大坂なおみ(日本/日清食品)の「全豪オープン」優勝や、ビアンカ・アンドレスク(カナダ)、ココ・ガウフ(アメリカ)といったニュースターの誕生など、多くの話題があった2019年女子テニス。今年も多くの名プレーが生まれたツアーの中で、今回は8月の…

大坂なおみ(日本/日清食品)の「全豪オープン」優勝や、ビアンカ・アンドレスク(カナダ)、ココ・ガウフ(アメリカ)といったニュースターの誕生など、多くの話題があった2019年女子テニス。

今年も多くの名プレーが生まれたツアーの中で、今回は8月のWTA(女子テニス協会)月間ベストショットに選ばれた、ベサニー・マテック サンズ(アメリカ)の劇的なウイニングショットを振り返って紹介する。

このプレーが生まれたのは、同郷ココ・バンダウェイ(アメリカ)と組んで出場した8月の地元大会「ウェスタン&サザン・オープン」のダブルス初戦でのこと。

最終セット、マテック サンズ/バンダウェイが9-7とマッチポイントを迎えたこのシーン。バンダウェイがサービスを放つと、相手後衛がいきなり前衛のマテック サンズを攻めてきた。それを相手前衛に跳ね返すと、相手前衛がマテック サンズから一番遠いところへ非常に角度のついたショートクロスを落とした。

すると、即座に反応した前衛マテック サンズは真横に向けて猛ダッシュ。観客席との距離が非常に近いことも気にせず全速力で球に追いつくと、ネットを張るポールの外から相手側コートにギリギリ返球をし、これがウイニングショットに。そして自身は観客席との間にある低い柵に衝突した。

身を投げ出してのマテック サンズの執念のプレー。見事にポイントが決まると、地元観衆は総立ちで彼女を讃えた。そして柵への衝突は大事には至らなかったようで、マテック サンズは相方のバンダウェイに跳びついて勝利を喜び合った。

現在ダブルス世界24位(ランキングは12月23日付け)の34歳マテック サンズ。今シーズンは終盤に、同郷の当時20歳ソフィア・ケネン(アメリカ)と出場した「チャイナ・オープン」のダブルスで優勝を飾った。

ダブルス元世界1位であり、キャリア通算タイトル獲得数は27。グランドスラムでは「全豪オープン」「全仏オープン」「全米オープン」で優勝している。一方シングルスは、2011年にキャリアハイ世界30位を記録した。派手で個性的な自作ウェアを着用していたことでも知られるが、テニスに対しては高いプロ意識を持ち、幾度もの故障から立ち直り続けた不屈の闘志の持ち主でもある。

今回紹介したベストショットも、そんなマテック サンズの闘志が前面に押し出されたプレーではないだろうか。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「ムバダラ シリコンバレー・クラシック」でのマテック サンズ

(Photo by Larry Placido/Icon Sportswire via Getty Images)