一年間の集大成である日本学生氷上競技選手権(インカレ)。早大は1回戦、2回戦で危なげなく勝ち星をつかみ、準々決勝の舞台に駒を進めた。過去5年この準々決勝で敗れ、ベスト8敗退が続いており今年こそベスト4の壁を破るという意気込みで臨んだ一戦。今季5度対戦し、一度しか白星を奪えていない春の関東大学選手権優勝校・東洋大と対峙した。「いつになくプレーヤー一人一人が責任感を持っていいプレーをしてくれた」とFW小澤田匠副将(スポ4=東京・早実)が振り返ったように、渾身のホッケーを見せた早大。しかし最後まで流れをつかみきれず、2-4で敗戦。日本一への挑戦はここで道を閉ざされることとなった。

 序盤、東洋大にパックを保持される時間が続き、うまく敵陣に攻め込むことができない。相手に流れが傾きかけたが徐々に均衡した試合に持ち込み、ついに14分53秒、東洋大に反則がありPP(※1)の時間となる。先制点を奪おうと主力セットでPPに挑んだ矢先、主将であるFW青木孝史朗(スポ4=埼玉栄)が接触により負傷。途中退場を余儀なくされる。ポイントゲッターの一人である青木を欠き、チームにはやや動揺が走ったが、0-0で第1P(ピリオド)を終える。ピリオド間のインターバルに、「誰か一人かけたとしても自分たちのホッケーは変わることはない」(DF大崎大祐副将、先理4=青森・八戸)と再確認し、第2Pへと臨んだ。今シーズン、上位校との対戦では先制点を奪った方に軍配が上がることが多い。先制弾を挙げた方が一歩勝利に近づく。その状況で、PPのチャンスをモノにし先にネットを揺らしたのは東洋大だった。「強い相手には1点でもリードして数字の上で有利な状況を作りながらゲームを進めたかった」(内藤正樹監督、平3二文卒=北海道・釧路湖陵)というゲームプランは遂行できず、27分29秒にも、リバウンドをたたかれ得点を許し0-2。3点差がつくと逆転が苦しくなるため絶対に次の1点は相手に譲れない中盤、FW杉本華唯(スポ2=北海道・駒大苫小牧)がゴール裏からアシストしFW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)が押し込む。待望の1点目を決め、勝利へ望みをつないだ。


先制ゴールを決めた生江

 PPから始まった第3P、スペシャルセットで得点を奪いにいくがここはネットを揺らすことができず。1点差を追いかける最終盤、ディフェンスゾーンでパックをゴール前の敵にパスしてしまう痛恨のミス。このスコアリングチャンスを東洋大は逃さず一閃。早大は1-3と厳しい戦いを強いられることとなった。それでもまだあきらめるには早い。失点の直後の56分37秒、FW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)が自慢のスピードでエントリー。「絶対パスが来るということがわかっていたので、走り込むことができた」と、小澤田がゴール前に走り込みパックをしっかりとレシーブし得点。2年前からずっと取り組んでいたという合わせのプレーを重要な局面で見事に成功させ、再び点差を1点に戻した。残り2分を切ったところで、早大が猛攻を見せGK谷口嘉鷹(社4=東京・早実)がベンチに下がり6人攻撃に切り替えようとする。しかしその時、東洋大の手にパックが渡る。谷口が再びゴールに戻るが時すでに遅し。センターライン付近から放たれたシュートは非情にも早大のゴールネットを突き刺した。


パックをゴールに押し込み2点目を決めた小澤田副将(写真右)

 やはりベスト4の壁は高く、2-4で東洋大に敗れた早大。6年連続で準々決勝で姿を消すこととなった。しかし試合後、これが学生最後の公式戦であった4年生は「悔しい」という言葉を口にしながらも、どこかすがすがしい表情を見せた。「早稲田がやるべきホッケーというのをしっかりと体現できた試合だった」(谷口)というように最後の最後に自分たちのホッケーが徹底できたからだろうか。やり切ったという思いが、悔しさを上回ったようだった。一方の下級生、特に一番4年生と過ごした時間が長かったであろう3年生は「4年生に申し訳ない」(澤出)と強く悔しさをにじませた。入学してからずっと味わい続けている悔しさを、彼らが最上級生となる来季晴らしてくれることに期待を寄せたい。3月に新体制がスタートし、ここまで駆けてきた今季のチームにもとうとう終わりの時がやってきた。1月11日に行われる早慶定期戦が今シーズン最後の試合となる。「楽しかった4年間と思えるような試合にしたい」(小澤田)。その言葉通りの伝統の一戦となることを、心から願っている。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 小林理沙子、写真 涌井統矢、林大貴)

※( )内はシュート数

結果
早大ピリオド東洋大
0(12)1st0(9)
1(13)2nd2(23)
1(13)3rd2(14)
2(38)4(46)
得点経過
チーム時間ゴールアシスト1アシスト2PK/PP
東洋大22:00小堀清水武部太PP
東洋大27:29清水石田中村
早大35:13生江杉本
東洋大56:10武部虎
早大56:37小澤田澤出生江
東洋大58:31清水
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セットFWFWFWDFDF
前田青木杉本吉野務台木綿生江澤出大崎篠田
小澤田河田伊東住友大塚
チェース冨田加賀美草島金井
GK谷口
コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)

――今の心境をお聞かせください

残念ですね。やっぱり先制点がほしかったですね。反則からの失点だったので、しょうがないけども、先に反則したくなかったですね。本当は逆のパターンが良かったですね。ある程度反則はもらえたので、そこはよく頑張ったと思いますけど、先に反則をして先に点数を取られて、流れをつかみきれなかったですね。同点になるチャンスも何回かあったんだけど、それができればもう少しスコアは変わっていたのかなと感じますが、流れをつかみきれませんでした

――動きは決して悪くはありませんでした

もう昨日から何も言わなくてもやるだろうと思っていましたし、本人たちもスイッチは入っていたようなので、良かったんですけど、それは向こうも同じことなので。東洋もここで負けられないというのはプレーからひしひしと感じましたし、東洋も体の強いチームなので、運動量の戦いになりました。そこでうちが先に反則をしてしまったというのが、ポイントになるかな。

――最後にエンプティゴールを決められてしまいました

最初にキーパーに声を掛けたんだけどね、あそこで気づいてほしかったね。呼ぶからねと言っていたんだけど、ワンコールで来なかったので。2回目の時は少し状況が変わっていないので、そこは少しコミュニケーションが取れなくて残念だったところですけど、本当はそれ以前に追いつくチャンスはたくさんあったので。後は3点目ですかね。大事なところで相手にパスしてしまってターンオーバーというようなホッケーをしているうちはなかなか優勝は口にできないですね。あの場面のイージーなプレーがきょうを象徴しているということになりますかね。

――勝敗を分けた部分は

先制される反則をしてしまい、実際に先制をされてしまい追いかける形になってしまったというところですね。やはり東洋は強いので、強い相手には1点でもリードして数字の上で有利な状況を作りながらゲームを進めたかったですね。それができなかったのが少し悔しいかな。残念なところですね。

――今年1年間の戦いぶりを振り返っていかがですか

リーグ戦もそうですけど、総じてはよくやったと思います。メンバーから見ればかなり見劣りする部分があるんですけど、きょうも青木が抜けましたけど、抜けた分をいるメンバーでやるしかないんですけど、きょうはみんな責任をもってやっていたかなと思います。そこは少し成長できたのかなと。3点目に軽いプレーがありましたけど、それ以外に関しては一生懸命泥臭くやろうとしていると伝わってきたので、そういうホッケーが最後の方にできるようになってきたことはいいことなのかなというところですかね。

――今年のチームはどんなチームでしたか

去年の鈴木(ロイ、平31教卒=現東北フリーブレイズ)のように強引にチームを引っ張っていくという4年生ではなかったですけど、周りと協調しながらチームを作っていって、今年は今年で味のあるチームだったと思います。

DF大崎大祐副将(先理4=青森・八戸)

――今の心境を聞かせてください

今の心境で言うと、負けたことはとても悔しい。勝てなかった、またベスト8で終わってしまったのはすごい悔しいですが、今日の試合は自分の中で一番楽しかった。自分がやるべきことをやって、それを実行できたという点で、すごい試合を楽しめた1試合でもありました。

――試合を振り返っていかがですか

第1ピリオドでお互い点を取れず均衡した状況の中で、孝史朗(青木孝史朗、スポ4=埼玉県・栄)が怪我をしてチームを離れるという緊急事態が起きて、少しチームの中で動揺したところもあったんですけど、1ピリと2ピリの間のミーティングで、孝史朗がいないからホッケーすらできないようなチームではない、誰か一人かけたとしても自分たちのホッケーは変わることはないということを再確認して、第2ピリオド以降に望んで、立て続けに失点してしまったんですけど、なんとか食らいついて食らいついて、試合をすることができたのかなと思います。

――勝敗を分けた部分はどこだと思いますか

チャンスで決めきれるかどうかということが、勝敗を決めたわずかな差だったのかなと思います。

――早稲田のホッケーは徹底できましたか

はい。足を使って相手にプレッシャーをかけ、もしくはパックを持ってAゾーンに入っていき、そしてシュートを打ってリバウンドを叩きに行くという、攻めの点ではそれが早稲田のホッケーで、守りの面では体を使って、自分の体を犠牲にしてパックを守って、そこから攻撃につなげるということもチーム全体を通してできたと思います。

――ご自身のプレーを振り返ってみていかがですか

負けたくないという気持ちがあったので、自然に、気負いすぎず、どの場面でも自分ができることは何なのかと考えてプレーをすることを心がけました。

――今年1年間の戦いを振り返っていかがですか

去年の4年生が抜けたときに主力がたくさんいなくなったなかで、自分たちはどこまでできるのか、去年と同じような早稲田の強さを出せるのかどうかという、すごい不安の中で始まったシーズンだったんですけど、みんなが自分たちのプレーに責任を持ってやることで、去年やったような早稲田のホッケーというのを今年もできて、そして全て今年の結果にそれがつながったのかなと思います。

FW小澤田匠副将(スポ4=東京・早実)

――今の率直な心境としてはいかがですか

悔しかったというのもありますし、スッキリしてます。

――やり切ったという思いもありますか

悔しいんですけど、後輩が頑張っていた姿を見て、もう引退でもいいかなと思いました(笑)。

――試合を振り返っていかがですか

きょうはいつになくプレーヤー一人一人が責任感を持っていいプレーをしてくれました。その裏にどんな心境があったのかはわからないですけど、チームのためにというみんなの思いが見られたのはすごく嬉しい点でもありました。チームとしての収穫だったかなと思います。

――ご自身はどのような心境できょうの試合に臨みましたか

緊張してしまったのもあるんですけど、早めにガス欠してしまって。いつも通りにプレーできていなかったのかなというのもありますし、こういった大一番で自分のプレーができなかったというのが、今さら課題といっても遅いんですけど、1年通して直せなかった部分かなと思います。

――ご自身2点目の得点を決められましたが、ゴールシーンを振り返っていかがですか

澤出がいいスピードで持っていってくれました。あのプレーは2年前からずっと取り組んでいたプレーで、自分があそこに走り込んだら澤出がパスを出してくれるっていうのはチーム全員の共通認識にあったと思うので。信頼というか、絶対パスが来るということもわかっていたので、そこで走り込むことができましたね。

――主将が負傷退場するというアクシデントもありました。試合に響いた部分はありましたか

孝史朗は大きい存在だったので、みんな心のどこかに不安はあったと思います。ただその中でも、逆に孝史朗の負傷退場が試合としてはいい方向に働いたというか、みんな「孝史朗のために」っていうプレーも見られました。いてくれるに越したことはないんですけど、そこでみんな悲観的にならずにいいプレーをしてくれたと思います。

――東洋大に対して及ばなかった点であったり、勝敗を分けた部分というのは

自分たちも1年間この試合のために頑張ってきましたけど、そこは相手のチームも同じことで。積み重ねが足りなかったとは思わないですけど、気持ちの面であと一歩及ばなかったのかなと思います。

――早大らしいホッケーはできましたか

できたと思います。

――1年間の戦いぶりを振り返っていかがですか

Aマークを付けさせてもらって、そこから自分のプレーを変えようとは思わなかったし、いつも通りのプレーを求められてAマークをもらったと思っていました。ただ、自分を変えずにやろうと思っていたんですけど、孝史朗に負担を掛けすぎた、もう少し助けてあげられたんじゃないかなと思いますし、最後の場面でももっと信頼されるプレーヤーになりたかったなと思います。

――最後のインカレが幕を閉じました。今大会を総括していかがですか

最後まで4年生らしいことはできなくて、すごく悔いが残る結果となってしまったと思います。

――公式戦は終了となりましたが、最後の早慶戦が残っています。早慶戦へ向けては

とにかく楽しみたいと思います。楽しかった4年間と思えるような試合にしたいと思います。

GK谷口嘉鷹(社4=東京・早実)

――試合を終えた今の心境はいかがですか

終わっちゃったな、という思いが一番強いですね。

――2-4で敗戦となりましたが、試合を振り返っていかがですか

個人としてはもちろんすごく気合いも入っていましたし、最初から気持ちを前面に出してプレーしていたのですごく良かったです。チームとしても、本当に早稲田がやるべきホッケーというのをしっかりと体現できた試合だったのかなと思います。

――悔しいゴールシーンが多かった印象でした。自身のプレーを振り返っていかがですか

やっぱり悔しい失点というのは結構ありましたし、あと少しパックが見えていればとか、あと少し、という場面が多かったので悔しいです。ですが、いま出せる力というのは全て出し切ったと思っているので、そこはすごく良くできた方なのかなと思います。

――悔いなく終えることができた、ということでしょうか

100パーセント悔いがないかと言われたらそれは嘘になってしまいますが、今ある早稲田のメンバーの中での全力というのは全員が出し切れたのかなと思っていますし、そこは強く誇りに思っています。

――東洋大に敗れてベスト8となりました。最後のインカレはいかがでしたか

準々決勝で東洋戦ということで、(準々決勝以降)自分たちよりも格上を倒さなければいけないという状況には常にあったということですし、去年からすでに分かっていたことでした。準備期間があったにも関わらず最後の最後、惜しい試合で終わってしまったというのは、僕はもう引退となってしまいますが、これからのチーム全体としての課題なのかなと思います。

FW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)

――試合を終えた今の心境としてはいかがですか

悔しい。その一言です。

――試合を振り返っていかがでしたか

インカレはトーナメントということで、僅差の試合、苦しい試合にはなると思っていたんですけど、最後の最後で勝ちきれなかったというところは来年に向けた課題になったんじゃないかなと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

チームを勝たせるプレーを目標にしてここまでやってきたんですけど、まだまだ責任感とチームを勝たせる力っていうのが足りていないと感じました。まだ早慶戦はありますが、来年は最上級生になるので同期と一緒にチームをつくってたらいいなと思います。

――チーム初となるゴールを決められましたが、ゴールの場面を振り返っていただいていかがでしたか

自分がゴール前の空いたスペースに入っていたところに華唯がいいパスを出してくれてあとは決めるだけという感じでした。本当は誰もがゴールと分かるようなきれいなかたちのシュートを決めたかったんですけど、結果的に(ゴールが)入ったので良かったと思います。

――地元・釧路でのインカレ開催でしたが、その点はいかがでしたか

地元ということで、他のみんなとは気持ちも違ったのかなと思いますし、地元で優勝したかったという思いはありました。ただ、きょうはシーズンの中でベストなゲームだったなと思います。途中で青木さんがけがでいなくなってしまったんですけど、今までやってきたゲームの中で最もチームが一つになった試合でした。

――ご家族は見にこられていましたか

たぶん来ていたとは思うんですけど、試合中は集中していたのでちゃんと確認はできてないですね。(家族が見に来てくれていた前で)勝ちたかったですね。

――2019年に行われる試合はきょうで最後になりましたが、今年一年間を振り返っていかがでしたか

昨年の4年生が抜けて、前評判的には高く状態でスタートしましたが、春リーグは2位で秋リーグは3位、インカレもベスト8で負けてしまったんですけど、前評判に比べると優勝に食い込める位置で戦ってこれたので、その点は今の4年生に感謝したいなと思います。あとは最後勝ちきれなかったというところは来年の課題にあるので、来年は課題をクリアしていって、優勝できるように1から頑張りたいなと思います。

――4年生の姿はご覧になっていていかがでしたか

この試合だけじゃないんですけど、今の4年生全員がチームを引っ張ってくれました。試合に出る出ないに関係なくチームのことを全員が思っていて、秋は僕たち後輩が上についていくだけっていうチームを作ってくれたので、来年は自分たちがそういった4年生になれるように最上級生として引っ張って優勝するという強い気持ちを持って頑張っていきたいなと思います。

――最後に、早慶戦へ向けての意気込みをお願いします

最後は勝つだけです。勝って、4年生を気持ちよく卒業させてあげられればなと思います。

FW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)

――今の心境をお聞かせください

4年生のために『優勝』という目標を掲げて釧路に入ってきたんですけど、また昨年同様ベスト8というかたちで終わってしまって、本当に4年生に申し訳ないという気持ちと、自分の実力不足に本当に情けないなという気持ちでいっぱいです。

――試合を振り返って

チームとしてみんな勝利に向かって体を張っていましたし、見ていても自分の気持ちも上がってくるような試合だったので本当に勝ちたかったですけど、こういう結果になってしまったので、ここで終わらせるのではなくて来年に生かせるように頑張っていきたいと思います。

――勝敗を分けた部分は

気持ちの部分でも負けていなかったと思いますし、走り負けてもなかったと思うので、今は正直頭が真っ白なので考えられないです。

――地元・釧路でのインカレはいかがでしたか

生まれた時からアイスホッケー一色でやってきたので、このリンクにも本当に思い入れがありますし、大好きなリンクなのでいい結果を残したかったんですけど、このような結果になってしまって、地元の友達や家族も応援にきてくれていて力になったので、勝ちたかったです。