王者パリ・サンジェルマン(PSG)が首位で折り返したリーグ・アンが再開する。シーズン前半戦は例年に比べて波乱含みの…

 王者パリ・サンジェルマン(PSG)が首位で折り返したリーグ・アンが再開する。シーズン前半戦は例年に比べて波乱含みの展開となっただけに、後半戦も予断を許さない戦いが続きそうだ。

 そんななか、2位に7ポイント差をつけて首位を走るPSGは、その数字とは裏腹にシーズン序盤は低調な試合が続いていた。



得点ランキングトップのウィサム・ベン・イェデル

 主な原因は、ネイマールの移籍騒動と故障者の続出。とりわけ、ネイマールがチームに残留するかどうかはトーマス・トゥヘル監督のチーム作りに大きな影響を与えるだけに、PSGにとっての実質的な開幕は、夏の移籍市場が閉じたあとの第5節(9月14日)となった。

 ところが、それ以前の第3節トゥールーズ戦で「MCNトリオ」のキリアン・エムバペとエディンソン・カバーニが揃って負傷。残留が決まって第5節から登場したネイマールと入れ違いで戦線を離脱することとなり、しばらくは主力不在のまま戦わざるを得ない状況が続いたのである。

 こうなると、指揮を執るトゥヘル監督もお手上げ状態となり、試合中も頻繁にシステムを変更した昨季のような多彩な戦術を使いこなす手法から一転、今季はシステムを4−3−3に固定。ほとんど戦術の植えつけを行なわないまま戦うことを強いられた。

 そんなトゥヘルが本格的にチーム作りに着手したのは12月。エムバペが2度目の負傷から完全復帰してからのことだった。

 それまでほとんどシステムを変えることがなかったトゥヘルは、第17節(12月7日)のモンペリエ戦でエムバペとマウロ・イカルディを2トップに配置する4−4−2を採用。それまでアタッカー4人を同時起用することを拒み続けていた指揮官が温めていた新戦術をお披露目すると、ようやく本来の強さを発揮して連勝街道をひた走ることとなった。

 ちなみに、4−4−2に変更してからのPSGは、リーグ戦、チャンピオンズリーグ(CL)、そしてふたつの国内カップ戦も含めた7試合で計32ゴールを記録。1試合平均4.57ゴールという驚異的な得点率で勝ち続けている(1月8日のリーグカップ準々決勝までの記録)。

 こうなると、もはやフランス国内ではPSGに対抗できるようなチームは存在せず、後半戦もそのまま独走してリーグ3連覇を果たす可能性は高い。

 今シーズンは守護神ケイロル・ナバスを筆頭に、イカルディ、パブロ・サラビア、イドリッサ・ゲイェ、アブドゥ・ディアロ、アンデル・エレーラといった即戦力を大量補強し、選手層の厚みが増している。フランスカップとリーグカップを含めた国内三冠も濃厚、と見ていいだろう。

 優勝の行方とは対照的に、2位、3位に与えられるCL出場権争いについては、昨シーズン同様に最後まで予測不能な展開が続きそうだ。

 現状、そのポールポジションに立っているのは、2位のマルセイユ。だが、それを追うレンヌとリールもマルセイユと互角の実力者である。また、前スペイン代表監督のロベルト・モレーノを新監督に迎え入れて士気上がるモナコもダークホース的な存在だ。

 まず、戦前の予想を覆す好調ぶりで2位につけているマルセイユは、11月に入ってから6連勝を含めて8戦無敗で前半戦を終えたことが大きかった。

 とくにPSGに完敗したあとのリール戦とリヨン戦で、試合内容はよくないながらも相手の自滅もあって2連勝したことが転機となり、以降はエースのディミトリ・パイェが抜群のパフォーマンスでチームを牽引。それまで定まっていなかったアンドレ・ビラス・ボアス監督の戦術も、メンバーをほぼ固定したことで安定するようになったのが好調を維持できたポイントだ。

 後半戦に向けた好材料としては、負傷により長期の戦線離脱を強いられていたフロリアン・トヴァンの復帰が確実視されている点が挙げられる。これにより、4−3−3の両ウイングは左にパイェ、右にトヴァンを配置できるため、得点力がアップすることは間違いないだろう。

 そのマルセイユを追うレンヌとリールは、ヨーロッパのカップ戦で敗退しているため、後半戦はリーグ戦に集中できる。

 1試合消化が少ないなか、レンヌはマルセイユと5ポイント差の3位につけている。躍進最大のキーマンは、フランス代表でディディエ・デシャン監督の右腕を務めるギー・ステファンの息子、ジュリアン・ステファン監督だ。将来を嘱望される39歳の青年監督は、昨季は決勝でPSGを破ってフランスカップを獲得。今季も堅守をベースにチームを着実に成長させている。

 大ブレイクを果たした17歳の天才MFエドゥアルド・カマヴィンガがさらなる進化を遂げ、チーム内得点王のエムベイェ・ニアンがゴールを量産すれば、悲願のCL出場権獲得も夢ではない。

 一方、2位を7ポイント差で追う昨シーズン2位のリールも、前半戦最後の試合で黒星を喫したものの、それまでに4連勝したことで息を吹き返した印象だ。その4連勝のうち3試合が1−0の勝利と、クリストフ・ガルティエ監督が率いるチームらしい堅守を取り戻している点が明るい兆しといえる。

 また、本来の調子を取り戻しつつある新戦力のレナト・サンチェスが好調を持続し、チームを去ったニコラ・ペペ(現アーセナル)に代わる得点源として迎え入れたヴィクター・オシメンがこのままゴールを量産すれば、攻撃面の不安も解消されるはず。戦力的にはマルセイユとレンヌを上回るだけに、PSGをのぞくCL出場権獲得レースでは本命と見ていいだろう。

 そして不気味なのが、2位と10ポイント差の7位にいるモナコだ。4戦無敗でシーズンを折り返しながら、監督交代に踏み切ったフロントの決断が吉と出るか凶と出るかが最大の見どころとなる。

 前任者のレオナルド・ジャルディムは、シーズン途中から3バックを採用してチームを復調させた経緯がある。それだけに、4−4−2を採用することが予想されるロベルト・モレーノ新監督が新たな戦術を浸透させることができれば、3位以上に食い込む可能性は否定できない。

 とくに、13ゴールをマークして得点ランキングトップに立つウィサム・ベン・イェデルと、8アシストでランキングトップタイを走るイスラム・スリマニの2トップコンビはリーグ屈指の破壊力。新指揮官には彼らふたりを最大限に生かすチーム作りが求められる。

 そのほか、日本人にとっては、現在最下位に低迷している昌子源が所属するトゥールーズの動向も気になるところだ。

 シーズン途中で招聘したアントワーヌ・コンブアレ監督は初陣で勝利して以降に9連敗を喫し、結局、年明けのフランスカップでアマチュアクラブに敗れたことが決定打となって解任された。フロントはテクニカル・ダイレクターのデニス・ザンコが暫定監督を務めることを発表しているが、現状ではリーグ・アン残留が極めて厳しい状況にあることは間違いない。

 それだけに、怪我で前半戦を棒に振った昌子ができるだけ早く復帰し、救世主となれるかが注目される。