サイドを刈り上げてトップの長髪を後方で束ねるヘアスタイル、上腕を覆うタトゥが印象的だ。昨今、この国の楕円球界で人気を集めたデレック・カーペンターが、久しぶりに芝へ立つ。 9月10日、東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれる日本最高峰トップリー…

 サイドを刈り上げてトップの長髪を後方で束ねるヘアスタイル、上腕を覆うタトゥが印象的だ。昨今、この国の楕円球界で人気を集めたデレック・カーペンターが、久しぶりに芝へ立つ。

 9月10日、東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれる日本最高峰トップリーグの第3節で、サントリー移籍後初先発を果たす。メンバー発表から2日前の練習時、すでに主力チームへ加わって連携を確認。「チャンスがあるとすれば、自分の仕事をやりたい」。1勝1敗のリコーを相手に、開幕3連勝を目指す。

「1週間、しっかりとしたプロセスで準備をする。試合になれば、しっかりとプレーする…。サントリーは、自分のベストな状態を引き出してくれるチームだと思っています。自分のラグビーを成長させてくれる」

 前年度までトヨタ自動車に在籍したカーペンターは今季、国際リーグのスーパーラグビーでデビューを飾った。「機会を活かして結果を出す。それができてよかった」。日本から初参戦するサンウルブズの一員として、シーズン途中からレギュラーの座を勝ち取る。

 身長183センチ、体重94キロ。CTBを務める。より大きな選手とのマッチアップも課されるなか、鋭い出足で攻防戦へ突入した。アウトサイドCTBに入った際の大外からの飛び出しで、しばし相手の攻めの選択肢を削除。母国ニュージーランドではビッグチャンスをつかめずにいたが、「サンウルブズのシーズンを通して、どんどん自分がインターナショナルレベルでやれるという自信がついてきた」と笑う。

 サントリーへ移籍した真の理由を問われるなか、こんな宣言もしたのである。

「サントリーの基準、スタンダードは最もインターナショナルに近い。これで日本に来て3シーズン目。日本代表や、それに準ずるメンバーになるのが目標です」

 国際統括団体のワールドラグビーが定めた現行ルール下では、他国代表およびそれに準ずるチームに選ばれたことのないプレーヤーは、国内居住3年を過ぎればその国の代表になれる。

 スーパーラグビー初年度は1勝13敗1分と苦しんだサンウルブズで成功体験を積んだカーペンターは、ジャパンのジャージィも虎視眈々と狙う。来季以降のサンウルブズでのプレーについても、「ある、かもしれません」。明言を避けながらも意欲的だ。

 今秋就任のジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチの名に触れると、「彼はすごく賢い人なので、僕がこのサントリーやサンウルブズでプレーしていれば…わかってくれると思います」とも続ける。

 今夏はリオデジャネイロ五輪で、パートナーである女子7人制ニュージーランド代表のフリアナ・マニュエルさんを応援した。

「いい雰囲気でした。2番目に応援していたのは、日本のチームでしたよ」

 サンウルブズファン待望の報せは、訪れるだろうか。(文:向 風見也)