eBASEBALLプロリーグ2019シーズンは巨人の日本一で幕を閉じた。巨人はレギュラーシーズンでリーグ優勝を目前にしながら逃してしまったが、eCS以降は打ちに打って日本一を勝ち取った。  その原動力は間違いなくMVPに輝いた舘野(プレイ…

eBASEBALLプロリーグ2019シーズンは巨人の日本一で幕を閉じた。巨人はレギュラーシーズンでリーグ優勝を目前にしながら逃してしまったが、eCS以降は打ちに打って日本一を勝ち取った。 

その原動力は間違いなくMVPに輝いた舘野(プレイヤーネーム:てぃーの)だろう。

強振でおなじみのMVP舘野(てぃーの)

プロプレイヤーの中でも抜きん出るほど精度の高い打撃技術の持ち主だが、昨シーズンの成績は控えめだった(とはいえ5試合で9本塁打だが)。しかし、今シーズンの開幕戦を先頭打者ホームランで幕開けするとそのまま4者連続ホームランで相手を粉砕。第2節ではレジェンドOB選手の平松政次選手の“分かっていても打てない”カミソリシュートをスタンドに運んだ。6試合で打率.317、15本塁打、25打点。本塁打王と打点王の2冠に輝いた。eCS以降もとにかく打ちまくり、日本一の立役者となった。 

舘野(てぃーの)は本人が「パワプロはホームランを打つゲーム」と語る通り、強振100%、常に一発狙いのプレイスタイル。ミート打ち、盗塁、バントは一切しない。その思い切ったプレイスタイルと親しみやすいキャラクター(そして極端な腹痛持ち)で、視聴者からも選手からも人気の高いプレイヤーだ。 

しかし、そんな彼のプレイスタイルに変化を与えたのがこのe日本シリーズだった。 

まずは第1戦の5回裏無死1塁の場面、不調の炭谷選手で送りバント。日本ハム代表として出場した2年前の大会では、タイブレークの先頭打者・中島卓也で強振し、ゲッツーでチャンスを潰した男が、この場面でバントをしたことで驚きの声は大きかった。 

そして第2戦5回表、先頭の坂本選手が打席に立ったところで、“歴史的瞬間”が訪れた。アウトコース低めのストレートに対し、打つ瞬間に強振からミート打ちに切り替えてライト前ヒット。彼のプロのキャリアで初めてミート使用率に数字が刻まれた瞬間だった。 

e日本シリーズで使用する球場はクラウンスタジアムという、ゲームオリジナルの球場で、プロリーグで使用される球場の中ではもっとも広くフェンスの高い球場だ。ホームランが出づらい上に、外野を下げる「長打警戒」のシフトをとられると捉えた当たりでもヒットになりにくくなってしまう。そうした環境もあって、試合前からミート打ちを解禁すると宣言していた。一方で実際はしないのではという声もあり、私も半信半疑で見ていた。 

結局、ミート打ちに切り替えたのはこの1回だけだったが、本当にミート打ちするとは…と驚いた。オンラインで10年近く舘野(てぃーの)と対戦してきた西武・前田(マエピー)ですら「初めて見た」というほどだ。なんとしてでも日本一を勝ち取るためにチームプレーに徹したということだろうか。プロプレイヤーにとっても衝撃的な一幕だった。 

そして、個人的に嬉しかったのは舘野(てぃーの)がバントやミート打ちをした時に、配信ページのコメントで即座に「バント!?」「ついにミート打ちした!」といったコメントが多くついたことだ。さらにこの試合で解説していた真中満応援監督も「ミート打ちしましたか、ついに」とコメントしていたのも印象深い。それだけ舘野(てぃーの)といえば強振、というイメージが浸透していたということだ。昨シーズンの動画視聴数は約270万回だったが、今シーズンは約530万回とほぼ倍増したそうだ。eBASEBALLを視聴する人が増えていること、選手のことを把握している人が増えてきているのは喜ばしい限りだ。(余談だが、私には「また泣きそう」とか「ぶんたパパ」といったコメントが増えてきている) 

e日本シリーズ後の表彰式では、日本野球機構の斉藤惇コミッショナーから2020シーズンも引き続き開催されることが発表された。2年目のシーズンでより盛り上がりを見せることができたeBASEBALLプロリーグだが、3年目のシーズンも選手として更に盛り上げることができるようこれからも精進していきたい。 

2020シーズンも期待しよう

文・菅原翔太(eBASEBALLプロリーグ2019シーズン中日ドラゴンズ代表選手・キャプテン)