2010年代は野球界にとって大きな出来事が多くあった。日本球界だけで見ても「飛ぶボール問題」「二刀流の誕生」「節電による…
2010年代は野球界にとって大きな出来事が多くあった。
日本球界だけで見ても「飛ぶボール問題」「二刀流の誕生」「節電による試合時間の短縮」。他にもポジティブなものからネガティブなものまであったが、最も大きな出来事は「リプレイ検証映像の導入」ではないだろうか。
世界初のプロ球団が誕生してから約150年、決して変わることのなかったルールがとうとう変わったのだ。
通称“ビデオ判定”の導入により間違っていたものを正せる点で、審判員の最終判定の精度は高くなった。選手にとってもビデオで確認することにより納得のいく判定が増えた。お客さんは現地でリプレイ映像を見て一喜一憂するという新しいエンターテインメント性も生まれた。その効果なのか球場への来場者は年々増加している。また判定が正しくなれば必然的に揉めることも少なくなった。
私自身もプロ野球で審判を行なっているときに、何度かリプレイ検証によって助けられてことがある。選手にとっても審判員にとってもお互いのストレスが減ったように感じる。
しかし私は同時にこうも感じる。
「こんな揉め方するの?なんで揉めてるの?」というのが無くなってしまったなと。
お客さん目線で揉めているシーンを考えた場合、観戦している試合が突如揉め始めた時になぜかワクワクしたことはないだろうか?次の日の職場や学校の話のネタにしたことはないだろうか?これも現地でしか体験できないエンターテイメントの一つだったと私は思う。
揉めることは良くないというのは当たり前の話だ。選手、審判員にとっても精神的にかなり負担が大きいのも事実。だが客観的に揉めていた時代を思い出してみた場合、それもファンにとって熱狂するポイントの一つであったのではないだろうか。
時代によって野球も変化することは必要だ。
来年以降に議論になることが予想されている“ワンポイント投手禁止“のルールや“ロボット審判”による判定。野球界はこれからも多くの変化をしていくはずだ。変えるということは維持するよりも大変なことであるが「変化=進化」であって欲しいと私は切に願う。
2020年には東京五輪があり、野球界のみならずスポーツ界全体のさらなる盛り上がりが予想される。その盛り上がりをさらに加速させるような「進化」を2020年代の野球界に私は期待したい。
文:元プロ野球審判 坂井遼太郎