新しいテニスシーズンがオーストラリアで始まった今、米経済誌Forbesが2020年にテニスで叶ってほしいことのリストをあげている。「ホップマンカップ」を再び昨年は、オーストラリアのパースで行わ…

新しいテニスシーズンがオーストラリアで始まった今、米経済誌Forbesが2020年にテニスで叶ってほしいことのリストをあげている。

「ホップマンカップ」を再び

昨年は、オーストラリアのパースで行われた「ホップマンカップ」でテニスシーズンの幕が開いた。「ホップマンカップ」は男女混合チームの国別対抗イベントで、混合ダブルスでのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)とロジャー・フェデラー(スイス)の対戦も実現。2人合わせると43個にもなるグランドスラムのシングルス・タイトル所持者が一緒に自撮りをする姿は、大きな話題を呼んだ。

しかし悲しいことに「ホップマンカップ」は、今年は開催されない。このトップレベルの男女混合チームが対戦する、他にはない形式のイベントは、スタートから31年後、ATPツアーが開催する新イベント「ATPカップ」の開催地としてシドニーとブリスベンと並んでパースが選ばれたことから中止となった。新しい開催地を見つけなくてはならなくなったのだ。

1月の最初の週に24ヶ国のチームが競う「ATPカップ」の賞金総額は2100万ドル(約22億7800万円)。妙な点は、この新しいイベントは国際テニス連盟(ITF)がスペインのマドリードで開催した新フォーマットの「デビスカップ」決勝ラウンドから6週間しか経っていない時期に行われることだ。「デビスカップ」は男子選手だけの国別対抗戦で、テニス界で最も古くから続く大会である。

2020年のカレンダーからは削られた「ホップマンカップ」だが、まだ再開催の見込みはある。以前のようにクリスマスとお正月の間の時期に戻るのはおそらく難しいだろうし、南半球での開催もないだろうが。ITFの会長デビッド・ハガティ氏は、昨秋ロイター通信に「“ホップマンカップ”は2021年には戻って来るだろう。“すべての大陸”から、開催の話が持ち上がっている」と語っている。

グランドスラムでの最終セットのスコア方法の統一

熱心なテニスファンなら、グランドスラムでの最終セットのスコアルールについて混乱して当然だ。何故なら2019年、4つのグランドスラム(「全豪オープン」「全仏オープン」「ウィンブルドン」「全米オープン」)がすべて、それぞれ異なるシングルス最終セットの規則を適用したからだ。

2019年、「全豪オープン」は最終セットでは2ゲーム差がつくまで続けるというルールを、ゲームカウント6-6でタイブレークを行うルールに変更。タイブレークは、通常より長い10ポイント先取とした。「全仏オープン」は今まで通り2ゲーム差になるまで。「ウィンブルドン」は「全豪オープン」同様に変更を加えたが、ゲームカウント12-12でタイブレークとした。そして「全米オープン」最終セットはもう何年も行っている通り、ゲームカウント6-6で通常と同じ7点先取のタイブレークで、ルールの変更はなかった。

これは、テニスの記者でも混乱する。4つのグランドスラムが同じルールを適用してくれたら、観客もテレビ視聴者もメディアも、もちろん選手たちにも利点があると言えるだろう。

テニス界も地球温暖化に配慮すべき

テニスは世界的スポーツで、1年のうち11ヶ月間、世界中でプレーされている。ということは、選手たちはその間、地球上を行ったり来たりするわけで、しばしば飛行機で移動している。2020年のテニスシーズンは、1月にオーストラリアで始まり、2月にはヨーロッパで室内コートの大会が行われる。そして3月にはアメリカのインディアンウェルズ(カリフォルニア)、マイアミ(フロリダ)へと続く。

春はヨーロッパでのクレーコートのシーズンだ。その後6月・7月には、イギリスをメインにドイツとスペインでもグラスコートの大会が開催される。「ウィンブルドン」の後、一部の選手は日本へ行き「東京オリンピック」に出場。その後はアメリカのハードコートのシーズン。9月に「全米オープン」が終わると残りのシーズンはアジアへ。女子選手はここで終わるが、男子はアジアシリーズの後ロンドンへ戻り、「Nitto ATPファイナルズ」でシーズンを締めくくる。

航空業界の専門家の連合Air Transport Action Groupによると、旅客機は地球の温室効果ガス排出量の2%、すべての輸送手段の12%を排出する。飛行機は以前よりもエネルギー効率が良くなっているが、乗客の数はうなぎ登り。15年前に比較すると、2020年には70%多い温室効果ガスを排出すると予想されている。

女子選手のWTAツアーも男子選手のATPツアーも、近年、開催地の時期の統一化を目指しているが、持続的なスポーツであり続けるため、地球に対してさらに配慮していくことが必要であり、可能であるはずだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年ホップマンカップでのセレナ(左)とフェデラー(右)

(Photo by Paul Kane/Getty Images)