「橋本総業 ジャパンウイメンズオープン」(本戦9月12~18日/東京・有明テニスの森公園テニスコート)本戦3日目はシングルス1回戦の残り4試合および2回戦3試合とダブルス1回戦8試合が行われ、注目の大坂なおみ(日本)は6-0 …

 「橋本総業 ジャパンウイメンズオープン」(本戦9月12~18日/東京・有明テニスの森公園テニスコート)本戦3日目はシングルス1回戦の残り4試合および2回戦3試合とダブルス1回戦8試合が行われ、注目の大坂なおみ(日本)は6-0 6-2と危なげないプレーで2回戦に進んだ。

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 わずか53分の完勝劇だった。

 全米オープン3回戦で世界ランキング9位、地元アメリカの成長株マディソン・キーズ(アメリカ)をあと一歩まで追い詰めた勢いを、そのままこの有明でも見せつけた。

 時速190km台をコンスタントにマークするファーストサービス、フォアサイドでもバックサイドでもチャンスに一発で決めきれるハードヒットだけでなく、この日は試合を通して安定したプレーで世界ランク126位(9月12日付)のアネット・コンタベイト(エストニア)を寄せ付けなかった。

 1ゲームも与えることなく第1セットを奪うと、第2セットは5-1。続くゲームでコンタベイトがサービスをキープして5-2となった場面で、一瞬、大坂の脳裏に全米オープンでの逆転負けがよぎったというが、続くゲームは大坂のサービスゲーム。

「それほど心配せずに、1ポイント1ポイント集中した」と、武器である強力なサービスを軸に押し切った。

「全米オープンのキーズとの試合では最後、アグレッシブにプレーできなかったので、今日はアグレッシブにプレーしようとしたわ。その全米での反省が生きた試合になったと思う」

 18歳の成長は、とどまるところを知らない。1回戦の対戦相手コンタベイトとは昨年のグラスコートシーズンに一度対戦してファイナルセットで勝利しているが、「彼女はプレースメントを選ばないとアグレッシブにプレーしてくるとわかっていたから、センターにボールを集めてチャンスというときに彼女を走らせる。そして、こちらはアンフォーストエラーをしないこと」と戦略を立て、それを着実に実行した。

 昨年、この大会では予選を勝ち上がり本戦入りしたものの、その本戦1回戦では当時世界ランキング64位のイリーナ・ファルコーニ(アメリカ)に第1セットを7-5で奪いながら「集中力を失ってしまった」と逆転負け。直後の記者会見で、「勝てるかもしれないと思ったときに集中力を失ってしまう。負けるときはいつも同じで、自分自身、常にそれと戦っているわ」と振り返ったが、同じ過ちは犯さず、全米オープンでの敗戦も糧にして、この試合では最後まで集中力を持続した。

 自身のウイークポイントを「メンタル面」と分析するが、現在の大坂はその課題を真正面から受け止め、それさえ克服しようとしている。

 その先に、彼女がどんな高みへと駆け上がっていくのか――。引き続き、有明でのプレーに注目したい。15日の2回戦では、穂積絵莉(エモテント)を破った世界ランキング49位、第6シードのジャン・シューアイ(中国)と対戦する。

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 また、予選を勝ち上がり本戦入りした加藤未唯(佐川印刷)、瀬間詠里花(橋本総業ホールディングス)は1回戦で敗退。

 ダブルスでは、青山修子(近藤乳業)/二宮真琴(橋本総業ホールディングス)が第1シードのシュー・イーファン/ジェン・サイサイ(ともに中国)を6-4 7-5で破る金星で2回戦進出を決めた。昨年準優勝の土居美咲(ミキハウス)/奈良くるみ(安藤証券)はデミ・シヒュース(オランダ)/レナタ・ボラコバ(チェコ)に5-7 6-4 [4-10]の接戦の末、敗退。青山/二宮は15日の第5試合で、そのシヒュース/ボラコバと対戦する予定だ。

「今日と同じように自分たちの力を出し切りたい」(青山)「たくさんのお客さんの前でプレーできるのが楽しい。たくさんの方に見てほしい」(二宮)とふたりは2回戦に向けて、意気込みを語っている。

(テニスマガジン/ライター◎田辺由紀子)