組織改革!“学年を越えたつながり”でチーム2019の土台を築いた主将・寺木の思い2019年秋季リーグ入れ替え戦後、笑顔を見せる選手たち部員不足や2部降格など苦しい1年を走り切った主将・寺木(文4)の表情は晴れやかだった。「1つの目標に向かっ…

組織改革!“学年を越えたつながり”でチーム2019の土台を築いた主将・寺木の思い


2019年秋季リーグ入れ替え戦後、笑顔を見せる選手たち

部員不足や2部降格など苦しい1年を走り切った主将・寺木(文4)の表情は晴れやかだった。「1つの目標に向かってみんなが戦うチームを作ってくれたことが本当に嬉しかった」。「みんなで作れた」ではなく「みんなが作ってくれた」と表現するところが彼女らしい。

一昨年12月末、誰もが主将には、高校からの経験者で先輩から信頼の厚い廣瀬(コ4)がなるだろうと思っていた。予想に反して大平監督が指名したのは寺木だった。部員1人1人をよく見ている選手。MFの中でもレフトインサイドという守備から攻撃へつなげる中心的ポジションで、比較的後方から各選手の癖や動きを見ることが出来ていた。だがそれまでリーダー経験はなく「私が主将でこのチームは良いのかな」と不安でいっぱいのままオフが明けた。

年明けからの3か月は一瞬で過ぎた。交代選手のいない少人数なチームでどう戦うかと脳みそを絞る。加えて寺木には変えたい風習があった。「先輩後輩関係なく話しやすい雰囲気を作りたい」。4年生は厳しくあるという伝統に怯え、疑問を抱いた下級生時代。少人数の今年はとにかく密なコミュニケーションが必須だと考えた。2月の冬合宿ではミーティング後に3学年全員で人狼ゲームをした。「単純に私がやりたかっただけ」と笑いながらも、練習以外でチームが集まる場を作ることは意図的だった。同期4人も下級生との対話を意識的に増やしてくれ、先輩後輩でふざけ合うことも。「以前は絶対できなかった」。そんな様子を見ていてただうれしかった。

4月に入部した新入生はすぐに上級生との対人練習に組み込んでいった。寺木が下級生の頃は、1年生は12月頃まで別メニューでの基本練習。「別メニューを何か月も繰り返すことが疑問だったし、私たちには即戦力が必要だった」。先輩から1年生に話しかける事を徹底しながら3対3や5対3での練習を課した。春季リーグは人数不足と得点力不足が原因で苦戦し、上智大との入れ替え戦で2部に降格してしまう。「やっぱり私が主将だったから、今までと違う雰囲気のホッケー部にしたから」と罪悪感もあった。だが7月ホッケー公式サイトの記事を読んで、8年前にも上智大に負けて2部に降格し、秋にリベンジして1部に戻ったことがあることを知った。「じゃあ秋絶対もう1回それやろうよ」。同期と、後輩と何度も励まし合った。


2019年春季リーグ入れ替え戦でヒットを打つ寺木

秋季リーグ学習院大との入れ替え戦、「最後は楽しもう」とみんなで円陣を組んで臨んだ。結果は1点差で2部残留。チーム2019が2部に落ちたまま終わることは悔しかった。申し訳なかった。しかし部員全員で目標に向かってチーム作りが出来たことが何よりうれしかった。これまでゴールを決めたことがなかった3年生は続々と得点に貢献できるように。追い付けていなかったリバウンドボールにも反応できるようになった。ベンチからの1年生の「ナイスです!」に幾度となく背中を押された。結果こそ目標には届かなかったものの「同期にも後輩にも本当に恵まれている。そうでなかったら4年の途中で辞めていた」。笑っていたが、その目は真剣だった。

部の風習を変えたことは正しかったのか。ハッピーエンドではなかったかもしれない。そう考えるのはまだ早い。寺木たちが築いた学年を越えたつながりは、固い基盤となってチーム2020を支え続ける。サクセスストーリーは始まったばかりだ。
(1月12日 南はるか)


2019年秋季リーグ順位決定予選対横市大で後方から選手たちの動きを見守る寺木

◆インタビュー抜粋◆
-ホッケーの魅力は
変な棒と、重いボールだけでいろんなプレーができるって、考えた人がまずすごいなと言うか。スティックの片側しか使ってはいけないとか、ただでさえ意味の分からないスポーツにそんな負荷をかけて、本当に難しいけれどその中でできることが増えるっていうのがすごく楽しいです。ホッケーじゃなければスポーツはやっていないと思います。
-ご自身のポジションはいつ決まる?
1年の夏合宿中に監督から2つくらいのポジションをやるように言われます。私が左のインサイドと最近やっていたスイーパーというところで、高校時代はずっとスイーパーだったのでそこにしてもらえるのがいいなと思っていました。実際は3年生くらいまで左のインサイドの方で出してもらっていました。多分適性を見て、後はここやったらこいつが成長できるんじゃないかみたいなことを考えて2個ずつだと思います。
-下級生では辛いこともあったが、3年生で変わったことは
やっと3年生になってベンチにも入れるようになったし、1個上の先輩が強かったのもあって少し部活の流れが変わったというか、本当の強さで引っ張って行ってくれるような感じだったのでそれにはしっかりついていきたいと思ったし、責任感が生まれた年でした。
-人のことを良く見ているとは?
普段の練習で1個下の子に言われたのは「私を見るとだいたい目が合う」と言われたのですが無意識でした。でもホッケーは癖が出るスポーツなので、癖が良い癖なのか悪い癖なのかとか、どういうときにその癖が出るから気を付けた方が良いとかは言えるようにしっかり見ていました。
-どういう癖の人がいる?
例を出すと今2年の来栖(コ2)が結構焦りがちなんです。練習、試合でも相手がいるだけで焦ってしまって、ボール少し動かしてから打とうとするから空振りしちゃうよとか、それだったらボール動かさずにその場で打てる練習したほうがいいんじゃない?とか。本人も分かっているけれどどうしたらよいか分からないという点をなるべく言ってあげられるようにはしたいです。
-チーム2020はどうなって行く?
1個下は本当に優しい子が多くて遠慮しがちで、自分たちにどれくらいできるかなとすごく不安に思っているような気はします。でもそういう不安な心さえ持たなければ1年生もいっぱい入ってくれて、これまでフォアードなどでしっかりチームを引っ張ってきてくれた子たちでもあるので、絶対に1部に上がるにはふさわしいチームになると思います。頑張ってほしいです。
-次期主将に期待することは
引っ張るぞという子というよりはみんなを見ているような子なので、自分に喝を入れてしっかり自分が引っ張っていくんだぞっていう気持ちで頑張ってほしいなと思います。やるところはちゃんと、自分のチームだぞと思ってやって行ってほしいです。
-勝負飯やお守りは
お守りは毎年秋リーグが始まる前に1年生が作ってくれるんです。毎年創意工夫を凝らされていて、今の2年生の子たちだとすごくかわいいだるま作ってくれたり。スティックバックにつけていると力になったし、後輩が私たちのことを思って作ってくれてたのはすごく大事なお守りだったと今も思います。あとマネージャーも毎年ミサンガを作ってくれるんです。名前入りの。今年だと「Revival(復活)」と入れてくれたりして。超大変なんですよ、2人で部員全員分編んでくれるので。時間をかけて作ってくれるっていうのは大きな心の支えでした。そういう良い伝統は続けていってほしいです。