第67回全日本学生弓道王座決定戦 11月25日@伊勢神宮弓道場

今年度、Ⅱ部優勝、Ⅰ部昇格、インカレ優勝、王座出場と文字通り大躍進を遂げた慶大弓術部。各地区の強豪校が集まる今回の王座決定戦での初戦は関大だ。今夏に行われた定期戦では6中差で勝利しただけあり、トーナメント突破へ期待がかかっていた。しかし、4射目で思うように流れを作ることが出来ず、それが足かせとなり終盤に巻き返しを図るもあと一歩及ばず、76-79の僅差で惜敗し、トーナメント1回戦敗退となった。


今大会は伊勢神宮弓道場で行われた

※一回で各選手4本合計12本の矢を放つ。各校4人で構成された2チームが4本ずつ交互に矢を放ち、計96本のうち的に的中した本数の多いチームがトーナメント2回戦進出となる。

ポジション名前一立目二立目三立目
一の立
大前牧原俊介 (経3・慶應)0   
 前原栞太(政2・浦和) 336
二的金森大空(経2・慶應)1326
落前関口敦正(経1・慶應)44412
小林研一郎(法4・慶應)43310
二の立
大前森田魁(文2・慶應)44412
二的石黒慧磨(文1・一宮)2349
落前松本道弥(法3・城北)34411
本郷一輝(法4・慶應湘南藤沢)33410
合計 76

慶大一の立は大切な初矢を3人が的の中心付近に的中させ、堂々の滑り出しを見せる。しかし、中盤には惜しくも矢が的に嫌われる場面が目立ってしまう。それに追い打ちをかけるように関大は安定感のある射で慶大にプレッシャーをかけ、15中という高的中を見せつける。6中差で関大の背中を追う慶大は、二の立で全員が落ち着いて初矢を詰め、立て直しを図る。所々で的中を逸する場面も見られたが、悪い流れを引きずることなくカバーし合うチーム力の強さを発揮すると二の立は12-12、慶大は計21-27で4射目を終えた。

差を埋めて12射目に弾みをつけたい慶大の8射目では、一の立で関口敦正(経1・慶應)が1年生ながら確実に的をとらえ、4射目に続き皆中する。ほかの選手も的中を伸ばしたが、関大も調子を落とすことはなく、一の立の結果は13-14。続く二の立は森田魁(文2・慶應)、松本道弥(法3・城北学園)が皆中するなど、インカレ王者として圧倒的な安定感を見せつける。14-11で的中差を4中に縮めて8射目を終えた。


落ち着いて実力を発揮した二の立

ここで勝ち切り、2回戦へと駒を進めたい12射目。一の立は8射目の良い流れを切らすことなく上々の引きはじめを見せると、またしても関口が皆中し、12射を通してすべての矢を的中させた。両者一歩も引かない手に汗握る展開を繰り広げるも、12-14で差を広げられてしまう苦しい状況となり、二の立にすべてが託された。二の立は全員が初矢を的中させるとその後も正確無比な射で慶大の意地を見せつける。しかし、相手が11中目を決めた時点で慶大のトーナメント1回戦敗退が決定してしまう。その中でも1本も外すことなく全員が引き切り、最後は主将・本郷一輝(法4・慶應湘南藤沢)が矢を的に力強く押し込み、16-13。結果として各校2チーム合計76-79で惜敗を喫した。


主将として最後まで堂々とひいた本郷

序盤、思うように勢い付けることが出来ず、後半にそのしわ寄せがくる形となった今回の王座決定戦。選ばれた学校しか出場することが出来ない舞台の厳しさ、難しさを痛感する結果となった。これで4年生は引退となる今回の試合、敗れはしたものの慶大弓術部の未来を担う下級生の活躍が光る一面も見られた。本郷の言うように「毎年行けるような試合でもない」この王座決定戦への出場も含め、今年は慶大弓術部の底力を大いに発揮した1年となっただろう。来年はⅠ部の中でさらにハイレベルな戦いが繰り広げられる。先輩がつないできたバトンをしっかりと受け継ぎ、「貪欲に」勝ちにこだわる彼らのさらなる進化に期待したい。

(記事:佐藤有 写真:左近美月、松嶋菜々美、佐藤有、松岡実優)

*記事の掲載が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。

監督・選手コメント

鈴木清久監督

――試合前、選手たちに伝えたことはなにかありましたか

それは毎試合同じことで、基本に忠実に、息を下ろして、押手を強くし、強い矢で星を狙う。普段の練習通り、今年1年間やってきたことを最後までやり続けようと伝えました。

――試合総括

このチームが弱かった点は選手が6人しか揃わなかったということで、それが如実に出た結果です。

――4年生はこれで引退となります。4年生に対してなにか思うところはありますか

一生懸命頑張ってくれて、今日この伊勢まで連れてきてくれたということは感謝しかありません。基本的なことを繰り返していけば活路が見えてくるということがわかるきっかけになったと思います。社会人になっても頑張って欲しいです。

――今年はインカレ優勝、I部昇格、王座出場を成し遂げました

インカレが変則日程で行われてうまく時流に乗って優勝できて、そのあともみんな本当に頑張って、I部昇格を目指して再度奮起しそれを成し遂げたと思っています。その過程の1つ1つで素晴らしい経験を彼らがしていったということと、成し遂げたということに対して敬意を持っています。

――また新たなチームづくりが始まります。今後に向けて一言

来年は今までと違いましてI部という舞台で戦うことができます。もっと厳しい練習をして、今日見たような甘い矢を出すのではなく、良い矢を出し続ければ勝てる相手だと思っていますので、練習の1本1本から厳しく、また王座を目指して欲しいと思います。

本郷一輝(法4・慶應湘南藤沢)

――今日を振り返って

率直にこれが弓の試合かなという感じです。最初負けたと思っても結局最後までどちらが勝つか分からない、意外と勝つことが出来たかもしれないという数本で負けてしまうとところが弓らしい試合だなと思いました。

――今日に向けてきてしてきた準備は

まず伊勢に来たことが10年ぶりということで、みんなそのことを分かっていなかったので、毎年行けるような試合でもないので、まずはそれに慣れるというのを一番にやっていました。

――チームの流れは

初っ端からあまり良くなくて、自分たちのやらなければいけないところをきっちりとやらなかったというところが良くなかったかなと思います。

――最後の1本を中てられて(あてられて)いましたがご自身ではいかがですか

負けると分かっていましたが、これで弓道を引退するからこそ最後しっかり自分らしく終われたらなと思って引いていました。

――この試合で引退ですが弓道人生を振り返ってみていかがですか

とにかく辛かったです。自分の弓道人生は99の辛いことと1の楽しいことでできていて、いろいろ勝てましたし、ほかの人に比べて結果も残すことが出来て楽しい瞬間もありました。毎日きついことを沢山こなしたからこそ楽しさや喜びを感じることが出来て、なににおいても通じることなのではないかなと思いました。

――後輩に向けて一言お願いします

練習しなければ始まらなくて、自分たちの過去にとらわれたって仕方がないと思います。とにかく貪欲に、ハングリー精神むき出しで自分が勝つんだという志と覚悟を持ってかんばってほしいなと思います。


1年生ながら皆中した関口

関口敦正(経1・慶應)

――今日の試合を振り返って

やっぱり初回に崩れてしまったのが痛いかなと思いますが、これが自分たちの実力かなと感じています。

――先輩たちの中で1本も抜かずにひけた理由は

一番は4年生にずっと感謝の気持ちを持ち続けていたことです。最後まで勝負は分からないので、12射詰まったあと、結果を見て、それで負けたらしょうがないかなと思って、とにかく4年生と最後までひきたいなと思ってずっとやっていました。

――今日の試合に向けて具体的にやってきたことは

とにかく真っ直ぐひくことと、弛まずに離すことを意識していました。

――その2つが今回出来ましたか

出来なかった矢もありますが、出来た矢もあったので、しっかり今後に向けてその確率をあげていければ良いなと思います。

――4射ごと交互にひくという試合形式に対して体力、集中力面ではどうでしたか

試合中はもう本当に集中していたので、とにかく同じことをやり続けるだけかなと思いました。まだ試合も終わっていなくて、終わるまでどうなるか分からなかったのでとにかく引き続けました。組み合わせによって36射か24射か分かれるんですけど、36射しっかり練習の時からやっていたので、そこには不安はなく、あぁ、36本ひくのかという感じでした。

――戦評で言われたことを通して

ひきながら、最後かとは思っていたんですけど、僕らはまだ終わっていなくて、通過点でしかないので、来年、再来年に向けてしっかり自分たちが表に立って頑張りたいなと思いました。

――引退される四年生に向けて

本当に4年間お疲れ様でした。

――次以降の試合に向けて目標、具体的に強化していこうと思っているところは

個人としては、とにかく真っ直ぐひくことと、弛まずに離すこと、そこになるのかなと思います。

――1年生全体として目指したいところは

僕らの代は16人と多いんですけど、最後まで全員で4年間出来たらいいかなと思いました。