令和初めての大晦日、日本の総合格闘技界を背負う存在になった”朝倉兄弟”の明暗が分かれた。




RIZIN.20で2回TKO負けを喫した朝倉海

 12月31日に開催されたRIZIN.20の第12試合で、先にリングに上がったのは兄の朝倉未来(みくる)。今大会は、アメリカの総合格闘技団体BELLATORとRIRINの対抗戦が行なわれ、12月29日のBELLATOR JAPANでの3試合と、RIZIN.20での2試合の合計5カードが組まれた。4試合を終えた時点で「BELLATOR軍」の3勝1敗。未来は、すでに負け越しが決まった「RIZIN軍」の大将として、ブラジル人ファイターのジョン・マカパと対戦した。

 日本ではあまり馴染みがないマカパだが、BELLATORのフェザー級ではトップファイターのひとり。破壊力がある左右のパンチを中心にした多彩な打撃と、速いタックルからのグラウンドのテクニックにも定評がある選手だ。

 試合は距離感を図りながらの打撃戦で幕を開け、第2ラウンドは互いにパンチをヒットさせる緊迫の展開に。しかし最終第3ラウンドに入ると、未来のパンチが的確にマカパを捉えはじめる。マカパがグラつくようなシーンもあったが、未来は無理に詰めにいくことなく、相手の状態をよく見て冷静に対応。グラウンドに持ち込もうとするマカパのタックルもことごとく切って主導権を渡さず、3-0の判定で「完勝」した。

 試合後、未来は「世界のフェザー級で戦っていけるんだろうな、という確信につながりました」と自信を口にした。マカパはBELLATORで3連敗を喫したことがあるが、いずれもチャンピオンクラスの選手が相手。そのマカパに勝利したことによって、BELLATORから”ビッグマッチ”のオファーが来ることも十分に考えられる。

 朝倉未来がアメリカでもトップに君臨する――。試合を見たファンたちの期待が高まるなか、勝利者インタビューでは「日本の格闘技を盛り上げられているのかなと思います」と会場の大声援に応え、「このあと弟の試合があるんで、見ててください」と、バンタム級のタイトルマッチを控える弟にエールを送った。

 兄の勝利に続けと、朝倉海(かい)は同日の第15試合、メインイベンターとして”アンゴラの暴走王”マネル・ケイプとタイトルを争った。2019年の8月、当時RIZINとBELLATORの2冠王だった堀口恭司をKOで下して一気に名を上げた海。その勝利を含めてRIZINで6連勝を飾っていたが、2018年5月のケイプとの第1戦は2-1の僅差での判定勝ちだった。

 今回の”リマッチ”でケイプに完全勝利し、兄とともに世界に羽ばたいていくと思われていたが……。スピード感溢れる打撃の攻防になった第1ラウンドを終え、第2ラウンドのゴングが鳴って間もなく、ケイプの右パンチがヒット。海がダウンすると、ケイプはそれを逃さずにグラウンドでパウンドを浴びせ続け、レフェリーが止めに入った。

 2回TKO負けを喫しタイトルを逃した海は、試合後に「(ケイプは)パンチに対しての反応もよくて想定外でした」と相手の強さを認めつつ、「負けたままでは終われないので、リベンジしたいと思うし、必ずベルトを巻きたいです」と前を向いた。

 一方のケイプは、勝利が決まったその足で放送席にいた堀口に駆け寄り、おでこにキス。次の対戦を要求した。右ひざの負傷で長期離脱中の堀口は、海との再戦を最優先としながらも、「やることが増えた」とケイプとの対戦も楽しみにしていることを語った。

 しかしケイプも、無事に堀口戦に辿り着ける保証はない。同日の第7試合で、石渡伸太郎との激戦を制した扇久保博正(2-1の判定勝利)と、今年の春にタイトルマッチを行なう予定になっている。日本の総合格闘技団体「修斗」の現世界フライ級王者である扇久保は、過去に2敗を喫している堀口からの勝利を渇望している選手。得意の寝技に磨きをかける扇久保の”打倒・堀口”への強い思いが、ケイプを上回ることになるかもしれない。

 そのタイトルマッチはもちろん、ケガからの復帰を目指す堀口、敗戦からさらに強くなって戻ってくるだろう朝倉海の次戦の行方からも目が離せない。今年のバンタム級の覇権争いは壮絶を極めそうだ。