第28回全日本大学女子選手権
早大4-1
1-1
愛知東邦大
【得点】
(早大)6’船木和夏、32’小林菜々子、34’蔵田あかり、46’廣澤真穂、59’村上真帆
(愛知東邦大)11’千賀夏希、76’神谷千菜

 女子サッカーの大学日本一を決める全日本大学女子選手権(インカレ)。2回戦からの登場となったア式蹴球部女子(ア女)はこの日、愛知東邦大と対戦した。小雨が降りピッチも滑りやすいという悪条件の中で行われたこの試合。不用意な失点こそあったものの、得意とするセットプレーなどで大量5得点を奪い相手を一蹴。2年ぶりのインカレ制覇に向け好スタートを切った。

 アンカーにMF村上真帆(スポ3=東京・十文字)、シャドーにMF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)、FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)を置くような4-1-4-1の布陣で挑んだア女。最初のチャンスが訪れたのは6分。左CKを獲得すると、キッカーの高瀬の右足から放たれたボールはファーで待つDF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)のもとへ。これを折り返すと、ゴール前にいたDF船木和夏(スポ1=日テレ・メニーナ)が反応。きっちり頭で押し込み、ファーストシュートで先制に成功する。しかし、わずか5分後の11分、すぐに追い付かれてしまう。左サイドでDF陣がボールを奪われると、GK川端涼朱(スポ3=東京・十文字)が高い位置を取っていたのを見逃さなかったFW千賀夏希(1年)にロングシュートを沈められた。
 序盤から大きく試合が動いたこの試合だったが、その後は両チームとも決定機をつくれない。高瀬が「球際の激しさに苦戦した」と語ったように、中盤でのパスを狙われピンチになりかけるシーンが多くみられたものの、小林、DF井上萌(スポ1=東京・十文字)の両センターバックを中心に粘り強く守りシュートを打たせない。そして再び試合が動いたのは32分。山田のミドルシュートが相手に当たって獲得したCKを再び高瀬が蹴る。1得点目と似た高い軌道で放たれたボールはまたしても小林のもとへ。これを高い打点で叩くと、ボールはネットに吸い込まれ勝ち越しに成功する。直前の取材では「セットプレーでの得点を見てほしい」と話していた小林による有言実行のゴールとなった。その後も攻撃の手を緩めないア女は34分、右サイドでの展開から山田が逆サイドのMF蔵田あかり(スポ2=東京・十文字)にスルーパスを出す。完全にフリーの状況で前を向いた蔵田は、左足で落ち着いて流し込み3点目。46分にも高瀬のCKからFW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)がこぼれ球を押し込み、4-1としたところで前半を折り返した。


勝ち越しゴールを決め、笑顔を見せる小林(写真中央)

 大量得点でペースを握った前半とは変わって、後半はギアを上げてきた相手に押し込まれるかたちとなったア女。58分には自陣エリア内でボールを奪われ、MF小川真依(1年)にシュートを打たれるが、川端のセーブで事なきを得る。なかなか攻撃の糸口をつかめないア女だったが、思いがけないかたちで追加点を奪うこととなる。59分、相手DFのバックパスをGKが誤って手でキャッチしてしまいPA内での間接FKを得ると、廣澤が素早いリスタートで村上にパスを出す。まったく対応できていない相手を横目にゴールへ流し込み、ダメ押しの5点目。リードを4点に広げた。しかしその後も押し込まれるア女は、76分にヘディングで2失点目を喫してしまう。それでも相手の反撃を振り切り、試合終了。プレッシャーのかかるインカレ初戦を見事5-2の完勝で飾った。


シュートを放つ蔵田。貴重な追加点を奪った!

 中1日というハードスケジュールで迎える次戦・準々決勝の相手は筑波大。関東大学女子リーグ戦(関カレ)での対戦では2点リードから引き分けに持ち込まれ、関カレ制覇を逃す一因となった。「全員で気持ちを引き締めたい」と話したのはこの日2得点に絡み、守備の要としてもセットプレーのターゲットとしても期待の大きい小林。この日のような不用意な失点は命取りになりかねないだけに、もう一度選手同士の共通理解を確認したいところだ。「ここに来られていないメンバーの思いも胸に、絶対に勝って西が丘に行きたい」(蔵田)。笑顔で年を越すため、仲間の待つ東京に笑顔で帰るために、筑波大戦も全員で勝利をつかむ。

(記事 山崎航平、写真 石井尚紀、永池隼人、森迫雄介)


スターティングイレブン


早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK16川端 涼朱スポ3東京・十文字
DF35船木 和夏スポ1日テレ・メニーナ
DF小林 菜々子スポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF31井上 萌スポ1東京・十文字
DF中田 有紀スポ4兵庫・日ノ本学園
→55分源関 清花スポ4ちふれASエルフェン埼玉
MF10村上 真帆スポ3東京・十文字
→64分19桝田 花蓮スポ2ちふれASエルフェン埼玉マリ
MF11松本 茉奈加スポ3東京・十文字
MF◎8高瀬 はなスポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
→81分12並木 千夏スポ2静岡・藤枝順心
FW山田 仁衣奈スポ4大阪・大商学園
→64分32高橋 ひな社1兵庫・日ノ本学園
MF13蔵田 あかりスポ2東京・十文字
→55分17阪本 未周スポ3大阪・大商学園
FW34廣澤 真穂スポ1ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
リザーブ:GK33近澤澪菜(スポ1)、DF6佐々木呼子(スポ3)
◎=ゲームキャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

コメント

MF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

――きょうの試合を振り返って

立ち上がりは緊迫した状態が続いたのですが、平常心でみんな取り組むことができましたし、勝てて良かったです。

――きょうは普段対戦しないチームとの対戦でしたが、ゲームプランはいかがでしたか

かなり球際が強いということだったので、球離れを早くというところと、けっこう裏のスペースを使えるということだったので、それを狙ってしました。ですがスカウティング通り、すごく球際が強くて、苦戦したところでした。

――その中で前半セットプレーから3点を奪取しました。高瀬選手のキックも精度が高かった印象です

前半点が取れるまでは球際で潰される場面が多かったので、セットプレーはすごくチャンスになるなと思っていました。しっかり狙って蹴るだけだったので、決めてくれて良かったです。

――そのセットプレーでは多くのサインプレーを狙っていましたが

そうですね、練習通りにできれば点は入ると分かっていたので。自分のキック次第のところもあったので、きょうはしっかりいいところに蹴れましたし、中の選手も調子が良かったですし、得点につなげることができて良かったです。

――流れの中から、MF蔵田あかり(スポ2=東京・十文字)選手の得点も生まれました

そうですね、あそこは自分たちのストロングポイントでもあるので、仁衣奈(FW山田、スポ4=大阪・大商学園)からすごくいいボールが出たし、タイミングもすごく合っていたので、セットプレーだけじゃなく、ああいう場面もどんどん増やしていけたらなと思います。

――一方後半は間延びしてしまうなど、ズレが徐々に生じてしまっていました。失点もありましたが、振り返っていかがですか

そうですね、得点を取れた分やっぱり守備での集中力というところで、けっこうスリッピーな部分もあってもう少し予測できたらというところもありました。雨の時の対応で、天然芝も普段とは違う部分でしたし、もう少し予測のところで相手を上回らないといけなかったなと思います。

――失点こそありましたが、快勝を収められました。この勝利を28日にどうつなげていきたいですか

自分たちの出だしとしては良かったですが、2回戦の他の関東の大学の結果も見て、何があるかわからないとすごく実感しました。ですがそれに惑わされず、自分たちのやるべきことをしっかりやって、必ず準々決勝も勝って、西が丘に帰りたいと思います。

DF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)

――本日の試合を振り返っていかがですか

初戦ということで、みんな準備ができていたなと言うのが第一印象です。その上で前半で多く得点が取れたことは良かったなと思います。

――1点目のDF船木和夏(スポ1=日テレ・メニーナ)選手のゴールにつながったコーナーキックからのヘディングの意図はどのようなものでしたか

あれはとりあえず折り返そうと思って(頭に)当てにいったらちょうどいい所に和夏がいて、ラッキーでした。

――2点目は有言実行のゴールとなりましたが

はなが良いボールを蹴ってくれて、ボールに対してうまく入れたので良かったです。

――失点シーンについて振り返っていかがですか

1点目は奪われた後相手のシュートもうまくて、入ってしまいました。1点取った後の1失点だったので、相手を勢いづけてしまったのは残念でした。2失点目は、相手の身体能力を考えずに、自分が普通にヘディングしようと思ったところに上から叩かれたので、そこはもっと自分の準備だったり、もっと周りを見てクロスの対応をしなければいけなかったというところだったので、あさってまでに改善したいです。

――次戦以降に向けて意気込みをお願いします

次は筑波大戦で、前回引き分け(関東大学女子リーグ戦、△2ー2)ているので、全員で気持ちを引きしめてやりたいというのと、コンディション面も、もっと全員でケアしながら気持ちを高めていきたいなと思います。

MF村上真帆(スポ3=東京・十文字)

――インカレ初戦を終えていかがですか

サプライズがすごく多くて、東京に残っている人たちから『頂』とメッセージが書いてあるエンジの横断幕をもらったりもしたので、より残っている人たちの思いを背負ってきょうはできたかなと思います。

――村上選手がボールを保持した場面で、相手がプレスをかけてショートカウンターを狙っているように見えました。やりにくさはありましたか

そうですね。昨日もスカウティングをしていて、相手が前からのプレスがすごいと言っていたので、意識はしていたのですが、想像以上に前から来られて、ちょっとでもタッチが大きくなったり、ボールを持ち過ぎたりしてしまうと、激しく来られてしまったので、最初は苦戦してしまいました。

――セットプレーから得点を重ねて勝利を引き寄せました

セットプレーというのは一年間強みとしてやってきたことなので、結果として出たのはすごく良かったと思います。

――村上選手をはじめ、スタメンの選手が退かれた後に攻めあぐねている印象でした。外から見ていていかがでしたか

相手が残り時間が少なくなってきたところでギアチェンジをしてきて、後半の最初より勢いが増してきた中で、押し込まれてしまっていました。一番最後の方は、萌(DF井上、スポ1=東京・十文字)とかがシンプルに大きくクリアをしていたので、そうしたちょっと大きいプレーを増やしていければ良かったかなと思います。

――この試合での収穫はどのような点ですか

やっぱり得点を重ねられたことが一番良かったかなと思っています。直前の練習試合などでも、自分たちがポゼッションをしている中で得点が取れなかったので、きょうはセットプレーも含めて得点というかたちができて良かったです。2失点をしてしまった部分は修正をしていかなければいけないのですが、それ以上に点を取って明後日も勝っていきたいです。

――先日対談で仰っていたMF松本茉奈加選手(スポ3=東京・十文字)と蔵田選手への『愛しかないパス』がきょうはなかなか決まりませんでしたが、次戦で期待してもよろしいですか

少しきょうはピッチがスリッピーで、愛がちょっとだけこもっているパスになってしまったので、明後日はしっかりと『愛しかないパス』を出せるようにしたいです(笑)。

MF蔵田あかり(スポ2=東京・十文字)

――インカレの初戦となりました、どのような意気込みで臨みましたか

トーナメント戦なので一戦一戦勝ちにこだわりながら、点を決めてやろうという気持ちで臨みました。

――実際に得点を決められましたが、あのゴールシーンを振り返って

逆サイドで展開していたから自分のサイドがフリーになっていたので、(山田)仁衣奈さんからのスルーパスに反応して流し込むだけでした。

――勝ち越した直後の3点目ということで、試合の流れを決定付けたゴールとなりました

いつもなら失点した後はピッチ上であたふたしてしまうんですが、きょうの試合は結構(みんなが)落ち着いていたので、勝ち越し点や追加点を取ることができたのかなと。全体的に落ち着いた試合運びができたと思います。

――後半に入ってからは押し込まれる時間帯が長くなりましたが、見ていてどのように感じましたか

(後半途中に蔵田と同時にベンチに退いた中田)有紀さんと一緒に見ていたんですが、失点しても落ち着いて見ていられました。ピッチの中の選手たちも焦っていなくて、自分たちの攻撃や守備ができているなと思っていました。

――中1日という詰まった日程で次戦を迎えます

次の相手の筑波大は関カレ対戦時に2点先制してから追いつかれて、嫌なイメージが残っているので、それを払拭して勝ちたいと思います。ここに来れていないメンバーの思いも胸に、絶対に勝って西が丘に行きたいです。