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宮司愛海連載:『Manami Memo』 第8回

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フジテレビの人気スポーツニュース番組『S-PARK』でメインキャスターを務める宮司アナの連載『Manami Memo』。第8回のテーマは、「2019年10大トピックス」。2019年を振り返り、自身にとって印象深い出来事について1月から振り返った。



2019年のスポーツシーンを振り返った宮司愛海アナ

 早いもので、もう1年を振り返る季節。今年のスポーツ界は、東京2020オリンピック・パラリンピックの1年前ということもあって大きな大会が立て続けに行なわれましたね。実際にスタジアムなどに足を運んで感動の瞬間を味わった方も多かったのではないでしょうか。

『S-PARK』は番組開始から2年目を迎え、私自身も昨年にも増して多くのアスリートの方に出会い、たくさんの経験をすることができました。

【1月】三浦和良選手の合宿に同行取材

 今年は1月から貴重な経験をさせていただきました。カズ(三浦知良)さん恒例のグアム自主トレ合宿に同行取材。まだ夜も明けきらないうちから始まるトレーニングを取材し、練習の合間にインタビューもさせてもらいました。

 また、2月26日のカズさん52歳の誕生日には、多くのメディアが集まるなか、特大ケーキとともに52本のバラの花束を渡す大役を任されました。花束を渡した直後、真っ白いスーツ姿のカズさんにハグされて、驚きのあまり棒立ちになってしまったのが懐かしくもあります。

 そして、11月24日のJ2リーグ、横浜FC対愛媛FC戦。この試合に2-0で勝った横浜FCは、ホームのサポーターの前で13年ぶりのJ1昇格を決めました。後半42分、カズさんが交代出場したときのスタンドの熱気に、改めてその存在の大きさを感じました。

『S-PARK』ではその試合後、カズさんにお話を伺うと、やはり交代の際の大歓声には「うるっときた」とお話しされていました。その囲み取材後、誕生日会見以来お会いしたカズさんに番組視聴者用のプレゼントを手渡しでいただくと、今年2度目のハグ。長いシーズンを戦い終え、J1昇格を果たした喜びがひしひしと伝わってきました。

 こうした振る舞いを爽やかにできるのも、カズさんの魅力ですよね。10代でブラジルに渡るなど、豊富な海外経験のなかで磨かれた国際感覚を持たれているからだと思います。大ベテランのカズさんが、来季のJ1でどんなプレーを見せてくれるのか。来季Jリーグの開幕が待ち遠しいです。

【3月】イチロー選手の引退会見に感動

 ベテランと言えば、今年は長年その競技を牽引してきたトップ選手たちの引退が多かったですね。ゴルフ界では諸見里しのぶさんや佐伯三貴さんがツアーの第一線から退くことを決断。野球界では上原浩治さんや阿部慎之助さんが、今季限りでユニフォームを脱ぎました。

 そして大きな話題となったイチローさん。3月21日の東京ドームでのシアトル・マリナーズ対オークランド・アスレチックスの試合後に現役引退を表明。ユニフォーム姿のまま深夜の引退会見に臨まれました。

 私はその時、世界フィギュアスケート選手権で会場にいたため、引退会見はテレビで見ていました。印象に残ったのは、「少しずつの積み重ねでしか、自分を超えていけないと思っている。一気に高みにいこうとすると今の自分とギャップがありすぎて、それを続けられない。地道に進むしかない」という言葉。あのイチローさんですらそうしたことを感じていた、ということに衝撃を受けたのと同時に、自分自身も励まされ、明日に向かう活力をもらいました。今後ずっと大切にしていきたい言葉のひとつです。この言葉以外でも、会見でのイチローさんの言葉は心に響くものばかりで、宝石のいっぱい詰まった宝箱のようでした。

【6月】八村塁選手、日本人で史上初のNBAドラフト1巡目指名

 6月は日本バスケットボール界にとって、新たな一歩が刻まれました。八村塁選手がNBAドラフトでワシントン・ウィザーズから1巡目指名(全体9位)。日本人選手初の快挙と、八村選手の開放的な魅力あふれるキャラクターも相まって連日大きくメディアに取り上げられましたよね。

 八村選手だけではなく、今年は日本バスケ界にとってもメモリアルな一年でした。2月にバスケットボールワールドカップアジア地区予選を突破。4連敗スタートの崖っぷちの状況から、自力では21年ぶりの出場権獲得。3月にはFIBAの理事会で東京オリンピックへの出場が認められました。

 中国で開催された9月のワールドカップでは、世界ランク48位の日本代表には厳しい結果になりました。1次ラウンドでアメリカ(同1位)、トルコ(同17位)、チェコ(同24位)と戦って3戦全敗。世界のレベルを痛感させられました。

 でも、日本バスケは新たな扉を開けたばかり。10月に開幕したNBAで八村選手は連続スタメンで成長を遂げています。NBA2年目の渡邊雄太選手もメンフィス・グリズリーズで試合出場の機会を少しずつ得ていますし、今月にはNBAでの日本人対決も実現しました。馬場雄大選手もダラス・マーベリックスと契約して、今季はNBA下部のリーグで腕を磨いています。来年の東京オリンピックでは、「ワールドカップでの敗北があったからこそ、この成績を残せた」となることを期待しています。

【8月】渋野日向子選手が42年ぶりの快挙

 今年は夏から秋にかけて日本中がスポーツの熱狂に包まれました。皮切りになったと思うのが、渋野日向子選手の全英女子オープンゴルフの優勝。日本人選手では樋口久子さん以来42年ぶりの快挙を達成したニューヒロイン誕生は、間違いなく今年を代表するトピックですよね。

 渋野選手を3度ほど取材させてもらいましたが、実際にお会いした印象は、きっとみなさんがテレビを通して受けているイメージそのまま。等身大で飾らない素敵な女性です。「スマイル・シンデレラ」と言われるあの笑顔は、内面から自然と湧き出ているのだなと感じました。

 笑顔はもちろんですが、渋野選手はコメントもすばらしいですよね。笑いをひとつ挟んだりするお茶目さもあって。試合結果が悪ければ悔しさから感情をコントロールできなくなっても不思議はないのに、そういったところは一切なし。まだ21歳なのに、どんな結果であっても丁寧に取材に応じていて、本当にすごい選手が登場したなと思います。

【8月】世界柔道選手権が日本武道館で開催

 8月には、世界柔道選手権が2020年の東京オリンピックと同じ会場の日本武道館で開催され、とても意味のある大会になったと思います。

 この大会で特に注目されていたのが、男子の66キロ級です。その伏線は、今年4月に行なわれた全日本選抜体重別選手権にありました。2017年・2018年の世界選手権覇者の阿部一二三選手が、決勝で13分23秒の死闘の末、丸山城志郎選手に敗戦。

 さらにその丸山選手が、8月の世界選手権で優勝。準決勝では阿部選手にふたたび勝利しました。11月のグランドスラム大阪大会で丸山選手が優勝すればオリンピックの代表内定に大きく近づくことができましたが、この大会では阿部選手が意地を見せ、延長戦の末に丸山選手を破って優勝。現場で取材していて、ふたりのオリンピック出場にかける気迫に鳥肌が立つほどでした。

 これだけ実力の拮抗した選手がオリンピック代表を争うのは、過去に例を見ないのではないでしょうか。グランドスラム大阪大会後に井上康生日本代表監督は、「それでもまだ丸山選手が一歩リードしている」と話されていました。年明けも続いていくふたりの代表争いを、しっかり注視していきたいと思います。

【9月】ワールドカップバレーボールを連日中継

 9月はワールドカップバレーボール中継の日々を送っていました。9月14日から10月15日まで、前半の2週間は女子、後半の2週間は男子の試合をお伝えしました。

 女子は初戦でドミニカに勝利しましたが、第2戦でロシアに2-3と惜しくも敗れて波をつかみそこねると、韓国、中国、アメリカ、ブラジルにも敗戦。取材していて選手たちから重い空気を感じることもありました。

 それでも、第8戦でセルビアにセットカウント0‐2から逆転勝利。強豪国相手の勝利が転換点になったと思います。最終的な成績は6勝5敗の5位でしたが、次につながる何かが見えた大会だったと思います。

 男子は8勝3敗で28年ぶりの4位。大会前の世界ランクは11位で注目度は決して高くなかった中、熱戦を繰り広げたことで日に日にメディアの数も増えていきました。大会前から「絶対に俺たちは勝つ」という良い雰囲気に包まれていた選手のみなさんがその気持ちを見せてくれました。

 個人的なハイライトは世界ランク1位のブラジル戦です。

 結果は1-3で負けましたが、日本はやりたいバレーがしっかり表現できていたので、最後の最後まで「ブラジルに勝てるかも!?」という期待感でいっぱいでした。この悔しさは来年に晴らしてもらいましょう。1972年モントリオール五輪での金メダル以来、遠ざかっている五輪でのメダル獲得を期待しています。

 ワールドカップバレーではチームを連日追い続けるからこそ、見えてくるものがあると気づきました。「昨日はこういうところが悪かったけど、今日はそこを修正してきた」とか、「この選手は昨日元気がなかったけど、今日はいい感じに折り合いをつけて頑張っている」とか。1試合を見ただけでは気づかないストーリーを追う体験を、今後の糧にしたいと思っています。

【9月】ラグビー日本代表の活躍に熱狂

 ラグビーワールドカップでの日本代表は、多くの感動と興奮を日本中に与えてくれました。私は決勝トーナメント1回戦の日本対南アフリカ戦をスタジアムで取材することができました。

 4年前にジャイアントキリングを起こした再現を期待したのですが、この大会の優勝チームだけあって南アフリカは強かった。しかし、日本代表が最後まで立ち向かっていく姿勢に、多くの感動をもらいました。

 大会終了後は『S-PARK』にも日本代表の福岡堅樹選手、堀江翔太選手にお越しいただきました。打ち合わせからとても感じがよく積極的にアイデアを出してくださる姿勢に感銘を受けました。

 両選手が出場するトップリーグは1月12日に開幕。福岡選手は東京オリンピックの7人制ラグビー代表も目指しています。想像以上の盛り上がりを見せたラグビー。その熱が2020年以降も続くように引き続き注目していきたいと思います。

【11月】萩野公介選手の復活

 11月は萩野公介選手が東京都オープンの400m個人メドレーで、300日ぶりにライバルの瀬戸大也選手と直接対決。タイムを見ても、まだトップフォームからは遠いかと思いますが、本当にいい表情をされていました。

 3月の休養発表のときも、6月の復帰宣言のときも思ったのですが、トップスイマーが競技から一度離れたり、ふたたび戻ったりの決断をするのはすごく勇気のいること。そこを乗り越えた萩野選手が今後どのような過程で来年の東京オリンピックを目指すことになるのか、しっかり見届けたいと思います。

【12月】横浜F・マリノスが令和初のJ1王者

 12月は令和初のJ1リーグ王者が決まりました。横浜F.マリノスが優勝を争うFC東京との直接対決を制して、15年ぶり4度目の優勝。最終節かつ1位2位の直接対決で優勝が決まるのはJリーグ史上初のこと。会場にはリーグ戦歴代最多63,854人もの観客が集まり、初雪が観測された寒さのなか大きな声援を送っていました。

 試合は、序盤から両者の想いがぶつかり合う熱い展開。1点でも多く得点したいFC東京も攻め続けましたが、マリノスの攻撃に屈し、3-0で横浜F.マリノスがシャーレを手にしたのでした。

 優勝決定後の主将・喜田拓也選手のスピーチはとてもすばらしく、15年ぶりの「優勝」をどれほどサポーターの皆さんが待ち望んでいたのかを感じました。

【12月】競馬・藤田菜七子騎手がJRA重賞初勝利

 競馬では藤田菜七子騎手が12月8日の『カペラステークス・GⅢ』にコパノキッキングで勝利して、日本人女性騎手として史上初めてJRA重賞を獲得しました。これまで何度か取材をさせていただいている藤田騎手の記録達成の瞬間を生で見ることができたのは、私にとっても嬉しいものでした。

 さらに、その1週間後の15日には通産100勝を達成。インタビューの際には必ず「支えてくださる方々への感謝」と「目の前のことに一つひとつ向き合っていくこと」を口にする藤田騎手。

 一つずつ積み上げたその先にいったいどんな未来が待っているのか、引き続き応援していきたいです。

 来年は、元旦に新・国立競技場で、スポーツ・イベントのこけら落としとなるサッカー天皇杯決勝から始まります。そして、夏には東京オリンピックが待っています。

 2020年もしっかりとスポーツの盛り上がりを伝えていきますので引き続き「S-PARK」をよろしくお願いします!

ではみなさま、よいお年を!

Profile
宮司愛海(みやじ・まなみ)
91年7月29日生まれ 2015年フジテレビ入社
福岡県出身。血液型:0型
スポーツニュース番組『S-PARK』のメインキャスター。スタジオ内での番組進行だけでなく、現場に出てさまざまな競技にふれ、多くのアスリートに話を聞くなど取材者としても積極的に活動。フジテレビ系東京2020オリンピックのメインキャスターを務める。