8番で先発し、守備だけでなく打撃でも2安打3打点と活躍したレギュラー捕手の船越千紘(平成国際大)は、広島のドラフト4位ルーキー船越涼太捕手の妹。兄との“同時優勝”も近づいていた。■攻守両面で存在感見せ勝利に貢献、相手の強烈な体当たりは「来る…

8番で先発し、守備だけでなく打撃でも2安打3打点と活躍したレギュラー捕手の船越千紘(平成国際大)は、広島のドラフト4位ルーキー船越涼太捕手の妹。兄との“同時優勝”も近づいていた。

■攻守両面で存在感見せ勝利に貢献、相手の強烈な体当たりは「来ると分かっていたので」

 野球女子日本代表「マドンナジャパン」が、W杯5連覇に王手をかけた。9日、「第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ」(韓国・釜山)のオーストラリア戦に10-0で5回コールド勝ち。5連覇へ向けて、10日の韓国戦を残してスーパーラウンド1位通過を決め、11日に行われる決勝への進出を決めた。この試合に8番で先発し、守備だけでなく打撃でも2安打3打点と活躍したレギュラー捕手の船越千紘(平成国際大)は、広島のドラフト4位ルーキー船越涼太捕手の妹。兄との“同時優勝”も近づいていた。

 W杯初出場で日本代表の扇の要を務め、将来を嘱望される船越。ここまでW杯の舞台でもキャッチングの上手さや強肩を披露してきたが、この試合ではまず打撃で見せた。初回。川端の先制2点打、相手の暴投で3点を先制し、なおも1死満塁というビッグチャンスで打席が回ってくると、三遊間をゴロで抜く2点タイムリー。「リラックスして入った結果がヒットになって。すごくいい形でした」。5回にもタイムリーを放ち、3打点の活躍だった。

 守備でも魅せた。4回無死二塁の場面では相手がディレードスチールを仕掛けたが、冷静に三塁に送ってアウト。そして、最大の見せ場となったのは5回だ。1死一塁で相手の打球が左中間を抜け、一塁走者が一気に本塁生還を狙ってきたが、日本の見事な中継プレーでボールが本塁へ返ってくる。船越はキャッチすると、体当りしてきた相手に体を飛ばされながらもボールは離さずにアウト。国際試合ならではの激しいプレーにも動じなかった。

「タックルが来ると分かっていたので、こっちも身構えてたんですけど、あれだけ大きい体の人に来られると、耐えられなかったです」と苦笑い。ただ、「日本でああいうプレーはほぼないので、ボールを落とさないということだけしか(頭に)なくて。怖いというより『ボールを離さない』というほうが強かったです」と負けん気の強さを見せた。

■11日が決勝戦、広島と“同時優勝”の可能性も

 チームでは、4番に座って打線を牽引する川端友紀がヤクルト川端の妹として広く知られているが、船越もプロ野球選手の妹。同じ捕手で、王子から広島にドラフト4位で入団した船越涼太が兄だ。

 プロ1年目の今季、7月12日に1軍初昇格した兄は、同日の巨人戦でプロ初打席初安打をマーク。出場はこの1試合だけで、同20日に登録抹消となった。ただ、チームは25年ぶりの優勝まで目前に迫っており、11日に決勝を戦うマドンナジャパンと“同時優勝”となる可能性もある。

 兄とは大会が始まってから連絡を取っていないといい、「そういうのじゃないです」と照れくさそうに話すが、“同時優勝“については「ありますかね。なったら嬉しいですけど」と本音もこぼれる。もちろん、広島が10日に優勝を決めれば、決勝へ向けて大きな刺激になることは間違いない。

 5連覇へ向けて、ついに“王手“。ただ、船越はまずは10日の韓国戦に向けて「1位通過が決まってますですけど、気を抜くと次の試合(決勝)に良くないと思うので、最後まで気を抜かずにやります」と誓った。兄との“同時優勝”へ向けて、残り2試合も攻守両面で存在感を見せてくれそうだ。