「復路勝負になっても戦える」。相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)は東京箱根間往復大学駅伝(箱根)を前にして、2日目の復路に自信を持っている様子だ。早大のセオリーといえば、往路に主力をつぎ込み、復路では順位を死守する『耐える』レースをするというものが挙げられる。しかし今回は一味違ったレース展開を狙っているのだろう。そんな早大の復路展望をお伝えする。

 復路のスタートで、山下りの特殊区間である6区には半澤黎斗(スポ2=福島・学法石川)が抜てきされた。夏合宿での故障の影響で、駅伝シーズンの序盤こそ出遅れたが、復帰後は順調に練習を消化。集中練習では「昨年と比較して全体的に余裕をもってこなすことができたので、20キロを走る力がついてきたかなと思う」と自信をつけた。また駒野亮太長距離コーチも12月21日の合同取材の際に、「6区に関しては日に日に楽しみな部分が増えてきているので、うまく行けば面白いですね」と手応えを話していた。1500メートル3分44秒57のスピードを持つ半澤。初め5キロの上りと残り3キロの平地を攻略できれば、上位進出も十分可能だ。6区は至近3年区間二桁順位にとどまっており、チームに勢いをつけるためにも『鬼門』を突破したいところだ。続く7区はルーキーの鈴木創士(スポ=静岡・浜松日体)だ。11月には1年生ながら1万メートルチームトップの28分48秒26をマークしており、状態は上向きだ。「思った以上に楽にこなすことができた」と自身の調子の良さを実感している鈴木。『復路の2区』として近年重要度が上がっている7区で、快走を披露することができるか。


6区山下りにエントリーされた半澤。初めての箱根路を持ち前のスピードとガッツで駆け抜けたい

 8区には今回も太田直希(スポ2=静岡・浜松日体)がエントリーされた。今季は長期間の不調に陥っていたが、全日本5区5位や1万メートルで28分48秒69の自己ベストをマークするなど一皮むけた印象だ。前回の箱根は大集団での展開から抜け出せず、シード権に大きく近付くことができなかった。それだけに今回は「攻める気持ちを忘れないで走りたい」とこだわってレースに挑む。『花の2区』を逆走する復路のエース区間・9区は遠藤宏夢(商4=東京・国学院久我山)が出走予定だ。箱根予選会ではチーム内5位でまとめた遠藤。自身の持ちタイムを上回る太田直などに競り勝ち、「走れる手応えを得た」と自信をつかんだ。単独走になることも多く、力が求められる9区。4年間地道に培ってきた努力の成果を、夢舞台で発揮して有終の美を飾りたい。アンカー区間・10区は3年生の宍倉健浩(スポ=東京・早実)が担当する。今シーズンは夏前に故障で離脱したが、復帰後には箱根予選会に出場、11月の1万メートル記録挑戦会では29分07秒98の自己ベストを出している。宍倉は前々回は9区、前回も10区にエントリーされたが、当日変更により出走がかなわなかった。三度目の正直へ。その悔しさを晴らす準備はできている。


前回は9区で集団の先頭を引っ張る姿を見せた新迫。今回も出走なるか

 補欠には前回9区9位で、11月に1万メートルに5年ぶりの自己記録である28分55秒78をマークした新迫志希(スポ4=広島・世羅)や、ハーフマラソン1時間3分46秒の自己ベストを持つ三上多聞(商4=東京・早実)のほか、前回まで2年連続で6区を経験している渕田拓臣(スポ3=京都・桂)らが控えている。往路終了時点で復路を攻める姿勢で臨むのか、もしくは順位をキープする守りの姿勢を取るのか。戦況により大きくメンバーが変更される可能性があるだろう。

 下馬評を覆してみせる。東海大、青学大、東洋大、駒大、国学院大の『5強』を中心とするレースが予想される今大会。この他にもハーフマラソン1時間4分切りを19人という層の厚さを誇る帝京大や、1万メートル28分台を8人擁する順大など、多くの壁が立ちはだかる。ただ全日本で早大は、青学大等に先行して4区終了時点で4位につけ、ゴール時には『5強』の一角である国学院大を上回った。ミスの少ない安定した走りが光った全日本のレースを箱根でも実現できれば、『5強』をしのぐことは決して不可能ではない。目標の『総合3位以内』をつかみ取り、笑顔でゴールの大手町へ――。『エンジの誇り』を懸けた2日間の戦いが、いよいよ幕を開ける。

(記事 岡部稜、写真 今山和々子、小林理沙子)

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