プレーオフを目指すチームにとっては痛い敗戦となった。辛辣なNYメディアは、7回93球でエースを降板させたジョー・ジラルディ監督の采配に疑問を投げかけている。■田中は7回1失点93球で降板、痛恨サヨナラ負けで地元紙は采配に疑問投げかける ヤン…
プレーオフを目指すチームにとっては痛い敗戦となった。辛辣なNYメディアは、7回93球でエースを降板させたジョー・ジラルディ監督の采配に疑問を投げかけている。
■田中は7回1失点93球で降板、痛恨サヨナラ負けで地元紙は采配に疑問投げかける
ヤンキースの田中将大投手は15日(日本時間16日)、敵地でのレッドソックス戦に登板し、7回4安打1失点3四球と好投した。4点のリードを守って降板したものの、救援陣が崩れて、5-7でまさかの逆転サヨナラ負け。プレーオフを目指すチームにとっては痛い敗戦となった。辛辣なNYメディアは、7回93球でエースを降板させたジョー・ジラルディ監督の采配に疑問を投げかけている。
この試合ではメジャー74試合目で初めての奪三振ゼロと、打たせて取るピッチングでレッドソックスの強力打線を抑えていった田中。4点リードの3回に2四球とヒットで満塁のピンチを背負い、オルティスに犠飛を許したが、その他のイニングはピンチを背負っても得点は許さなかった。
「三振は取れなかったけど、その代わりに今日はゴロアウトがすごく多かったので、大怪我の少ない投球は出来たと思います。低めのスプリットで今日はゴロを打たせることが多かったですね」
本人は試合後、地元メディアの取材にこう答えている。「(レッドソックスは)打線がいいですから、その相手にそんな簡単なピッチングは出来るとは思ってマウンドには上がっていないので。実際に苦労したイニングもありましたし、我慢強く投げることが大事だと思ってました」。地区首位のレッドソックス相手に集中力を切らさず、最小失点に抑えてゲームを作った。
しかし、田中が7回で降板すると、ヤンキースは8回に2番手ウォーレンが1失点。9回はレイン、パーカーがピンチを招き、ここで登板した守護神ベタンセスがオルティス、ベッツに連続タイムリーを浴びて1点差。最後はラミレスにサヨナラ3ランを浴び、9回だけで5失点とまさかの大逆転負けを喫した。
■ジラルディ監督「彼は疲れていた」、田中本人も「考えてなかった」
地元紙「ニューヨーク・ポスト」は「なぜジョー・ジラルディはたった93球でマサヒロ・タナカを引っ込めたのか?」と題した記事を掲載。自身6連勝中と抜群の安定感を誇り、この試合で防御率2.97としてリーグトップに躍り出たエースの交代のタイミングに疑問を投げかけた。
記事によると、ジラルディ監督は奪三振ゼロだった田中の投球について「珍しいね。それは決して問題ではない。彼はとても良い投球をしてくれた。たくさんのゴロアウトを奪い、信じられない仕事ぶりだったと思う」と称えている。その上で、7回93球で交代させた理由については「彼は疲れていた」と説明したという。
田中自身も試合後、NYメディアから93球で降板となったことについて2度も質問を受けている。「8回もマウンドに上がることは考えていたか?」との問いには「特にそれは考えてなかったですね。本当に1人1人アウト取ることしか考えてなかったので」と即答。さらに、「8回も続投する力はあったか?」と聞かれると、「でも、今日はけっこうアウトは重ねていきましたけど、気候もそうだし、神経を使う投球ではあったので。それは(マウンドに)上がればどうにか出来たとは思いましたけど…」と答えている。
エースを8回もマウンドに送っていれば…。NYメディアやファンが悔やむのも、田中が抜群に安定した投球を続けているからこそ。熾烈なプレーオフ進出争いを繰り広げるチームの中で、周囲からの信頼はそれだけ厚い。
「もちろん、痛い負け方だとは思いますけど、でも、残っている試合、また明日から連戦が続いているわけですし、それは切り替えてやっていくしかないので、前を向いてやっていくだけです」
田中は地元メディアにこう胸の内を明かした。プレーオフ進出へ向けて、チームを勝たせるための投球を続けるという気持ちは変わらない。