U-22日本代表は12月28日に行なわれたU-22ジャマイカ代表戦に9-0で大勝した。しかし、この試合に招集された23人の中で、アジアU-23選手権(1月8日~)に出場するメンバーはわずか5人(谷晃生/湘南ベルマーレ、岡崎慎/FC東京、旗手怜央/川崎フロンターレ、松本泰志/サンフレッチェ広島、杉岡大暉/鹿島アントラーズ)にとどまった。

 選ばれなかった18人の中で、山口瑠伊(エストゥレマドゥーラ)、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)、中山雄太(ズウォレ)、安部裕葵(バルセロナ)、前田大然(マリティモ)の5人は、長期拘束することが難しい海外組だ。彼らのクラブ内での立場はさまざまだが、少なくともジャマイカ戦に招集した23人中、東京五輪代表の当落線上より下にいる選手が13人を数えることは確かだ。

 代表選考レースの軸は「招集したメンバーは現状のほぼベストと考えていい」(森保一監督)と言って臨んだ、昨年11月のU-22コロンビア代表戦のメンバーになる。だが、その試合で日本は0-2と惨敗した。

 すると、その直後に行なわれたA代表のE-1選手権(釜山)には、コロンビア戦には招集しなかった該当年代の国内組8人(小島亨介/アルビレックス新潟、渡辺剛、田川享介/FC東京、遠藤渓太/横浜F・マリノス、相馬勇紀/鹿島、森島司/広島、田中碧/川崎、古賀太陽/柏レイソル)を加えて臨んだ。

 そして、アジアU-23選手権には、ジャマイカ戦で2ゴールを挙げた旗手と齊藤未月(湘南)を加えている。



東京五輪には招集できない可能性もある久保建英(マジョルカ)

 五輪本大会には、実力上位とおぼしき海外組、久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)、冨安健洋(ボローニャ)、板倉滉(フローニンゲン)らを招集できない可能性がある。「誰が出場しても大丈夫なように層を厚くしている段階」とは森保監督の言葉だが、ここではいつになく混沌としている選考レースの構図を、ポジションごとにあらためて整理してみたい。

 まずGK。選考レースをリードするのは、2019年のコパ・アメリカ、チリ戦で代表デビューを果たした大迫敬介(広島)だ。先のE-1選手権でも香港戦に先発出場を飾っている。Jリーグでのデビューシーズンとなった今季、ほぼ年間を通して先発出場を果たした実績が光る。大迫は国内組ということもあり、オーバーエイジの選手が来ない限り、あらゆるポジションの中で五輪のスタメンに一番近い存在といっても過言ではない。

 五輪のGK枠は2人。小島、谷がその2番目の座を争う。海外組の山口がこの2人にどこまで迫れるか。国内組の2人がJリーグで昨季同様、出場機会を得られないようだと逆転する可能性もある。

 布陣を3-4-2-1として考えると、センターバックは3人だ。A代表でも活躍する冨安健洋は所属クラブの許諾が下りれば、即スタメンだろう。それを追うのは立田悠悟(清水エスパルス)、町田浩樹(鹿島)。彼ら2人は、所属チームがその時、天皇杯に勝ち残っていなければ、E-1選手権に選ばれていた可能性が高い。ともに4バックのサイドバック(SB。立田は右、町田は左)もこなせる多機能性が、18人の枠で戦う五輪本大会を考えると強みとなる。

 岩田智輝(大分トリニータ)、原輝騎(サガン鳥栖)にも、同様の多機能性があるが、アジアU-23選手権のメンバーから外れたことを踏まえると、評価は下がり気味なのかもしれない。代わって台頭しているのが渡辺と古賀だ。ともにE-1選手権のメンバーに加わり、香港戦ではスタメンを飾っている。今回のアジアU-23選手権にも選出された。古賀には立田、町田同様、SBをこなす多機能性もある。

 本命の冨安にも、右SBと守備的MFをこなす多機能性がある。守備的MFに回りそうな板倉滉も同様だ。これまでほぼ3-4-2-1のみで戦ってきた森保監督だが、本番で選手の多機能性を活かす機会は訪れるのか。それなしには決勝戦までの6試合を勝ち抜き、目標に掲げる金メダルまで到達することは難しいと考えられる。

 ウイングバック(WB)は、E-1選手権に出場した4人(相馬、遠藤、橋岡大樹/浦和レッズ、菅大輝/北海道コンサドーレ札幌)と、アジアU-23選手権のメンバーに選ばれた杉岡、19歳の菅原由勢(AZアルクマール)の争いと見る。

 E-1選手権で光ったのは相馬だった。香港戦では右で先発を飾り、韓国戦では左で交代出場した。鹿島ではSB、ウイングでもプレーしているので多機能性はピカイチ。使い勝手のいい選手として評価を上げている。

 今季のJ1優勝メンバーである遠藤は、実力的にはこの中で上位にランクされるが、WBより、所属の横浜FMでプレーするウイングの方が適しているように見えるというポジション的な問題を抱えている。菅も両サイド可能な選手。相馬や遠藤のような切れ味はないが、縦の広いエリアをカバーするまさにWB的な能力に優れている。

 杉岡も菅に近いタイプ。しかしドリブルでボールを運ぶ力は菅以上だ。唯一のネックは左しかできない左利きだという点。18人枠を考えると、それが不利に働く可能性はなきにしもあらず、だ。橋岡にはCBをもこなす多機能性がある。一方、菅原は多機能性に加え、所属しているクラブの優位性が際立つ。オランダリーグで現在2位を行くAZで、かなり出場機会を得ている。注目株だ。

 守備的MFの軸になるのは海外組の2人、板倉滉と中山雄太だ。それに対して、ここにきて評価を上げているのが田中駿汰(大阪体育大学/札幌)。コロンビア戦、E-1選手権、U-23選手権と連続して招集されている。E-1選手権では香港戦(先発)と韓国戦(交代出場)に出場。香港戦ではCBで先発した。後半の途中に行なわれた戦術的交代では、守備的MFに回る多機能性も発揮した。

 その田中駿汰とE-1選手権で競った関係にあったのが田中碧。活躍したとは言えなかったが、底が割れたという感じでもなく、むしろ伸びしろを感じさせるプレーだった。伸び盛りの選手であることは間違いない。

 この2人を、松本、齊藤が追う。

 2シャドーは、事が無難に進めば(所属クラブが出場を許諾すれば)久保、堂安が有力だ。しかし2人とも利き足は左だ。本来ならそのどちらかのポジションは右利きにしたい。有力なのは、ジャマイカ戦で最も余裕のあるプレーを見せていた安部(バルサ所属なのでこちらもなんとも言えないが)だ。弱冠20歳ながら、全軍を引っ張るカリスマ性を兼ね備える。

 また、スコットランドでプレーする小柄な食野亮太郎(ハーツ)も面白い存在だ。ストライカータイプなのでCF候補でもあるが、身長(171cm)を考えると3-4-2-1の中ではシャドーでプレーさせたくなる。

 上記の3人に対して、E-1選手権で2試合に先発した森島はMF的だ。中国戦では活躍したが韓国戦では沈黙。プレーに甘さは残るが、雰囲気のあるプレーをする。毎度コンスタントに選ばれている三好康児(アントワープ)もMF的だ。その問題は左利きであること。11月のコロンビア戦では久保、堂安と4-2-3-1の3の列で並んでプレーしたが、バランスはよくなかった。4-3-3のインサイドハーフでプレーさせたい選手だ。

 これを、ジャマイカ戦で2ゴールをマークした旗手が追う。

 最後に1トップ。ここは上田綺世(鹿島)が一番手で、それを小川航基(水戸ホーリーホック)が追う展開だ。2シャドーの一角として出場することもある田川と前田もこちらの方が似合っている。E-1選手権では香港戦で小川がハットトリック。続く韓国戦も先発必至と思われたが、先発したのは上田だった。森保監督の評価の程が垣間見えた瞬間だった。

 しかし、上田が特別な力を備えているわけでもない。1トップはオーバーエイジ枠を使いたいポジションになる。ズバリ、大迫勇也(ブレーメン)を招集できるのか。日本の成績はそれ次第といっても過言ではない。

 総じて各ポジションに言えるのは、やはり複数のポジションをこなせる多機能型の選手が、優位な立場にあることだ。日本の東京五輪代表にも今日的な傾向が反映されている。そうした選手の能力を使いこなす森保采配にも、同時に目をこらしたい。