12月22日(日)、慶大蹴球部の今年度最後の試合が行われた。帝京大を相手に敗れたものの、4年生が奮闘した。今回は、その試合後のインタビュー、そして引退にあたってのコメントを、3回に分けて4年生27人全員分お届けする。今回は、学生スタッフ7名…

12月22日(日)、慶大蹴球部の今年度最後の試合が行われた。帝京大を相手に敗れたものの、4年生が奮闘した。今回は、その試合後のインタビュー、そして引退にあたってのコメントを、3回に分けて4年生27人全員分お届けする。

今回は、学生スタッフ7名。普段は影からチームを支える彼らだが、22日の試合では3名がプレーヤーとして出場した。

──試合を振り返って

4年生としては「3年生以下に慶應のラグビー、自分たちのやってきたことをしっかりと示して残そう」と話していたので、そこに関してはできたかなと思います。

──ご自身も出場されました

楽しかったです。学生コーチとしてみんなには口うるさく「基本は大事だぞ」ということを言っていたので、基本を大事にしつつ、その中でも「この2年間ラグビーをしていなかった分の内なる気持ち」みたいなものを爆発させようと思っていました。すごく楽しくて、みんなとやれてよかったです。

──スタンドからも大きな声援が飛んでいました

嬉しかったですね。今までずっと下働きと言いますか、日の当たらないようなところでやってきていたので、とても嬉しかったです。

──キッカーも務められていました

実はもともとそこまでキックは蹴ったことがなかったんです。学生コーチをしていく中で、なにか1つ特技でもと思って、練習の終わりなどに遊びで蹴ったりしていました。今回4年生試合があるということで、「もしチームがトライをとったら蹴ろう」と、(途中までキッカーを務めた)田中と話していました。最後決めたかったのですが、思いっきり外してしまいました(笑)。

──4年間を振り返って

4年生になって結果を残すことができなかったですし、個人的にも「選手として4年間やりたかった」と実はまだ後悔しています。正直つらいことの方が多かったのですが、最後こういう形で皆さんに応援してもらいながらプレーできて送り出してもらえたことには感謝の気持ちでいっぱいです。

──同期の皆さんへ

やはりみんなから学生コーチに選ばれたときは「なんだよ…」という不信感を抱いてしまったこともあったのですが、実際になってからはみんなも支えてくれましたし、最後こういう試合でキッカーをやらせてもらったりして、とても助けられました。本当に感謝しています。

──後輩の皆さんへ

1日1日を全力で過ごしてほしいです。僕のようにたとえスタッフへ回ることになったとしても、結果がうまく出なくても、それでも「悔いなくやった」と自信を持って言えるように頑張ってほしいです。

――どのような思いで試合に臨みましたか

みんなに最後にいい思いをさせてあげたいなと思っていて、選手に主体的にやってもらってみんなに悔いなく楽しんでもらいたいなというのがコーチとしての思いでした。選手としては、あまりたくさんのことはできないですが、一つのことなら人間なんでも一生懸命できるので、そういうところを見せられたらといいなと思っていました。今日はテーマが「ライズ」、すぐ起きる、と決まっていたので転んでもすぐ起きることを一番やろうと思っていました。

――実際に試合を終えて

コーチとしては選手に聞いてみないとわからないですが、終わった後に選手がみんなやりきった顔で清々しく終わってくれていてコーチとして心残りはないです。選手としては実際に試合に出て、そのファーストプレイがスクラムで緊張したのですが後で聞くとスクラムが押せてしまってかなり歓声も上がって盛り上がっていたというのを聞いて嬉しかったです。後悔なく終われたのでよかったです。

――鷲司さんを応援する声が他の選手よりも一際大きかったように思います

スクラムは組む前は盛り上がってるなぁ、とは思っていたのですが、組んでからは圧力で耳が聞こえなくなるので。でも後からそういう話を聞いて嬉しくなりましたね。

――4年間を振り返って

早かったです。後悔のないようにって思いながら過ごしてはきましたが、どれだけ頑張っても後悔は残るものだなと思っています。自分に対しても後輩に対しても言えますが、次のステージにいっても後悔はどうやっても残るので、後悔のないようにというよりは自分の目の前のことを頑張っていってほしいです。

――同期の皆さんに伝えたいことは

2年間信用してもらってコーチをやらせてもらってきた中で、勝たせてあげられなくて申し訳なかったという気持ちが大きいです。最後みんなが主体的に試合に取り組んでくれて清々しく終わってくれて、それに対してむしろありがとうと言いたいです。勝たせてあげられなかったのにみんな明るく終わってくれていたので、申し訳ないという気持ちと本当にありがとうという気持ちです。

――最後に後輩に向けて一言

さっきの繰り返しにはなりますが、たくさんのことをやろうとするのではなく、目の前のことに全力で真摯に取り組んで欲しいです。それが慶應らしさであると思っていて、花形ではないですが泥臭くやっていって、一つずつそれを積み重ねていけば結果的に日本一になれると思うので、頑張っていって欲しいです。

――試合を終えて

2年ぶりの本気のラグビーでした。4年間一緒にやってきた仲間と一緒のグラウンドに立てて、楽しかったですね。とにかく楽しかったです。今日はとにかく「刺さろう」と思いながら、後輩たちのために、ひたすら体を張っていこうと思っていたので、そこはできたと思います。

――選手時代はどこのポジションをやられていたのですか

フランカーとスクラムハーフです。

――この1年を振り返っていかがですか

結果としては負けたという悔しさはもちろんあります。悔いがないと言ったら嘘になりますけど、ラグビー部に入ってよかったと思える1年間でした。

――同期の皆さんに伝えたいことはありますか

そりゃもう、大好きです。

――後輩の方々に向けては

僕らが達成できなかった日本一というものを達成してほしいと願っています。

続いて、この日も学生スタッフとしてチームを支えた4名。それぞれの仕事を全うしながら試合を見守った。

――4年間を振り返っていかがですか

長いようで、あっという間。嬉しかった事、苦しかった事が本当に沢山詰め込まれた4年間でした。

ですが、それら1つ1つが確実に僕の人生においての財産になっていると感じています。

最後になってしまいましたが、塾蹴球部に関わってくださった多くの方々に深く感謝申し上げます。

今後とも蹴球部にご指導、ご声援のほど何卒宜しく御願い致します。

――同期の皆さんに伝えたいことはありますか

申し訳ないです。勝たせたかったです。

結果を出せなかったこと、大変情けなく感じています。

それでも最後、自然に涙を流せるほどこのチームに愛を持てた事、誇りに感じています。

トレーナーに選んでくれて、そして支えてくれた同期のみんな、本当に有難うございました。

――後輩の方々にメッセージをお願いします

後輩のみんな、これまで有難うございました。

この1年間、結果を出せず苦しい思いをさせてしまい申し訳なく感じています。

まだ時間のある皆んなには、自分の心に正直に、素直に生きて頑張って欲しいと思います。考えの食い違いを怖れずによく話し、よく考え、行動する。それが部の為、そしてなによりも自分自身の為だと思います。

お世話になりました。ありがとうございました。

――4年間を振り返っていかがですか

ラストシーズンは大学選手権に進めず悔しい結果になりましたが、帝京と筑波Jrに最後勝てたことが、今までで一番嬉しかったです。この二試合は、低く刺さるタックルやひたむきな気持ちが、凄く伝わる試合だったので、慶應らしさや慶應の良さが最後に一番出せた試合だと思いました。

――同期の皆さんに伝えたいことはありますか

同期の選手、そして同じ学生スタッフには感謝の気持ちを伝えたいです。

自分は学生スタッフのため、試合中はひたすら勝ってくれと思いながら、自分の仕事を行っており、対戦相手やグレードに限らずチームが試合に勝った時がとても嬉しく感じます。その中で、帝京戦と筑波Jr戦は四年生の力が中心となり勝てた最高な試合だったと思います。この様な素晴らしい試合を作ることが出来た同期の選手、そして学生スタッフにありがとうと伝えたいです。

――後輩の方々にメッセージをお願いします

来年は、慶應らしさが観ていて伝わる試合を作り上げ、大学選手権優勝に向けて励んでほしいと思います。自分も慶應ラグビーが大好きな一ファンとして、応援しています!

――試合前どのような話をされましたか

最後の試合なので後悔なく出し切るということをずっと話していて、試合としてはライズをしっかりやるということを選手たちは言っていたので、それをサポートしていこうという話をしていました。

――試合終盤には学生スタッフを務めてこられた方々の姿もフィールド上にありました。どのように写っていましたか

一緒に頑張ってきた人たちの中でも、特に同じ苦しみを味わってきた人たちだったので、最後に活躍する姿を見られて本当に嬉しかったなというのと、学生スタッフになる時に色んな苦しみがあったりミーティングがとても大変だったりという、色んな出来事が頭の中でフラッシュバックしていました。

――この4年間を振り返って

最後は勝てなくて非常に苦しいシーズンで、それは選手だけでなくスタッフも同じ気持ちだったんですけども、最後笑って終えられるのは皆のおかげですし、こういった機会を作ってくださった方々や、サポートしてくれた後輩たちに感謝したいなと思っています。それと、私がここまでやってこられたのは本当に両親の支えがあってこそなので、自分も選手たちをサポートしている身ではありましたが、それ以上に私支えてくれた両親にありがとうを伝えたいです。

――川邊さんの業務を引き継がれる後輩の方々に向けて

マネージャーの業務がどんどん変わっていく中で、すごくきついことや苦しいことが多くなっているかと思います。部室の中でチームのために出来ることを探すというのが今までのスタンスだったんですけれども、それだけじゃなくてチームに対して厳しく言ったり働きかけたりということも増えてきて、それ自体は非常に難しいことではあるんですが、それを出来てこそチームは強くなるということを実感した1年だったので、その経験を生かして来年以降強い気持ちで頑張ってほしいなと思います。

――引退試合でレフリーを務めました。今日の試合をレフリーとして振り返っていかがでしたか

帝京大も引退してしまっているので、4年生が多く出場していました。対する慶應も4年生が多く出場しているという中で、なるべく好きにやってもらいたいと考えていました。ただ、最終的に反則も増えてしまって、そこは自分の力不足だったのかなと思います。

それでも、帝京も慶應もそれぞれたくさんトライがとれて、いい試合ができたのであれば、それはよかったのかな、とも思います。

――4年生のプレーをご覧になって、どんなことを感じましたか

僕はずっと練習を近くで見てきましたが、やはりみんなそれ(普段の練習)がプレーに出ているな、と感じました。また、一緒に学生スタッフとして頑張ってきた岡本(爽吾=商4・慶應)、山口(耕平=経4・慶應志木)、鷲司(仁=環4・東海大仰星)という、プレーヤーから退かざるを得なかった人たちが試合に出て、後輩たちに何かを残そうとしていることが、自分としても嬉しくて誇りに思いました。

――後輩たちに残していく「何か」はどんなものか、今日の試合の中で見つかりましたか

自分個人としてチームになにかを残すことよりも、4年生みんなで何かを残すことの方が価値も影響も大きいだろう、と思いながら試合に臨んでいました。なので、自分個人としてというよりも、4年生全員として僕らの想いだったり、最後まであきらめない姿勢だったりを後輩たちに残せたのであれば、僕は満足かな、と思います。

――4年間戦ってきた同期の皆さんに向けて、最後にひとことお願いします。

同期にはたくさん迷惑をかけてきました。また、自分はプレーしていない身なので、(選手たちと)一緒に戦うことができません。そんな僕を1年生から4年生まで受け入れてくれて、最後まで一緒にやらせてくれたということで、感謝しかないです。最後のこの引退試合の舞台でも、レフリーとして一緒にグラウンドに立つことができ、本当に感謝しかありません。

その他のコメントはこちらから

4年生コメント集 “CHRONICLE” FW陣

4年生コメント集 “CHRONICLE” BK陣

 

この試合をもって4年生は引退を迎えた。今年、初のワールドカップ開催に伴って列島はラグビーブームに包まれたが、日本ラグビーのルーツ・慶大蹴球部は苦しい戦いが続いた。春季大会で挙げた勝ち星はわずか1つ。そして秋の対抗戦では5位に沈み、22年ぶりに大学選手権出場を逃した。それでも、11月30日(土)の最終戦では帝京大を相手に9季ぶりとなる勝利を挙げ、ジュニア選手権入替戦では4年生中心の布陣で筑波大を退けてカテゴリー1残留を決めた。確かに、結果だけ見れば「勝てなかったチーム」かもしれない。しかし、伝統校の誇りにかけて挑戦を続ける黒黄戦士の雄姿は、見る者を魅了した。

そして、そのバトンは後輩たちに託された。栗原ヘッドコーチの現役時代以来となる日本一へ、新たな戦いはすでに始まっている。

(編集:竹内大志 写真:竹内大志、野田快)