25日深夜のメルボルンアリーナは、大歓声に包まれた。「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月20日~男子2月2日・女子1日/ハードコート)男子シングルス3回戦で、地元出身のニック・キ…

25日深夜のメルボルンアリーナは、大歓声に包まれた。「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月20日~男子2月2日・女子1日/ハードコート)男子シングルス3回戦で、地元出身のニック・キリオス(オーストラリア)が、カレン・ハチャノフ(ロシア)との4時間26分の死闘を制したのだ。スコアは6-2、7-6(5)、6(6)-7、6(7)-7、7-6(10-8)と、最後は昨年導入された10ポイントマッチタイブレークだった。

その死闘の末に安堵した様子でベンチに座っているキリオスの写真を、ATP(男子プロテニス協会)がInstagramに掲載。8万以上の「いいね」が付いている。

この試合はスコアだけでなく、内容もドラマティックだった。

キリオスは第1セットでリードを奪いながらも、お尻の筋肉を傷めてしまう。痛めた当初、明らかにプレーに支障が出ていた。やっとの思いでサービスキープをし、メディカルタイムアウトを取って治療したが、どこまでプレーできるか分からなかった。

それでも第1セットをキープし切って奪うと、第2セットもタイブレークの末奪った。そして第3セットでは、マッチポイントまでたどり着いた。しかしここを取り切れず、ハチャノフに1つセットを返される。

するとハチャノフに流れが少しずつ来はじめる。堅実なプレーを続けるハチャノフに対し、キリオスはプレー中に手をすりむき出血をタオルで拭いている際に、不運にもタイムバイオレーションを取られてしまい怒り心頭。集中力が落ち、このセットも奪われて試合はフルセットへもつれ込んだ。

この頃にはキリオスは、第1セットで負った痛みなんてお構いなしとばかりにジャンピングショットや、個性とも無用ともいえる股抜きショットを連発していた。

そして迎えた10ポイントタイブレーク。キリオスは最初の3ポイントを連取するが、すぐに4ポイント連続で失い流れを手放してしまう。さらに7‐8となり、ここからハチャノフの2本のサーブと、万事休すまで追い込まれる。それでも会場の応援を力にキリオスは逆転し、ベスト16進出を手にした。

勝利した瞬間、キリオスはコートに大の字になって喜んだ。ただ今回話題になったのはこの場面ではない。握手を終え、よろよろと疲れ切った様子でベンチに戻って座り込み、天を見つめているところを撮った写真だ。4時間26分の試合時間を表した時計も写っており、キリオスの苦難とそれを終えた安堵感が見てとれる。

そのキリオスの4回戦の相手は、因縁の相手ともいえるラファエル・ナダル(スペイン)。キリオスはこの「全豪オープン」2回戦でも、タイムバイオレーションを取られた際に主審と口論。その後、サーブ前のルーティーンが長いことで有名なナダルのモノマネを見せていた。

キリオス対ナダルの4回戦は、日本時間27日17時より開始予定だ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全豪オープン」でのキリオス

(Photo by Jonathan DiMaggio/Getty Images)