12月14日、アミノバイタルフィールドで行われた関東大学1部リーグTOP8・BIG8チャレンジマッチはTOP8・7位の日本体育大学とBIG8・2位の桜美林大学が対戦。桜美林大が16対6で勝利し、初のTOP8昇格を決めた。

勝利が決まった直後、学年に関わらず選手・スタッフのほとんどが涙を流して喜ぶ中、主将のWRリュウジ・マイケル・バンデューセン(4年)は笑顔を見せるものの、涙を流すことはなかった。

「もちろん勝ったことは嬉しいですが、ここで終わりではないです。桜美林大は日本一を目指しているチーム。ここで主将が泣いている場合ではないと考えた結果でした」

バンデューセンは後輩たちにチームがまだ道半ばであることを伝えるために涙を堪えた。

2012年には3部リーグに所属していた桜美林大だが、2013年、大学から桜美林学園創立100周年を迎える2021年までに日本一になることを目標に活動する『特別強化クラブ』に認定され、チームの再構築を始めた。フルタイムコーチを含む各ポジションの専任コーチ、常駐トレーナーの配備、グランドの人工芝化などの環境整備を大学として取り組んできた。2016年にはBIG8昇格。所属1年目からチャレンジマッチに出場したが、明治大学に10対17と惜敗。昨年は日体大とのチャレンジマッチに出場したが、21対31で敗戦し、TOP8の舞台にはあと一歩届いていなかった。

2019年のチームが始まった時、バンデューセンは主将に立候補した。それは、2018年の自分に対して雪辱するという決意表明だった。

2018年シーズン第6節、TOP8への自動昇格の権利を懸けた東京大戦に惜敗した(21対24)。バンデューセンは第4Qにドロップしたボールをインターセプトされた。チームがあと一歩で掴めた昇格を、自らの捕球ミスで潰してしまった。それが、自らの手でチームを率い、昇格へと導くことが、4年生になった自分の責務だと、誰よりも強く考え、行動しようと決めた理由だった。

「自分がやってやるという選手が集まったパッションのあるチームにしたい」と、意気込んだバンデューセンだったが、チームは初戦の神奈川大学戦に14対21で敗戦した。

「これまで自分たちが取り組んできたこと全てが否定された感覚でした」

バンデューセンは敗戦直後のことを思い出して少し顔を歪めた。

第2節の青山学院大戦(26対0)、第3節の国士舘大戦(31対7)は勝利しているものの、『方向性を見失っていた』と、バンデューセンは言う。しかし、第4節の駒澤大学戦(27対20)から復調の兆しが見えた。今季のチームは下級生の主力が多く、試合に出場していない4年生も多かった。彼らは率先して練習の準備やスカウティングを行っていた。

「自分ができることを最大限やりきる4年生の姿を下級生たちが見て、少しずつチームがまとまり始めました」と、関口順久監督は4年生の努力がチームに変化をもたらしていたという。

5勝1敗で今季のチームの試金石と捉えて目指してきた、最終節の日本大学戦を迎えた。TOP8への自動昇格をかけた一戦は、第4Q中盤まで同点の接戦だったが、27対48で敗戦し、日体大とのチャレンジマッチ出場が決まった。

「チームが緩まないか不安でしたが、リュウジがうまくまとめてくれました」

今春、日大に0対42で敗戦している日体大との対戦だったが、関口監督はチームを引き締めたバンデューセンのリーダーシップを讃えた。

試合後のハドルで関口監督の『やったぞ!』の声に笑顔を見せたバンデューセンだったが、自分が話すタイミングでは表情を引き締めた。

「甲子園ボウルを目指して今この瞬間から始めよう。TOP8にふさわしいチームになって甲子園ボウルに出て勝とう!」

後輩に夢を託したバンデューセンはハドルブレイクをした後、満面の笑みだった。

取材・文=蔀啓介

現在配信中のハドルマガジン1月号Vol.63では、チャレンジマッチを含めた全国学生のポストシーズンゲームレポートを掲載しています。是非、ご一読ください。

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