男子テニス国別対抗戦「ATPカップ」(オーストラリア・ブリスベン、パース、シドニー/1月3日~1月12日/ハードコート)。この大会の準々決勝セルビア対カナダで、世界2位のノバク・ジョコビッチ(…

男子テニス国別対抗戦「ATPカップ」(オーストラリア・ブリスベン、パース、シドニー/1月3日~1月12日/ハードコート)。この大会の準々決勝セルビア対カナダで、世界2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)はピンチの場面でさえ、王者の余裕ともいえる振る舞いを見せた。

それが起きたのは、第2試合のジョコビッチ対デニス・シャポバロフ(カナダ)でのこと。

ジョコビッチは第1セットを落とすなど、世界14位のシャポバロフに苦戦。それでも第2セットを奪うと、第3セットの第9ゲームでブレークし、ゲームカウント5-4でジョコビッチはサービング・フォー・ザ・マッチを迎えた。

しかしジョコビッチは1ポイント目をミスで失うと、2ポイント目ではまさかのダブルフォルト。0-30とポイント先行を許すピンチに陥った。シャポバロフはジョコビッチにしっかり食らいついており、ブレークバックを許せばそのまま逆転負けの流れになりかねなかった。

続く3ポイント目はより緊張感が高まる。しかしここで観客に体調不良の人がでてしまい、プレーが止まった。

するとジョコビッチはこの緊迫した状況ながら、ボールボーイがセルビアベンチから渡された水が入ったペットボトルを受け取る。そしてコートサイドまで歩いていき、ペットボトルを観客の方へ投げ入れた。この観客を気遣う行為に他の観客は拍手喝采となった。

さらに再開後のその3ポイント目で、ジョコビッチはオンラインのサービスエースを見事叩き込んだ。

結局このゲームでジョコビッチはブレークバックを許したものの、タイブレークでシャポバロフを突き放し、4-6、6-1、7-6(4)で勝利。セルビアをベスト4へ導いた。

今大会では、21歳のステファノス・チチパス(ギリシャ)がラケットを故意に破壊した際に父親に怪我を負わせてしまったり、24歳のニック・キリオス(オーストラリア)が相手チームがダブルフォルトをする度に腕立て伏せをして挑発したりなど、若手のスポーツマンシップに欠ける行為が目立っている。

しかしグランドスラムで16度の優勝を誇るジョコビッチは、ピンチでも冷静に周りを見渡す王者の余裕を見せつけた。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「ATPカップ」でのジョコビッチ

(Photo by Andy Cheung/Getty Images)