートされたアーンジャニュー・エリスも参加する。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2018年「全豪オープン」を観戦しているウィル・スミス

(Photo by Cameron Spencer/Getty Images)