2回戦の勝利が決まった瞬間、フィセッテコーチらがいる選手ボックスへ向けて笑顔になった大坂なおみ 大坂なおみ(WTAランキング4位、1月20日づけ)が、オーストラリアンオープン(全豪)2回戦で、ジェン・サイサイ(42位、中国)を6-2、6-4…



2回戦の勝利が決まった瞬間、フィセッテコーチらがいる選手ボックスへ向けて笑顔になった大坂なおみ

 大坂なおみ(WTAランキング4位、1月20日づけ)が、オーストラリアンオープン(全豪)2回戦で、ジェン・サイサイ(42位、中国)を6-2、6-4で破り、3年連続で3回戦進出を決めた。1時間20分のストレート勝利ではあったが、見ごたえのある試合となった。

 パワーとスピードに勝る大坂に対し、ジェンは、ラリーになるとフォアとバック両方からスライスを交ぜて、リズムを崩そうとした。

「第2セットはかなり接戦でした。大坂選手は、クリーンに打って、重いボールを打ってくるので、スライスや(弾道の高い)ハイボールを交ぜて、心地よくプレーさせないようにしました」(ジェン)

 大坂は第1セットを先取したものの、第2セット第3ゲームでサービスブレークを許すと、ラケットをコートに叩きつけて蹴り、フラストレーションを抑えきれずに悪態をついてしまうほどだった。

 ジェンに第2セット2-4とされ、第7ゲームで自分のサービスゲームを迎えた時、大坂は自分にこう言い聞かせていたという。

「ラリーの時に、メルボルンのロゴ(ベースラインから約3m付近にテニスコートにペイントされている文字)付近にいたので、(コートの中へ)ステップインし続けようと自分に言い聞かせたんです。たとえ自分が第2セットを失ったとしても、彼女(ジェン)は第3セットでいい動きができないくらい疲れているはずだって。だから私の足に燃料をためておきました。そして、何かが変わればと願っていました」

 その結果、大坂の思惑どおりに試合が動き始める。ジェンが「大坂のサーブがかなりよくなり始めた。再び攻撃的になった」と振り返ったように、大坂が4ゲーム連取で勝利を手にした。大坂は、サービスエースは1本もなかったものの、フォアの11本を含む合計20本のウィナーを決めた。一方で、バックのミス14本を含む30本のミスを強いられた。

 ただ、ジェンもセカンドサーブでのポイント獲得率が29%にとどまり、大坂のサーブをブレークしても、すぐにブレークバックを許す形が第2セットに2回あった。リードをしても重要なポイントでメンタルが引き気味になってしまい、突き放すことができなかった。

 ツアーの中堅どころで活躍している25歳のジェンと、トッププレーヤーに成長した22歳の大坂の実力差が終盤で出た形になった。

 大坂とジェンの初対戦は、2015年ITF岐阜大会の決勝で、当時大坂は17歳、WTAランキングは227位だった。以前の大坂を知るジェンは、「動きがすごくよくなりましたね。すべてがよくなったからこそ、彼女はグランドスラムチャンピオンになれたんでしょう」と、進化を遂げた大坂を称えた。

 この時の試合で、大坂は第1セットを先取したものの、スライスを交ぜてリズムを乱す試合巧者のジェンの術中にはまってしまい、ミスを多発して敗れた。

 今回も第2セット前半で大坂がぐらつく場面があったものの、そこから立て直せたのは、経験値が上がっていることもあるが、やはりウィム・フィセッテコーチの存在が大きい。

 1回戦の直前にフィセッテコーチが、ツアーコーチとしてとても大事だと思っている点や大坂が忘れがちになる重要な点をノートに記し、その1ページを切り離すと、大坂はそれを大事そうに自分のラケットバッグにしまうという光景が見られた。大坂にとって、その1ページがお守りのような役目を果たしている部分もあるのだろう。大坂とフィセッテコーチのベクトルは一致していて、目指すはグランドスラムの頂点。グランドスラムタイトルを再び取ることができると思えたからこそ、一緒に戦うことを大坂は決めたのだ。

「ここ(メルボルン)へ来るときに、何度も自分のメインのゴールについて考えてきました。私がウィムとまず目指すべきメインゴールは、トーナメントで優勝することであり、グランドスラムで優勝することです。彼も同じことを感じていることを確信しています。私たちは、すごく似たビジョンを持っています」

 3回戦で大坂は、15歳の新鋭コリ・ガウフ(67位)と対峙する。昨年のUSオープン3回戦で大坂が勝ったのは記憶に新しく、大坂が優位に思われるが、若き挑戦者であるガウフは決して気後れしていない。

「今回私はナーバスにならないと思います。私たちはお互いのゲームをよく知っていますしね。より攻撃的にいきたいですし、自信もあります」

 昨年のニューヨークに続いて、メルボルンでも実現することになった、女子テニス界の未来を担う2人の対決から目が離せない。