第28回全日本大学女子選手権早大00-20-02日体大【得点】(早大)なし(日体大)10’児野楓香、40’奥津礼菜 前日の雨が嘘のような晴れ模様の中、全日本大学女子選手権(インカレ)決勝が聖地・西が丘で行われた。決勝の相手は日体大。なでしこ…

第28回全日本大学女子選手権
早大0-2
0-0
日体大
【得点】
(早大)なし
(日体大)10’児野楓香、40’奥津礼菜

 前日の雨が嘘のような晴れ模様の中、全日本大学女子選手権(インカレ)決勝が聖地・西が丘で行われた。決勝の相手は日体大。なでしこリーグ1部でプレーする選手も多いチームであり、ア式蹴球部女子(ア女)にとっては、昨シーズンのインカレで4連覇を阻止された因縁の相手でもある。延長戦にもつれ込みながらも勝利をつかんだ準決勝の勢いそのままに決勝に臨んだア女だったが、試合は終始日体大が主導権を握る展開に。ロングボールを多用し、前線に起点をつくる相手の攻撃に対応できず、前半の早い時間帯に先制点を許すと、前半終了間際にも失点し、2点ビハインドで前半を折り返す。後半、積極的な攻撃を見せたア女だったが、最後まで日体大のゴールネットを揺らすことはできずに試合終了。またしても決勝で日体大に敗れ、2年連続でインカレを2位で終えるかたちとなった。

 前半、深い位置からのロングフィードを2トップが収めて起点をつくる日体大に対して、ア女は大苦戦。「相手に自由にやられて自分が引き出されて裏に抜けられる場面も多かった」とDF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が語るように、守備の局面で数的優位をつくることができず、個人技術で上回る相手に対して後手に回る。10分、高い位置でFW目原莉奈(3年)にボールを奪われると、スルーパスに抜け出したFW児野楓香(4年)にGKとの1対1を決められ先制を許してしまう。同点に追いつきたいア女は13分にMF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)が前を向いてドリブルを開始すると、右サイドのDF船木和夏(スポ1=日テレ・メニーナ)へ展開。クロスは合わなかったものの攻撃のかたちをつくると、14分にはDF井上萌(スポ1=東京・十文字)の縦パスからMF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)、MF村上真帆(スポ3=東京・十文字)、MF蔵田あかり(スポ2=東京・十文字)とつなぎ相手ゴールに迫っていく。シュートまでは至らなかったが、四人が絡む迫力のある攻撃を見せた。だが、「(日体大は)全てで自分たちよりも上をいっていた」と松本が語ったように、球際で競り負けてボールを奪い切れない場面や、相手のプレッシャーに押され、つなぎの部分でのミスが多く、再び日体大に流れを奪われる。前半中盤以降は守備の時間が増えながらもなんとか耐えていたア女だったが、40分、児野のパスに抜け出したMF奥津礼野菜(4年)に決められ失点。絶対に与えたくなかった追加点を奪われてしまった。守備では相手の2トップを自由にしてしまい、攻撃ではストロングポイントである左サイドが守備に追われる場面が目立つなど、攻守に課題を残し前半を折り返した。


前半失点を喫し、悔しがる選手たち

 後半、なんとしても同点に追いつきたいア女は、後半からDF中條結衣副将(スポ4=JFAアカデミー福島)を投入。「(指示は)特に受けていないです」と中條は語ったが、「自分が入ったらそうなるというのはみんな分かっていたと思う」とも語ったように、センターバックによりキック力のある中條を投入したことで、チームに共通理解が生まれ、前線の動きが活性化。2トップのFW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)とFW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)、右サイドの松本がフィードに反応し、そのこぼれ球を起点に積極的な攻撃を仕掛けていく。すると60分、右サイドの松本にボールが渡ると一気にペースアップ。松本のパスを受けた廣澤がボールを収めるとタメをつくり、松本へリターンパス。松本のクロスにファーサイドで山田がフリーで合わせたが、シュートは惜しくも枠の左に外れてしまった。66分には小林のフィードを起点に山田へボールがつながると、左足一閃。蹴り放たれたボールは日体大ゴールへ吸い込まれるかと思われたが、惜しくもバー直撃。得点を奪うことはできない。その後も相手ゴールに迫りたいア女だったが、2点リードがあるためリスクを冒さない日体大に対して攻めあぐねる場面が続き、逆に前がかりになったラインの裏を突かれピンチを招いてしまう。オフサイドやバーに助けられ追加点こそ許さなかったものの、終盤に近づいても運動量が落ちない相手に攻め手を欠いてしまった。81分、流れを変えたいア女ベンチは2枚替えを敢行するも機能せず。個人技術に長け、終盤になっても運動量が落ちず、出足も良かった日体大に完敗を喫し、ア女の『頂』への挑戦は終わった。


ドリブルを仕掛ける高瀬。今季は主将としてチームを引っ張ってきた

 試合後、「終わってからみんなで『本当に強かったね』と話をしていた」と高瀬が語るように、日体大は組織されたチームであり、ア女よりも一枚も二枚も上手だった。だが、最後まで臆せず戦い抜いた選手たち。その姿は美しく、見るものに感動を与えただろう。また、印象的だったのは試合後の4年生の表情だ。下級生の中には涙を流すものも多かったが、4年生の表情はどこか明るく、達成感に満ち溢れていた。「チームをつくることの難しさというのを感じた」という山田の言葉にもある通り、最高学年としてピッチ内外で奔走してきた4年生。2位という結果には終わったものの、最高学年としてやり切ったからこそ得られた達成感。それは新たなステージに進んでもきっと大きな財産になるだろう。ア女から羽ばたいていく4年生の今後の活躍に期待したい。そして、2年連続インカレ2位の悔しさを味わった先輩の夢を託された後輩たち。来季も主力として活躍が期待される村上は、目標は「インカレ優勝」と言い切った。先輩たちの思いを胸に、新たなア女の『頂』への挑戦が再び始まる。

(記事 稲葉侑也、写真 森迫雄介、石井尚紀、永池隼人)


スターティングイレブン


試合後の集合写真。多くの選手が笑顔で今季を締めくくった!







早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK16川端 涼朱スポ3東京・十文字
DF35船木 和夏スポ1日テレ・メニーナ
DF小林 菜々子スポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF31井上 萌スポ1東京・十文字
→HT中條 結衣スポ4JFAアカデミー福島
DF中田 有紀スポ4兵庫・日ノ本学園
MF10村上 真帆スポ3東京・十文字
→81分14田中 実夏スポ4セレッソ大阪堺レディース
MF11松本 茉奈加スポ3東京・十文字
MF◎8高瀬 はなスポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
FW山田 仁衣奈スポ4大阪・大商学園
MF13蔵田 あかりスポ2東京・十文字
→68分32高橋 雛社1兵庫・日ノ本学園
FW34廣澤 真穂スポ1ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
→81分30土居 明日香スポ4ちふれASエルフェン埼玉
リザーブ:GK33近澤澪菜(スポ1)、DF5源関清花(スポ4)、MF12並木千夏(スポ2)
◎=キャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

監督・選手のコメントについては、上記のからご覧ください。