広島が1991年以来、25年ぶりとなる優勝を飾った。就任2年目の緒方孝市監督のもと、10日までに貯金35を積み上げて悲願を達成。■優勝決定試合で力投の黒田「いろいろこみ上げてくるものがあった」 広島が1991年以来、25年ぶりとなる優勝を飾…
広島が1991年以来、25年ぶりとなる優勝を飾った。就任2年目の緒方孝市監督のもと、10日までに貯金35を積み上げて悲願を達成。
■優勝決定試合で力投の黒田「いろいろこみ上げてくるものがあった」
広島が1991年以来、25年ぶりとなる優勝を飾った。就任2年目の緒方孝市監督のもと、10日までに貯金35を積み上げて悲願を達成。試合後は都内のホテルで指揮官、黒田博樹投手、新井貴浩内野手、菊池涼介内野手、丸佳浩外野手が優勝会見に臨んだ。頂点に立った瞬間、それぞれの胸にどのような思いが去来したのか。改めて会見の内容を振り返ってみたい。
――優勝おめでとうございます。まずは率直な思いを。
緒方「嬉しいという気持ちより、感謝の気持ちでいっぱいになりましたね。本当に選手の頑張り、その選手を支えるコーチ、裏方さんの頑張り、そして何より、ファンの子の声援ですかね。本当に1年間、頑張ってくれました。感謝の気持ちでいっぱいです。
――胴上げの瞬間というのは、どういう気持ちでしたか。
緒方「本当に、最後の最後に決まるまでね、本当にヒットを打たれるんじゃないかとか、ホームランを打たれるんじゃないかとか、アウトになる瞬間まで、本当に信じられなかったですけど。その瞬間は、決まったという思いだけです」
――続いて黒田選手。優勝が決まった時の思いからお願いします。
黒田「まずはホッとしたという感じと、今日は先発だったので、なんとか勝って優勝を決められて良かったです」
――優勝を決めた試合で先発して勝利した。これはやはり普段の勝利とは違いましたか。
黒田「できるなら、あまり自分の試合でね、決まるか決まらないかというのは、あまりしたくなかったんですけど、普段はあまり運がないかなと思っていたんですけど、今日に関しては運があって、こういう形でね、試合で決められて良かったと思っています」
――試合が終わる直前までは、ベンチでずっとご覧になっていて、表情が変わらなかったんですけど、優勝が決まった瞬間は変化はどうでしたか。
黒田「いろいろ考えることがありましたし、たくさん考えることをしながらね、いろいろこみ上げてくるものがありました」
――続いて新井選手、お願いします。初めての優勝の思いというのは、いかがでしたか。
新井「夢みたいですね。嬉しいです」
――最後はランナーがいる中で、ファーストの守備でいましたが、あの時は気持ちは。
新井「9回に守備に就いた時に、あと3つアウトで決まると思って、ツーアウトになって、グッとこみあげてくるものがあったんですけど、ツーアウトから中崎くんがヒットを打たれた時に、また現実に戻りました」
■優勝決定試合で力投の黒田「いろいろこみ上げてくるものがあった」
――優勝が決まった瞬間は、黒田さんをはじめ、チームメイトと抱き合う姿がありました。
新井「ゲーム差はありましたけど、正直、すごくしんどかったので、いろんなことが、苦しかったこと、悔しかったことが頭の中を駆け巡って、また黒田さんが、号泣されている姿を見て、僕も号泣しました」
――続いて丸選手。今はどんな思いですか。
丸「昨年の秋のキャンプに、今までにないぐらいものすごい練習をやってきたんですけど、その練習が報われたなとしみじみ感じました」
――ゲームセットの時の感情は。
丸「9回に、アウトを一つずつ取るたびに、思いがこみ上げてきて、最後に優勝が決まった瞬間は、嬉しかったですね」
――球場にいるファンの皆さんを見て、どう感じましたか。
丸「やっぱりあれだけたくさんのファンの方々が、僕たちを支えて応援してくださったので、なんとかその思いに答えることができて、ホッとしている部分があります」
――では、菊池選手。菊池選手にとって、この優勝の味というのは、どんなものですか。
菊池「味は自分のつばの味しかしないんですけど、優勝が決まった瞬間は真っ白になりました」
――真っ白というのは、初めての体験ですか。
菊池「そうですね、はい」
――決まる直前まで、テレビで表情を見ていると、あまり変わりないようにも見えたのですが。
菊池「いつもと全く、僕の中では変わらなかったです」
――マジックがついてからも、実感はないということでしたが、優勝が現実になって改めてどうですか。
菊池「本当に、全然訳のわからない感じになって、みんなで抱き合った時に実感しました」
■選手の涙を誘った黒田の号泣、「黒田さんの涙があってのこと」
――菊池選手の涙を見たのは初めてという方が多いと思いますが。
菊池「さっき新井さんも言ってましたけど、黒田さんが泣いていたので、もらい泣きして、これは黒田さんの涙があってのことです」
――監督にうかがいますが、歴史に残る圧倒的な強さでしたが、何が変わったのか。今年の強さの要因は何だったのでしょうか。
緒方「強い強いと言われていますけど、開幕してから、苦しい試合がずっと続いていたんですよね。特に投手陣の方が、ケガ人が続出して、その限られた人数の中で、何とかペナントを戦っていかなければいけない。そのピッチャー陣の中で、先発、中継ぎと、いろんな役割をやってもらいながら、戦っていましたし、その中で、それを守る野手ですよね。本当にピッチャーを助ける守備、そして攻撃、そういうのが本当に噛み合いだして、力がついてきたなというのが交流戦ぐらいの時期ですかね。あの時に、これが今シーズン、我々が目指す野球なんだということを、本当に数多くあそこからやってくれたので、大きな力となって、勝ち切れたと思っています」
――今日の試合も投手陣は勝ちパターンの盤石な体制でしたし、攻撃の方でも、今シーズンのチームの良さが随所に出ていたと思います。
緒方「だから、選手は本当に自信を持っていいと思うんですよ。まだ成長の途中だとは思うんですけど、本当に選手に送りたい言葉は、ありがとうという言葉と、もっともっと自分の力を信じろと、これからもっと成長していくということ。本当に、今日の試合もそうですけど、一人一人が自分の役割をやった上で、思い切ってグラウンドでプレーしてくれている。それが、チームの力となって、今日もそういう目指す野球の形で、勝てたゲームだったと思います。
――黒田さんと新井さんにうかがいますが、お二人は昨年チームに復帰して、2年目で優勝という形になりました。
黒田「さっき新井が言ってましたけど、本当に夢のようで、ちょっと出来すぎかなという感じですね」
――黒田さんにとっては、今シーズンは現役を続ける決断もあったと思いますが。
黒田「いろいろ悩みながらも、もう1年やると決めて、まさかこういう結末が待っているとは思っていなかったので、本当に監督をはじめ、チームメイトに感謝したいなと思います」
■菊池、考えながら戦ったシーズン、「自分を殺しつつ、みんなのために」
――新井さんはいかがですか。
新井「本当におかげさまでとしか言いようがないですね。昨年カープに戻ってきて、開幕戦の時に代打で出た時に、あんなにたくさんの声援をいただけるとは思っていなかったので、自分が感動ももらったので、今度はその声援を送ってくれたファンの皆さんに喜んでもらいたいという気持ち一つで、去年、今年とやってきました。その中でこういう風に優勝させてもらって、監督にも選手たちにも感謝したいと思います」
――今シーズンは2000本安打、300本塁打と大きな記録もありましたが、優勝というのは、また違った喜びですか。
新井「全く違いますね。全然、違います。今日が最高に嬉しいです」
――丸さんと菊池さんにうかがいますが、2人は打線のリーダーとしての立場でのシーズンだったと思いますが、改めて今シーズンの役割を考えて、いかがですか。
丸「去年がああいう形で、非常に悔しい成績だったんですけど、今シーズンに関しては、もっともっといい成績を出したいとは思っているんですけど、その中でも自分が仕事ができなかったということがあって、そういった時に、新井さんだったり、菊池だったり誠也だったりが、しっかりとカバーしてくれたというか、そういうつなぐ意識が本当に、打ってる人たちがみんなあると意識しながらやっていたので、自分ができたというよりは、本当にみんなで一丸となって戦えたなと思います」
――菊池さんはご自身の打撃を振り返っていかがですか。
菊池「丸も他の選手も、期待されている中で、何もできなくて本当に悔しい思いをして、キャンプから徹底的に打撃をやってきたんですけど、今までよりは一番難しい2番という感じでしたね」
―― 一番の難しさというのは、どこに感じていましたか。
菊池「監督からは、バントは少なくしていくぞとか、そういうことも言われて、我慢しなければいけないところもあったので、そこで本当に考えて、考えて、自分を殺しつつ、みんなのためにと思って、ずっとやってきました」
■菊池、考えながら戦ったシーズン、「自分を殺しつつ、みんなのために」
――監督にうかがいます。今シーズンを振り返って、印象に残る試合、場面を教えてください。
緒方「一つは難しいですね。試合を強いて挙げるなら、広島で、マツダスタジアムで試合をする時ですね。ファンの声援というか、あれは本当に選手の力になって、本当に後押ししてくれるので、今シーズンは特に広島での戦い、マツダスタジアムでの戦いが、特に印象に残っています」
――優勝が決まったばかりですが、残りのレギュラーシーズンの戦い、そしてクライマックスシリーズに向けての意気込みをお願いします。まずは監督から。
緒方「ここが最終目標ではないので、やはり日本一が目標なので、今まで追うことしか知らなかったのが、こうやって追われる立場として、今シーズンは戦いますし、クライマックスシリーズも1位としてマツダスタジアムで戦うので、これは全て強くなるための経験だと思います。この経験の中で勝ち切って、日本一を勝ち取りたいと思っています」
――黒田さんはいかがでしょうか。
黒田「CS、日本シリーズとね、短期決戦になってくるので、今まで以上にチーム一丸となって、戦っていきたいなと思います」
――新井さん、お願いします。
新井「僕も同じなんですけど、CSと日本シリーズがありますので、またもう一回気を引き締めて、まずはCSに向けて頑張りたいと思います」
――丸さん、菊池さんはタイトルなどの可能性もありますが。
丸「個人的な成績はあまりないですけど、今日、優勝できたことを一つの区切りにして、まだこれから続きますから、これまで以上に負けられない戦いになるので、CSを勝ち切って、日本シリーズと続くので、それに向かってやっていきたいと思います」
――最後に菊池選手。
菊池「今と変わらず、チームのために自分の仕事をしっかり、これから先、できるようにしっかりやりたいと思います」
大久保泰伸●文 text by Yasunobu Okubo