ニック・キリオス(オーストラリア)の「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月20日~男子2月2日・女子1日/ハードコート)2回戦は、試合中盤に乱調に陥ったことと、その後の勝利が注目を…

ニック・キリオス(オーストラリア)の「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月20日~男子2月2日・女子1日/ハードコート)2回戦は、試合中盤に乱調に陥ったことと、その後の勝利が注目を集めたが、この日、彼が素晴らしいスポーツマンシップを見せたことはほとんど話題になっていない。Yahoo! Sportが伝えている。

キリオスとジル・シモン(フランス)との試合、第1セット序盤でボールが2度バウンドする前にラケットを当てられなかったと主審が判定し、シモンは正当に獲得していたポイントを無効にされてしまった。

実際は、シモンのラケットは2度目のバウンドまでにボールに届いていた。しかし、主審が早々と介入した上に誤った判定をしたため、ルール上はレット扱いになり、ポイントをやり直さなければならなかった。だがそこで、キリオスが素晴らしいスポーツマンシップを見せ、主審に申し出てそのポイントをシモンに譲ったのだ。

キリオスはその後も落ち着いた対応で、コートチェンジの際にこの件について主審に質問した時にも冷静さを保っていた。「どうしてポイントの途中で口を出したんだ。彼はいつだって球に追いつく。なんてったって俊足なんだぜ?」

これを、元世界1位のジム・クーリエ氏が称賛。「相手にポイントを譲るとは、ニックの優れたスポーツマンシップだ。判定が間違っていたことを、彼は分かっていたんだ」とテレビ放送の解説で発言した。

その後、コート上でのつまらない行動がキリオスの「全豪オープン」での進撃をまたも脱線させそうになったが、キリオスは「くだらないことをやめる」必要があると分かっていた。

オーストラリアのNo.2選手であるキリオスは、いつもどおりの2回戦突破に向けシモンとの試合を優位に進めていたが、第3セットでブレークし、4-2とリードして勝利に近づいたところで失速した。キリオスが2度連続でダブルフォルトを犯したことで対戦相手に命綱となるブレークを献上する結果となり、元世界ランキング6位のシモンがこのセットを獲得。試合は第4セットにもつれ込んだ。

これを受け、キリオスは自身の関係者席に怒りを向けた。そこには「デビスカップ」でオーストラリアチームのキャプテンを務めたレイトン・ヒューイット(オーストラリア)も座っていた。「ブレークポイントでかける言葉はいろいろあるだろうに、『こらえろ』か」と怒鳴った。「いつもそれだ。ブレークポイントのたびに『こらえろ』…へえ。ほんとに、なんて独創的なんだ」

そんな些細なことで調子を乱し、そのままボロボロになってしまうこともあるが、この日のキリオスはリセットボタンを押して立ち直り、6-2、6-4、4-6、7-5で勝利を収めた。

キリオスは「ちょっとうなだれてしまったんだ。第3セットで少しだけ調子を落としてしまった。うなだれたけど、『うだうだ考えるのをやめて、やることをやれ』と自分に言い聞かせた。そうしたら5-5の場面でブレークすることができた。乗り越えることができていい気分だったよ」

キリオスは、4回戦でラファエル・ナダル(スペイン)に惜敗してしまったが、彼のスポーツマンシップは称えられるべきものだろう。

(テニスデイリー編集部)

※「全豪オープン」で相手を称えるのキリオス

(Photo by Hannah Peters/Getty Images)