写真=Getty Images

不慣れなことを承知でセンターに据える方針

ペリカンズの大物ルーキー、ザイオン・ウィリアムソンは先週ついにNBAデビューを飾った。ケガの影響で出場時間は限られているし、またチームバスケットにフィットできていない面も見られるが、出場3試合でいずれも2桁得点を挙げ、期待通りの活躍をしている。

これから実戦を重ねていく中で、ペリカンズはザイオンをどんな選手に育てたいと考えているのだろうか。それは、ウォリアーズのドレイモンド・グリーンに近い役割のようだ。

グリーンは最優秀守備選手賞を受賞したこともあるリーグ屈指のディフェンダーであり、フォワードながらオフェンスの組み立てもできるオールラウンダーだ。ウォリアーズ黄金期を支えるキーマンとして、5シーズン連続でNBAファイナルへ進出、3度チャンピオンに輝いた。現在NBAで主流となりつつあるスモールラインナップの理想的なセンターである。

ザイオンは、まだ短い出場時間の半分くらいをセンターのポジションでプレーしている。ヘッドコーチのアルヴィン・ジェントリーは、彼がセンターでプレーするメリットについて次のように話している。

「ザイオンがセンターでプレーすることで、チーム全体のスピードが上がり、パス主体のチームになる」

ザイオンは体格に恵まれていると同時に、アタックに行く時には相当な瞬発力を発揮できる。常にハードワークして動き回るタイプではなにせよ、その一瞬のスピードは大きな武器だ。ザイオン本人も「相手のセンターとのマッチアップになればスピードのミスマッチになる」と話しており、彼がセンターでプレーする場合、オフェンスではメリットが多い。

もちろん、ピック&ロールを使ってサイズのミスマッチを突くこともできる。ピックプレーに対して相手がスイッチすれば、小さいガードがザイオンを守ることになる。そうなれば、ザイオンは身体の強さを生かして、ポストアップから簡単にゴール下まで入ってシュートが打てる。外したとしてもすぐにリバウンドを取りに行くことができる。

一方、ディフェンス面では課題もあった。ザイオンはそもそもセンターでプレーすることに慣れておらず、デューク大時代もほとんど経験がない。特にピック&ロールのディフェンス、自分のマークをガードするのか、それともスイッチしてカバーに入るのかの判断はもっと学ぶ必要がある。デビュー戦のスパーズ戦ではスイッチが上手く行かない連携の隙を狙われて、イージーレイアップを許した場面があった。

ペリカンズにしてみれば、早い時期から課題が見つかるのはポジティブなこと。ザイオンには課題への解決策を見つける時間がまだたくさん残されているし、オフェンス面ではすでにグリーン以上のインパクトを残せることは間違いない。