「橋本総業 ジャパンウイメンズオープン」(本戦9月12~18日/東京・有明テニスの森公園テニスコート)は9月12日に本戦1回戦7試合が行われ、日本人選手では奈良くるみ(安藤証券)が2回戦進出を決めた。また、全豪オープン8強の第…

 「橋本総業 ジャパンウイメンズオープン」(本戦9月12~18日/東京・有明テニスの森公園テニスコート)は9月12日に本戦1回戦7試合が行われ、日本人選手では奈良くるみ(安藤証券)が2回戦進出を決めた。また、全豪オープン8強の第6シード、ジャン・シューアイ(中国)と対戦した穂積絵莉(エモテント)はフルセットの接戦を演じたがあと一歩及ばず、金星を逃した。

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 リオ五輪出場、全米オープン3回戦進出と今シーズン、ダブルスで実績を上げている穂積は、シングルスはワイルドカード(主催者推薦枠)での出場。そのシングルスでは9月12日現在の世界ランキング197位とまだツアーレベルで戦うところまで達していないが、1回戦は世界ランキング49位と格上のジャンに対してフルセットの末に敗れたものの互角のストローク戦を見せて大きな手応えを得た。

 ジャンは今年の全豪オープンではベスト8、さらに全米オープンでは3回戦進出と、27歳ながら今シーズン大きな躍進を果たした選手だ。

「今、乗っている選手。試合前は正直どうなるかなと思った」という穂積だが、いざ試合が始まってみれば力強いストロークの応酬でランキングの差など感じさせなかった。いや、どちらかといえば試合の大半の時間で優勢にプレーしていたのは、穂積だった。

 第1セット5-2とリードしながら挽回を許して5-5。続くジャンのサービスをブレークして6-5としたが、ブレークバックされて6-6。タイブレークを落として第1セットを失ったが、気落ちすることなく第2セットを6-1と一方的にプレーしてセットオール。――と、ここまでは順調だった。

 ファイナルセットも2-0とリードして勝利まであと一押しというところまでいったが、このあと「エネルギーダウンした」という穂積は急失速。ジャンに3ゲーム連取され逆転を許すと、続く自身のサービスゲームをキープするので精いっぱい。最後は勝負どころをフォアハンドで鋭く攻め立てたジャンが3ゲーム連取し、試合を終わらせた。

「もともとフィジカルは大きな課題で、スタミナがもたなかった」と穂積はファイナルの失速を振り返ったが、そのスタミナとともに痛感したのはここと見据えた勝負どころで確実にポイントを奪っていくことがいかに大切で、いかに難しいか。

「試合が終わったあとスタッツを見たのですが、ファーストサーブの確率は相手と同じ。ファーストサーブが入ったときのポイント獲得率は上回っていたし、トータルポイントでも上回っていた。実力的には差がなかったということ。違いはどの場面でポイントを取ったかで、相手は締めるべきところは締めてきた。そういう差は小さく見えるけど、大きいと思う」

 そういえば、穂積を破ったジャンも、穂積同様に二十代前半はダブルスで実績をつくっていった選手でもある。

 ダブルスでの大舞台での経験について、「そうした雰囲気の中でできることはすごく刺激になるし、実際に練習ではトップの選手と打ち合える。これはシングルスにも生きているところ」と、穂積は語る。

 シングルスでいつブレークしてもおかしくない――そのポテンシャルを十分に見せた試合だったといえるだろう。

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 初日に1回戦を行った選手としては、奈良が今シーズン2連敗中のタミラ・パシェック(オーストリア)に6-2 6-2と快勝して2回戦進出を決めている。日比野菜緒(LuLuLun)とワイルドカードで出場した尾﨑里紗(江崎グリコ)は1回戦で敗退した。

(テニスマガジン/ライター◎田辺由紀子)