FINE PLAYをご覧の皆様、初めまして。プロサーファーの和光大と申します!Breath In The Momentというドキュメンタリー映画の撮影の為、現在僕はイングランドより更に北にあるアイスランドからこの記事を書いています。

なぜプロサーファーであり、プロのカメラマンでもない僕がこのプロジェクトを始めようと思ったのか。まずは簡単な自己紹介をさせてください。


幼少期から父親の影響でサーフィンを始め、プロサーファーになり世界で通用するサーファーになるという夢に向け、小中学校は国内のアマチュア大会に積極に出場しタイトルを獲得。
中学を卒業を機に、更なるレベルアップそして語学習得のため単身オーストラリアへ留学をする。それが15歳。

一年の半分を大会遠征のため国内を飛び回り、オフシーズンの12月になると単身ハワイ、オーストラリアへサーフィン修行そして撮影のために3ヶ月以上毎年訪れていた、生粋のコンペティターの生活を送っていました。

15歳から20歳までの約5年間の留学生活を終えた僕は日本に帰国しJPSA(日本プロサーフィン連盟)によるプロテストを受け2戦目にし合格、晴れてプロサーファーとなる。

同年ルーキーイヤーに第4戦新島ALL JAPAN PROで初優勝をしトップシード入りを果たす。ここまでが20歳までの僕のプロフィールとなります。ここまで読んでいただけたらどれだけ試合だけに集中していた選手だったかが少し伝わったかと思います。しかしここから僕の人生の歯車は狂い始めます。

「世界で活躍できるサーファーになる」というのが僕の夢だったこともあり、この時点での自分の結果にはもちろん満足していなく、もっともっとと求めてしまう自分がいました。
結果を残さないと世界へ出て行く資金を獲得することが出来ない―プロ1年目にして既に20歳だったこともあり焦りを感じていた僕は、自分自身にプレッシャーをかけにかけまくっていたのでした。

やりたいという気持ちよりもやらなくては、という気持ちが先行してしまっていたため、もちろん結果もついてくるわけなく、翌年そして翌々年とランキングが急降下。
最終的にランキングはトップシードの11位から33位という結果になっていました。

そしてプライベートの問題も重なり、思うようにサーフィンに取り組めなくなってしまう環境に、最終的に自分はなんでサーフィンをしているんだろう、と考える状況に追い込まれてしまったのです。しかしこの経験があったからこそ今の自分がいて、今こうしてアイスランドからこの記事をかけているのではないかと思っています。
どん底に行き着いた僕が自分自身に聞いたのが、”今一番何がしたいのか”ということでした。

そこで僕が出した答えというのが、サーフィンをしたい、プロサーファーとして毎日自分の体力が底を尽きるまで技術を上げる練習がしたい、でした。そして僕は第2の故郷オーストリラリアに再び戻る決心をしたのでした。


オーストラリアへ再び戻った僕が送っていた生活は本当に毎日が充実していました。自分が今一番追い求めている、練習時間を取り戻すことが出来たのです。
朝から海に入り昼のなれば昼ご飯を食べ、そしてもう一度海に入る。
夜になれば日本食レストランでアルバイト。まさに’’今を生きている’’と実感する生活が3年弱続きました。この頃には学生時代からやりたいと思っていた事の一つである、サーフィンのコーチングも有名コーチの元で勉強を始め、日本からオーストラリアへコーチング生徒を受け入れる仕事も行いながら大会にも継続して出場していました。

2度目のオーストラリ滞在は今まで自分が見てきた景色とはは違うものも見る事が出来ました。結局今までいろんな国へ訪れ様々なサーフポイントを経験していたとしても’’海’’と’’宿’’の往復でしかなかったなというのを気づかせてくれたのです。

その経験からまだまだ世界には色々な景色がある、それを見ないのはどうなんだろうと思い始めたのでした。そして2度目のオーストラリ滞在も終わりを迎えようとしていた2017年の10月、彼女との電話口で自然とこう聞いていました。

“一年後、世界一周の旅に行こう”

この突拍子もない一言に快諾してくれた彼女ともに1年かけて費用を貯め、そしてせっかく旅に出るのだから、自分の目で見たことや感じたことを何かに残したいという思いから映像という表現方法を選び、この日から世界一周に向けて独学で映像に関して学び始めました。

この世界一周とういう旅が、今ぼくがこうしてBreath In The Momentというプロジェクトを始めるきっかけとなったのです。翌年2018年11月末、サーフボードとカメラを片手に3ヶ月の旅に出ました。


この限られた時間で回った国はインド、スリランカ、エジプト、モロッコ、スペイン、ポルトガル、フランス、アメリカ、そしてカナダ。
ここからその旅の模様をチェック出来るので是非!

この先の人生においてもこの3ヶ月ほど濃い時間はない。毎日が発見、興奮、驚きで溢れていました。


たくさんリサーチしたし、この3ヶ月のために1年という期間を要して準備したこともあって毎日何かを吸収しようとしていたからかもしれない。


息を飲むような景色や建造物を見て、物に対する尊さや、自然に対する尊敬の念が毎日増えて行くようでした。その中でも中東のモロッコはこの世界一周の旅でもハイライトとして自分の胸の中に深く刻まれています。


壮大な自然の中をひたすら運転して次の目的地へ向かいます。そこはまるで別の惑星に来たような感覚になるほどの異空間が目の前に広がっていました。そしてまたそこにはずっと昔からあるような古い建物に、今でも昔と変わらない暮らし方で生活している人たちがいるのです。

目的地へ向かう道中に何度も寄り道をして、少しでもこの人たちがどういう生活をしているかわかろうとしました。


こんな壮大な自然があり自分が、いや人間がいかにちっぽけな存在かを改めて教えてくれたような気がします。ですが、道路脇に目を向けてみるとそこには見渡す限りゴミの山が散らばっていたのです。

エジプトでも子供が食べたお菓子の袋を何の躊躇もなく捨てているのを目撃しました。その時はなんでだろう、、としか思わず理由が見つけられませんでした。でもモロッコに来てみて思ったのは、昔と同じ生活をしているからこそ、果物の皮を捨てるのと同じ感覚で捨てしまっているのではないかと思ってきたのです。僕はプロサーファーとして海をフィールドに仕事をしています。海を汚さない、ゴミを捨てない、ゴミがあったら拾う、というのは当たり前のように教えられてきたし、実行してきました。

ですが世界を回ってみて思ったのは、この自然を守るという自分にとって当たり前であったことを発信していかないと、いつか本当にこの自然が壊れてしまうのではないかと肌で感じたのです。
そして3ヶ月の旅を終えて帰国した僕はこの思いを伝えたく何が出来るんだろうと模索していた時に思いついたのがこの、Breath In The Momentというプロジェクトです。世界を旅をして僕が気付けたわけだから、きっと他にも多くの人が気づくはずだ。でも中には時間や、金銭的な問題、生活があるとう理由で行けない人もいるだろうと。

そんな人たちに僕たちが旅をして僕たちが見たものや感じたことを映像を通して伝えることは出来ないだろうか、というのがこのドキュメンタリーのそもそものコンセプトなんです。10ヶ月のうちにたくさんの方々に出会い話を聞いてもらい、新しい知識を共有してもらい、サポートしてくれる企業も現れ、今こうして僕らメンバーは旅しています。感謝しかありません。

僕がそうであったように、’’今を生きる’’自分がした事、やりたい事に素直に向かうことでその先に見える事があると思います。

今回のメンバーは全員プロサーファーですがそれぞれまったく異なるライフスタイルを送っています。その4人が集まりそれぞれが伝えたい事、ゴミ問題サーフィンを通しての人との繋がり、自分らしさを追い求めて旅をしていきます。この旅も3週間がたち、残すところ1週間となりました。

どのようにこの旅が終わるのか分かりませんが、今この瞬間を大切に過ごしていきたいと思います。

FINE PLAYをご覧の皆様、是非僕らの旅を公式Instagramアカウントからフォローしてみてください。

@breath_inthemoment
Dai Wako/ 和光大 @wombat0828