最後の幕が上がる。4年生にとっては最後の舞台となる定期演奏会・紫紺の集いが、今年度は12月23日に府中の森芸術劇場にて開催される。今回は引退を間近に控えた4年生に今の気持ちを伺った。応援指導班班長を務める岡田尚広(政経4=今治西)のインタ…

 最後の幕が上がる。4年生にとっては最後の舞台となる定期演奏会・紫紺の集いが、今年度は12月23日に府中の森芸術劇場にて開催される。今回は引退を間近に控えた4年生に今の気持ちを伺った。応援指導班班長を務める岡田尚広(政経4=今治西)のインタビューです。(この取材は12月15日に行われたものです)

――リハーサルを終えた感想をお願いします。

 「まだお客さんに恩返しできるレベルではないなという感じです。これから1週間練習して、最後には今年1年間でお世話になった人に、一番良かったと言ってもらえるステージにしたいです」

――まだまだな点はどこですか。

 「歌の声量などです。本番は幹部がずっと見ているわけにはいきません。下級生それぞれがステージで踏ん張れるかどうかが大事です。そこを磨いて最後は下級生が一踏ん張りできるようにしたいです」

――ここまではどういった練習をされてきましたか。

 「今日のリハーサルが本番のつもりで練習してきました。サブや拍手、声量などを特に意識してやってきました。11月の頭に初めて団員を集めて、その時に今年1年間お世話になった方への恩返しをしようと話しました。自己満足ではなくお世話になった人のためにというコンセプトで今年の紫紺の集いを作っています」

――この1年間、幹部として大事にしたことはありますか。

 「応援団って一生懸命やるスポーツだと思っているので、まずは自分が一番一生懸命やるということを意識しました。指導者というよりかは背中で見せるということを意識してきた1年間です」

――そもそもなぜ班長になられたのですか。

 「入団した当時の幹部先輩がすごくカリスマ性があって、アメとムチをうまく使い分けてこの人ならついていくと思わせるようなリーダーで、自分もリーダーをやりたいなと思っていました。1年生の夏合宿からそう思っていました」

――ストイックにできる理由を教えてください。

 「自分が応援団に入った理由にも直結しますが、人として強くなりたい、芯のある人間になりたいという思いでここにいます。その思いは幹部になった今でも、まだ満足できていませんし、同期にも自分を変えたいという思いで入ってきた人がいて、一緒にトレーニングしたりしています。自分がへばってしまうと後輩に示せないのでそこだけは一生懸命しました」

――1年を通して大変だったことは何ですか。

 「全部大変です(笑)。下級生に思いを伝える、下級生にもっと成長してもらいたいという思いを素直に伝えるのが難しかったです。僕はそういうところが特に苦労しました」

――逆に楽しかったことはありますか。

 「役職柄もありますが、下級生が成長したなと思う瞬間はうれしいです。1年生が春、神宮サブをしてもすぐに疲れていたのが、今やリーダーを振れるほどになりました。その子も最初は下手くそでしたが、そういうところに楽しさを感じます」

――下級生の現状はどう見ていますか。

 「今年は練習を一番やっていて、この時期には生き生きとやってくれているので、幹部もモチベーションを上げています。下級生はいい感じに仕上がっています」

――下級生にはどのようにアプローチしていますか。

 「交換日誌を今年も継続してやっているんですけど、例年よりもしっかりやってきた自信があります。練習中は口下手なので、日誌で思いを伝えるようにしました。下級生も文面の方が書きやすいこともあると思うので、毎回時間をかけてしっかり読んでいました。前回の練習で叱った子には前向きな言葉を書いたり、練習ではランニングでスカイツリーまで行ってタイ焼き買ったり、そういう気分転換はしています」

――リーダーとして魅せ方の工夫はありますか。

 「先輩や首脳陣に教わったことをやるだけで、工夫はあまりありません。ただ、自分は表情にこだわってやっています。うまいわけではないので、言葉を発しなくても分かるように力込めて顔に出します」

――当日はリーダーとしてどのような姿を見せたいですか。

 「応援団でやるリーダーや拍手は今後の人生でやらないと思うんですよ。ですが、それすらもがむしゃらにやる姿勢を見せたいです。一生懸命という思いを背中で感じてもらえるようにしたいです」

――岡田さんが思う理想の応援団を教えてください。

 「一人一人が主体的に一生懸命に頑張る団体であってほしいです。みんなもちろん頑張っていますけど、応援団には測る指標がありません。それでも競争もありつつ、全員がまとまって一生懸命やってくれる人たちであってほしいなと思います。お客さんの前でしんどさを見せる団員が0になるくらいの組織になってほしいです」

――後輩に何か伝えたいことはありますか。

 「散々いじめてきてごめんね(笑)。今年は本当に精神的につらかったと思うんですけど、それでも辞めずについてきてくれてありがとうということを伝えたいです。正直めっちゃ後輩が好きという人ではなかったんですけど、ふと思い返すとかわいいなこいつらって思うことがあるので、そういうところはまた納会で伝えられたらなと思います」

――4年間を共にした同期にメッセージをお願いします。

 「たまたまいいやつらがいっぱい集まって良かったです。ばかな自分のことも立ててくれていたので本当にいい同期だと思っていますし、ありがとうと伝えたいです」

――今年度の応援団のスローガンは〝応援とは〟ですが、岡田さんにとって応援とは何ですか。

 「人を前向きにすることができるものだと思います。これは1年生の頃からずっと思っていて、一生懸命頑張るやつに悪いやつはいないというのは中学校の時からずっと言われていました。お客さんもそういうところが見たいと思います。野球応援でも素人の子もいますが、ルールを覚えないのは甘えだと思います。そういうところも一生懸命やってにじみ出るものがあると思うので、応援とは一生懸命頑張るものだと思います」

――本番に向けて意気込みをお願いします。

 「全員で納得して終われるようにしたいです。お客さんも後輩も。僕ら幹部もやって良かったし、後輩もやり切ったぞとなるようにしたいです。お客さんも本当に明日から仕事頑張ろうと思えるステージにします」

――ありがとうございました。

[中野拓土]