2020年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される年であり、昨年夏のパラリンピックチケット抽選販売をきっかけに、パラリンピックの関心度は上昇中だ。2012年に大成功を収め、過去最高と言われたロンドンパラリンピックに比べても、チ…

2020年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される年であり、昨年夏のパラリンピックチケット抽選販売をきっかけに、パラリンピックの関心度は上昇中だ。2012年に大成功を収め、過去最高と言われたロンドンパラリンピックに比べても、チケットの一次抽選販売に3倍の応募があったほど。ロンドン、リオと世界を魅了し、リオでのテレビ視聴者数は41億人に達するなど、その注目度や影響力が高まっているパラリンピックには、一体どんな価値があるのか? 東京パラリンピックで日本の未来はどう変わるのか?

パラリンピックに興味のある10代〜70代の男女193名が回答した読者調査(パラサポWEB)から、東京パラリンピックが日本にもたらす変化、影響を調査した。

パラリンピックに関心を持つようになったきっかけは?

東京で開催されるとあって、これまで興味がなかった人からも注目を集めているパラリンピック。興味を持ったきっかけは、やはりテレビやWEBなどのメディアから知ったという人が半数近くにのぼった。開催が近づくにつれて報道される数も増え、目や耳にする機会が増えたことが要因だろう。

そして、日本財団パラリンピックサポートセンターのスペシャルサポーターである稲垣吾郎さん、草彅剛さん、 香取慎吾さん(新しい地図)の存在が、パラリンピックの世界への入口だったという意見も多かった。など、たくさんの想いが寄せられた。

また、パラスポーツの運動会や体験型イベント、パラアスリートの講演に参加したことによって興味を持った人も多かった。など、実際に体験したことで、パラリンピックを身近に感じることができたようだ。

他にも「家族や知人に障がいがある人がいる」と答えた人や、子どもを通して知るなど、身近な人がきっかけとなり関心を持つケースも多数あった。といった実体験を書いてくれた人もいた。

パラリンピックに関心を持って変わったこと、気づいたこと

1位、2位を占めたのは「パラアスリートのすごさ」、「パラリンピック競技の面白さ」。実際に観たり知ったりすると、パラアスリートたちの身体能力の高さ、卓越したテクニックに驚いたようだ。そして、障がいの程度によって差がつかないように考えられたルールや、ワクワクするような試合展開など、なんら一般のスポーツと変わらない、むしろ凌駕するような面白さに気付いた人も多かった。

ちなみに観戦したい、注目している競技のナンバーワンはだった。ルールの簡単さから誰でも気軽にでき、見ても面白いということで高い支持を集めた。他にもといった車いす関連のパラリンピック競技、視覚障がいのある選手が行うやなども人気だった。

「工夫することで社会のバリアや障がいがとりのぞけると思った」、「障がいのある方への偏見がなくなった」を選んだ人は、パラリンピックを通して、障がいのある人の見方や関わり方が劇的に変化するという意見が多く、それが社会全体へと波及してほしいという希望も込められたコメントが目立った。

また、第5位には「障がいのある方だけでなく、国籍や性別、宗教、セクシャリティの違いなど、以前より多様な人々を受け入れられるようになった」、第6位には「街中で障がいのある方に声をかけたり、サポートできるようになった」とあるように、パラリンピックがD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の意識が高まるきっかけにもなることを証明する結果となった。

パラリンピックで日本の何かが変わるとしたら、何が変わることを期待しますか?

東京パラリンピックが開催されることで起こる変化についての期待は、上記のような順位となった。中でも社会ができること、すべきこと、自分ができる行動についての具体的な回答を問うと、以下のようなコメントが寄せられた。

◆日本が変わるために、社会ができること、すべき行動は?◆日本が変わるために、あなたが日々の中で、できる行動は?

2019年の年末から年始にかけて読者調査を行い、編集部でそのすべての回答、コメントに目を通させて頂きました。今回分かったのは、多くの人が「パラリンピックを通して自身の意識変革が起こった」ということ。パラリンピックをきっかけに、パラスポーツを観戦、体験し、障がいのある人たちと同じ視点に立って考えてみることで見えてくる、新しい発見や気づき、価値観に変化が起こる。そのひとりひとりの小さな意識の変化が、やがて日本社会全体の在り方を変える。パラリンピックはそんな可能性や価値に満ちている。

すでに東京パラリンピックのホストタウンを中心に、自治体や教育現場ではパラアスリートの講演やパラスポーツの体験を通じたダイバーシティ(多様性)、インクルーシブ(包括的な)な気づきにつながるプログラムが広まっている。2020年度の学習指導要領にも「パラリンピック教育」が新たに加わる。テレビや新聞等のマスメディアでは、まだまだパラスポーツに関する情報発信が少ない。パラスポーツの日本選手権や世界大会がもっと放送されるようになり、アスリートの勇姿や驚異的なパフォーマンスを通じてインスピレーションを感じる人が増えれば、健常者や障がい者というくくりが消え、お年寄りや子ども連れのママなどみんなにとって暮らしやすいD&I社会に変わっていけるはずだ。

https://www.parasapo.tokyo/paralympic/2020ticket

text by Jun Nakazawa