試合後には両チームまざって記念撮影を行なった

4年生試合 vs帝京大

慶大24−60帝京大

12月22日(日) 13:00K.O.

@帝京大百草グラウンド

慶大蹴球部120代が大学ラグビー人生に終止符を打った。

両校の4年生にとって最後の試合となった今試合は、それぞれのプライドがぶつかりあう熱い戦いとなった。結果は24-60と点差こそついてしまったものの、慶大4年はノーサイドの瞬間まで“慶應ラグビー”で戦い抜いた。

帝京大のキックオフで黒黄戦士たちの最後の戦いが幕を開けた。

先制したのは帝京大であった。自陣深くでの相手ボールのラインアウトから一時はキックでボールを相手陣内へ押し戻すも、前半4分、右サイドの突破を許し被トライ。慶大は先手を取られてしまう。

波に乗った帝京大に対し慶大も必死に食らいつく。HO安田裕貴(政4・慶應)やCTB栗原由太(環4・桐蔭学園)などが慶大伝統の魂のタックルを見せ、相手の前進を止めて幾度もピンチをしのいだ。しかし慶大の攻撃の芽は帝京大によって摘まれ、両者一進一退の攻防となる。

前半19分、慶大は窮地に立たされた。帝京大にゴール前のスクラムを与えてしまう。帝京大のプレッシャーをうけそのまま失トライかと思われたが、ボールを外にこぼす帝京大のミスに助けられ難を逃れた。だが安心したもつかの間、その直後に、空いていた左サイドを抜けられ追加点を許してしまった。

黙っていられない慶大が、ついに仕掛けた。SO田中優太郎(経4・慶應)からCTB栗原へパスをつなぎ、FL川合秀和(総4・國學院久我山)が相手のタックルを受けながらも前進、インゴールへと持ち込み待望の得点を得た。


川合はこの日3トライをマークした

ここからは、帝京大がトライを決めれば慶大が、慶大が決めれば今度は帝京大が、それぞれのプライドをぶつけ合い、両者譲らぬ激しい点の取り合いになった。前半終了までに慶大が1本、帝京大が2本のトライを取り、12-27で試合は折り返した。


トライを決めた木村

迎えた後半。帝京大ペースで試合が進み、慶大は自陣でのプレーが中心となる我慢の時間が続いた。その中で後半22分までに4つものトライを許してしまう。慶大の劣勢ムードを打ち破ったのはまたもFL川合であった。後半27分、相手ディフェンスのスペースを突き、インゴール中央に駆け込みトライ。学生コーチを務めているため2年ぶりの試合出場となったFB岡本爽吾(商4・慶應)によるキックも危なげなく決まり、得点を19-53とした。


学生トレーナーとしてチームを支えた山口(写真左)と学生コーチを務めた鷲司(同右)も黒黄を着て試合に出場

試合も終盤に差し掛かった後半32分、ここまでまだ出場していなかったPR鷲司仁(環4・東海大仰星)、FL良知兼佑(商4・慶應NY)を含めた最後の選手交代が行われた。彼らが入るやいなや、慶大と帝京大との間に激しいスクラム勝負が繰り広げられた。最初のスクラムでは帝京大にプレッシャーをかけ、押すことができた。しかし敵陣10メートルライン付近でのスクラムでは押し負け、そこから一気に自陣へボールを運ばれてしまう。そして38分、ゴール前でのスクラムからトライを奪われる結果となった。


出番を終えた選手たちも、ベンチから試合を見守った

ノーサイドまで残りあと数分。慶大サイドでは円陣が組まれ、観客席からは一際大きな歓声が上がった。慶大の躍動を誰もが願った瞬間であった。

選手たちは「慶應のプライド」にかけ、観客の期待に見事に応えた。後半43分、この試合のラストプレーでそれは起こった。慶大は敵陣でのラインアウトを得ると、そこからゴールラインへ迫った。最後はFL川合が3本目のトライを成功させた。

静まり返った百草グラウンドでFB岡本のゴールキックが放たれた。そのキックは外れ、直後に試合終了のホイッスルが鳴った。4年生たちの大学ラグビー人生に終わりを告げるホイッスルだった。


最後のプレーを見守る選手たち

終わってみれば24-60と帝京大に大きく点差をつけられてしまっていた。だがタックルなどディフェンスの面では随所に良いプレーが散見され、「慶應でやってきた4年間をみんなで出し切ろう」(CTB栗原主将)という言葉通り、培ってきた慶大伝統の「低く」「泥臭い」ラグビーを存分に発揮することができていた。最後の瞬間まであきらめずひたむきに戦い続け、4年生は「慶應のプライド」をしっかりと見せつけた。

「この4年間だって一生に一度だ」—。今年行われたラグビーW杯の有名なキャッチコピーになぞらえて、慶大蹴球部が今シーズン掲げてきた言葉だ。大学での4年間は、どの学生にとっても等しく「一生に一度」である。この4年間をどのように使うかには、無限の選択肢があったであろう。それにも関わらず4年生の選手、そしてスタッフ陣はみな、このかけがえのない4年間をラグビーに捧げてきた。それは決して楽な道ではなく、実際「8割方辛いことばかりだった」(LO川端隼人=­理4・國學院久我山)と語られるように、険しい道のりであったのだろう。

慶大蹴球部での4年間を終え、ついに迎えた今回の4年生試合。試合が終わった後の4年生はみな晴れやかですがすがしい顔を見せていた。まさに、やり切った者の表情であった。

こういった記事の最後には来年のチームに向けた言葉を書くのがお約束であろう。しかし試合後の4年生の姿は、裏にあった葛藤や苦悶、血のにじむような努力を想像せざるをえず、我々の胸を打つものであった。だから今はただ、彼らの4年間に最大級の敬意を、またその雄姿で我々を魅了し続けてくれたことに心からの感謝を示したい。

(記事:松嶋菜々美 写真:竹内大志、野田快)

試合後コメント

栗原徹HC(ヘッドコーチ)

――4年生の引退試合、HCとしてご覧になってどのようなことを感じていましたか
この試合にむけた最後の2週間は4年生に任せていました。下級生は来季にむけて、こちらでコントロールしてやっていますが、4年生に関しては練習メニューも時間も彼らが考えてやっていました。彼らが何をするのかな、と思って見ていたら、今年1年間やってきたことをベースに(練習メニューなどを)組み立てていましたね。しかも受け身じゃなく、自分たちで考えてやってくれていました。そのおかげで、グラウンド内でのコミュニケーションが、いつもこちらが言っている以上に取れていましたね。今日が一番良いコミュニケーションをとれていました。彼らが主体的に取り組むことがどれだけ素晴らしいことなのか、ということを示してくれたかな、と思います。

――4年生はこれで卒部ということになります。4年生に言葉をかけるとしたらどんな言葉をかけますか
自分はHCとして、彼らが誇れるような戦績で卒業させてあげたかったですね。それをさせてあげられなかったことを、すごく申し訳なく思っています。でも、ぶつかった壁に一緒になってむかっていって、克服できるものもあれば、克服できないものもあったり、本当にいろいろな経験をしました。そんな社会で生かせるチャレンジを1年間できたと思っています。ラグビーでは最後、なかなか結果を出せませんでしたが、(4年生には)人生で勝者になってほしい。次のステージで頑張ってもらいたいと思っています。

――来シーズンに向け準備は既に始まっているとのことでした。来シーズンをどのようなシーズンにしていきたいとお考えですか
今年の由太の代も一生懸命やっていたと思います。でも、その一生懸命をもっと視野を広くすると、もっとできたかもしれない。もっと広く、大きく一生懸命の枠を広げてきて、最後の最後で一つになれたかなと思っています。今の下級生は、由太の代が広げてくれた枠の大きさを見て、そこからスタートをきっています。なので、しっかり準備できた場合に、どんなことが待っているのか、楽しみにしています。どこまでいけるのか分かりませんが、今考えうる、できうる準備をしていきたいと考えています。

試合後の選手のコメント集はこちら

4年生コメント集 “CHRONICLE” FW陣

4年生コメント集 “CHRONICLE” BK陣

4年生コメント集 “CHRONICLE” 学生スタッフ