ジョン・マッケンロー(アメリカ)は、ニック・キリオス(オーストラリア)のファンであることを隠しはしない。7つのメジャータイトルを持ち、現在はアメリカのスポーツチャンネルESPNのテニス解説者で…

ジョン・マッケンロー(アメリカ)は、ニック・キリオス(オーストラリア)のファンであることを隠しはしない。7つのメジャータイトルを持ち、現在はアメリカのスポーツチャンネルESPNのテニス解説者であるマッケンローは、キリオスの「この夏の間にサービスエースを1本取るたびに、森林火災の被災地支援に200オーストラリアドル(約1万5000円)を寄付する」という誓いに感動し、自分も貢献したいと考えた。

キリオスが「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月20日~ 男子2月2日・女子1日/ハードコート)1回戦でロレンツォ・ソネゴ(イタリア)に勝った後、マッケンローはコート上で勝利者インタビューを行った。その時、自分もキリオスがこの「全豪オープン」でセットを1つ取る毎に1000オーストラリアドル(約7万5000円)を被災地支援に寄付しようと、キリオスに告げた。

「何て言っていいか分からない。また僕を泣かせようとしているね」と、驚きで言葉を失ったキリオスは言った。元世界ランキング1位のマッケンローは、この「全豪オープン」では準決勝まで進んだことがある。彼は、現在オーストラリア中で猛威をふるっている森林火災の被害者の気持ちがわかる、だから復興を支援したいのだと語った。

マッケンローは「昨年アメリカのカリフォルニア州でも森林火災があって、その火は私の家のすぐ近くまで来たんだ。私は幸運にも被害にあわなかったけれど、被災した方々に共感できる。もちろん、今回のオーストラリアの森林火災はもっと恐ろしいけれど」とも語っている。「オーストラリアに行く用意をしていたら、たくさんの人に言われたよ、“オーストラリアに行くの?向こうはどうなっているの?すごく酷そうだけど”って。ここで起きていることはみんな気にしているよ」

「僕はニックがしていること(寄付の約束や被災地支援イベントの成功など)をニュースで読んだり見たりして、彼が率先してやっている姿を見たら他の人たちも彼を見る目が変わるだろうと思った。僕は個人的にニックを知っている。すごくいい男だよ。だから、僕も手助けしたかった」

キリオスが今年の「全豪オープン」でどこまで進めると思うか問われたマッケンローは、「彼は相手を驚かすことができるタイプの選手なんだ。大会2週目の後半まで勝ち残って、タイトルを狙っているかもしれない」と答えた。さらに、自分の寄付の誓いがキリオスの励みになって、この「全豪オープン」が彼のキャリア最高の大会になればいいと願っていると付け加えた。

「ニックはまだまだ未知数だ」とマッケンローは言った。「今回彼に言ったことの理由の一つには、彼を励ますことができればという思いがあったから。彼が1セットでも多く取れば、僕の寄付も増える。彼が自分の可能性を開花させてくれたらこんな嬉しいことはない」

マッケンローの寛大な申し出を受けても、キリオスはプレッシャーは全く感じていないと強調した。期待値は上がったが、「これまでと同じ、自分ができることをやるだけだよ。できれば、エースを取り続け、セットを取り続けられたらいいと思ってる。(マッケンローが寄付の誓いを立ててくれたことは)すごいことだよ。本当に助けたいと思ってくれている。そして多くの人々が、それに感謝していると確信しているよ」

※為替レートは2020年1月24日現在

(テニスデイリー編集部)

※写真は2020年「全豪オープン」でのキリオス

(@Photo by Cameron Spencer/Getty Images)