「春の高校バレー」として行われる第72回全日本バレーボール高等学校選手権大会(産経新聞社など主催)は来年1月5日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で開幕する。混戦が予想される女子で、台風の目となりそうなのが文京学院大女(東京)…

 「春の高校バレー」として行われる第72回全日本バレーボール高等学校選手権大会(産経新聞社など主催)は来年1月5日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で開幕する。混戦が予想される女子で、台風の目となりそうなのが文京学院大女(東京)だ。中学時に全国優勝を経験した世代がチームに加わり、東京都大会を制し、本大会に乗り込む。1年生アタッカーの広田あいは「東京の第1代表として簡単には負けられない」と闘志を燃やす。

 会場には「まさか」という雰囲気が漂った。11月17日、駒沢体育館で行われた東京都大会準決勝。文京学院大女はサーブで今秋の国体覇者、下北沢成徳の陣形を切り崩し、ストレート勝ち。勢いに乗ったチームは決勝でも名門の八王子実践を2-0で破った。

 「成徳には重圧もあったと思う。勝利はたまたま」。吉田岳史監督は謙遜するが、「あの試合を経験した強さはあると思う」とチームの成長を認める。

 3年連続11回目の本大会出場となる文京学院大女だが、東京都大会を制したのは、本大会が1月開催となった2010年度以降、初めて。躍進の中心となったのが、文京学院大女中3年だった昨夏に全日本中学校選手権(全中)で頂点に立った広田やアタッカー樋口友梨を中心とする1年生だ。

 今春、“黄金世代”が高校に進学。高校総体、国体は全国出場を果たすことができなかったが、6月の高校総体予選で下北沢成徳、八王子実践、共栄学園に全敗した悔しさがチームに変化を生んだ。

 「どうしたら点が取れるか」「ミスを減らすには」-。以前よりも積極的に選手同士が課題や反省を話し合うようになった。1年生に体力がついてきたこともあって調子の波が減り、チームの完成度が高まった。選手個々の能力の高さを発揮できる試合が増えていった。

 このチームで初めて迎える全国の大舞台にもひるむ様子はない。セッターの清田萌(3年)は「接戦になると普通は守りに入るけど、1年生はどんどん攻めていく。頼りになる」と信頼を寄せる。

 登録メンバーに、昨夏の全中優勝メンバーは5人。「東京の1位として注目されると思うけど、いまの文京バレーを出し切れたらいい」と樋口。勝利の味を知る1年生がチームを上位進出へと押し上げる。(川峯千尋)