23年ぶりの頂上決戦だ。全国大学選手権(大学選手権)はついに決勝戦を迎えた。対戦相手は宿敵・明大だ。明大が決勝に進出するのはこれで3連続のこと。また、2019年に行われた公式戦において現在早大は2連敗中だ。そのため、選手たちの中でリベンジ…

 23年ぶりの頂上決戦だ。全国大学選手権(大学選手権)はついに決勝戦を迎えた。対戦相手は宿敵・明大だ。明大が決勝に進出するのはこれで3連続のこと。また、2019年に行われた公式戦において現在早大は2連敗中だ。そのため、選手たちの中でリベンジにかける思いは強い。3度目の正直となる勝利を収め、11年ぶりに部歌である『荒ぶる』を「国立」に響かせることができるか。


インゴールに飛び込む箸本(明大)

 昨年度大学王者である明大は攻守ともにバランスがとれている。伝統的なスクラムの強さは健在。関東大学対抗戦(対抗戦)での大戦時は幾度も早大にプレッシャーをかけ続け、反則を誘発させた。その試合で特に、存在感を放ったのがロック箸本龍雅(明大)だ。強靭(きょうじん)なフィジカルを前面に押し出し、何度もゲインラインを突破。早大を苦しめた。BKには今季からSOに転向した山沢京平(明大)、得点源であるWTB山﨑洋之(明大)などタレントがそろっている。前回はディフェンスで後手に回ってしまい、失点を許してしまった。修正し、強力な明大のランナーたちを止めることができるか。

 大学選手権の準決勝の舞台、早大は天理大と対戦。チーム発足時から「昨年を超える」(相良南海夫監督、平4政経卒=東京・早大学院)を一つの目標に掲げ鍛練を積んできた。昨年度のファイナリストとの一戦苦戦が予想された。しかし、その予想に相反する展開を見せる。序盤から猛攻をしかけ、3連続で得点。天理大も追い上げを見せるがミスが続く。相手の強みを出させないまま、圧倒。快勝を収め、決勝へと駒を進めた。


タックルするCTB中野将伍(スポ4=福岡・東筑)(左)とロック下川甲嗣(スポ3=福岡・修猷館)

 今試合のキーポイントはスクラムとグラウンドだろう。前者に関して佐藤友重スクラムコーチ(平6人卒=秋田工)は「選手の自信や、経験値は間違いなく上がっている」と手応えを口にする。対抗戦では完敗した相手。修正できるか。また、後者は新しく建設された聖地・国立競技場の広さだ。視察に行ったSO岸岡智樹(教4=大阪・東海大仰星)は「アタックする側にデメリットでしかない」と不安要素を語る。今回のスタジアムではインゴールが狭く、キックを強く蹴りすぎてしまうとボールがタッチを割ってしまう。そのため、キックを多用する早大にとっては不利に働くかもしれない。だが、選手たちの意識は明大にリベンジし、『荒ぶる』を歌う。その一点だ。舞台は整った。全ての観客を魅了し、赤黒戦士は優勝へ突き進む。

(記事 小田真史 写真 千葉洋介)

コメント

フランカー幸重天副将(文構4=大分舞鶴)

――最後の練習を終えていかがですか

長かったような、早かったような…。いろいろな思いがありますね。

――やはり特別な思いが強いですか

そうですね。このグラウンドでできる最後の練習なので、感慨深いですね。

――対抗戦の明大戦ではラインアウトで苦戦しましたが、天理戦ではラインアウトで優位を確保しました

明治はセットプレーを強みにしているチームなので、そこをまず崩せたらいいのですが、この前の天理大戦ができ過ぎだったので、うまくいかなくても取れないことに対してイライラせずにプレーできればと思います。

――大観衆の国立競技場を想像されましたか

今までの秩父宮の早明戦がマックスだったので、未知の世界というか、どんな感じなのかなという思いです。

――楽しみという気持ちですか

そうですね。ワクワクの方が大きいですね。

――明大のどの選手を抑えたいですか

坂くん(NO・8坂和樹)は同級生ですし、2、3年生からずっとやってきて最後になるので、しっかり止めて終わりたいですね。

――タックルは高い成功率で入り続けたいですか

しっかりと前に出て、下に入って止め続けたいです。

――練習ではFW陣の雰囲気が良さそうに見えました

やっぱり対抗戦に入ってしっかりとFWで勝ち切れているので、今の雰囲気はいい状況です。

――「明治、明治」という声も出ていました

ゴール前で明治コールが来るだろうから、しっかりとそれを意識して練習しようというのがありました。

――意気込みをお願いします

こういう大舞台でできるのは最後になるので、自分らしい納得できるようなプレーをして終えたいです。

――FWとして会場に対してどのような印象ですか

芝でスクラムがどうなるのかなというのがあります。あとは、トラックではラインアウトが真っすぐではないと聞くので、イメージしながら、大観衆なのでサインのコールなどの意思疎通をしっかりとやっていきたいです。

――グラウンドが狭いことに関してはいかがですか

僕らとしてはグラウンドを広く使いたいというのがあるので、そこがどうるのかなという感じですが、しっかりと自分たちのラグビーをすれば、そんなに気にする必要はないかなと思います。

――メンバー外の選手がヘッドをされていました

いい練習でした。一つになれたと思います。

――やるのはいつ決まったのですか

決勝が決まった時くらいから、伝統でメンバー外の選手がヘッドをやるというのを聞いていて、昨日コーチに言われました。いつも試合前練習をメンバー外の選手が見てくれていたので、試合メンバーでしっかりと見ようと僕から直人に言いました。

ロック下川甲嗣(スポ3=福岡・修猷館 )

――決勝の相手は明治大学ですが対抗戦のリベンジも懸けた一戦に対する想いを聞かせてください

対抗戦であんま負け方をしたので、何もさせてもらえなかったので、本当に不完全燃焼なので、自分たち的にも爆発させたい気持ちはたくさんあるのでそれを明日晴らしたいと思います

――前回の明治戦で課題となったラインアウトについて対策や練習はどのようにされてきましたか

ラインアウトは、向こうの対策もしたんですけど、やっぱり自分たちのボール取れなきゃアタックもできないんで、まず自分たちのラインアウトにフォーカスして準備してきました

――スクラムについてはどうですか

明治はどこよりも重たいので、Bチームの人数を増やして物理的に重たい状況を作って練習してきたので、組み方自体は一列目の人に任せるんですけど、全体的に低くいこうと話しています

――明日の試合のキーとなる部分はどこだと考えていますか

それは間違いなくセットプレーです

――最後に意気込みをお願いします

きつくなったら4年生の顔を思い出して、明日は4年生のために闘うって気持ちで頑張ります

      

早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
久保 優スポ3福岡・筑紫
森島 大智教4東京・早実
小林 賢太スポ2東福岡
三浦 駿平スポ4秋田中央
下川 甲嗣スポ3福岡・修猷館
相良 昌彦社1東京・早実
幸重 天文構4大分舞鶴
丸尾 崇真文構3東京・早実
◎齋藤 直人スポ4神奈川・桐蔭学園
10岸岡 智樹教4大阪・東海大仰星
11古賀 由教スポ3東福岡
12中野 将伍スポ4福岡・東筑
13長田 智希スポ2大阪・東海大仰星
14桑山 淳生スポ4鹿児島実
15河瀬 諒介スポ2大阪・東海大仰星
リザーブ
16宮武 海人政経2東京・早大学院
17横山 太一スポ2東京・国学院久我山
18阿部 対我社2東京・早実
19中山 匠教4東京・成城学園
20大﨑 哲徳文構2東京・国学院久我山
21小西 泰聖スポ1神奈川・桐蔭学園
22吉村 紘スポ1東福岡
23梅津 友喜スポ4岩手・黒沢尻北
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)