ATPアワードの2019年「最も上達した選手賞」は、年末までにATPランキングが著しく上昇し、年間を通じてパフォーマンスレベルが向上した選手に贈られる賞。今年は、フェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)、マッテオ・ベレッティーニ(イタリア…

ATPアワードの2019年「最も上達した選手賞」は、年末までにATPランキングが著しく上昇し、年間を通じてパフォーマンスレベルが向上した選手に贈られる賞。今年は、フェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)、マッテオ・ベレッティーニ(イタリア)、ダニール・メドベージェフ(ロシア)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)が候補に選ばれた。受賞者は選手間の投票で決定する。ベレッティーニがこの賞を見事受賞したが、その他候補の今年の活躍を振り返って見てみよう。

選手名:2018年末ランキング/2019年末ランキング(差異)/最高順位(日付)

フェリックス・オジェ アリアシム:109位/21位(+88)/17位(10月14日)

マッテオ・ベレッティーニ:54位 /8位(+46)/8位(11月4日)

ダニール・メドベージェフ:16位/5位(+11)/4位(9月9日)

ステファノス・チチパス:15位/6位(+9)/5位(8月5日)

4人の中でもランキングと対トップ10戦績では一歩リードしている、メドベージェフとチチパスの2019年はどんなものだったのか。

ダニール・メドベージェフ

メドベージェフは、2018年に素晴らしい成績を残した。決勝で錦織圭(日本/日清食品)に勝利した「楽天ジャパンオープン」を含め3つのタイトルを獲得し、シーズン終了時には16位に到達。「説明が難しいんだけど、15位だった頃の僕は、すでに良い状態だった。だけどそこから10位以内に入ろうと思うと一筋縄ではいかなかった。でも、どこまで自分が行けるのか見てみたい…(世界ランキングで)高いところに行くためには、多大な努力をしなければならないのはわかっているので、ただベストを尽くしているよ」と彼は言った。

彼の「ベスト」は、2019年ATPツアー最多の59勝を達成、ハードコートで46勝、決勝進出は9回、さらにはATPランキング自己最高となる4位も実現した。今シーズンは「ATP250 ブリスベン」での準優勝から始まり、その後「ATP250 ソフィア」優勝、「ATP1000 モンテカルロ」準決勝進出(チチパス、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に勝利)、そして「ATP500 バルセロナ」での決勝進出(ドミニク・ティーム(オーストリア)に敗退)と続いた。

メドベージェフは「ウィンブルドン」後にトップ10入りし、さらにギアを上げていった。7月末から10月半ばまで約3ヶ月にわたり、6大会連続決勝進出を含む29勝3敗と圧倒的な強さを見せた。「ATP500 ワシントンD.C.」「ATP1000 モントリオール」での準優勝後、「ATP1000 シンシナティ」と「ATP1000 上海」でマスターズ1000連続優勝を飾った。これらの優勝の合間に、「全米オープン」決勝戦ではナダルを相手に2セット先取されてから粘りを見せて2セットを取り返し、4時間51分の激闘の末に敗れはしたがテニスファンを唸らせた。「ATP250 サンクトペテルブルク」では地元ロシアでのタイトルを勝ち取っている。

今シーズン初めて「Nitto ATPファイナルズ」の出場権を勝ち取ったメドベージェフ。「私のゴールはずっと同じ。トレーニングごと、大会ごとに、毎日強くなって、大会に勝つことだよ。ここまでうまくきている。これは大きな喜びの源さ」

ステファノス・チチパス

「最も上達した選手賞」を2年連続で獲得した選手は、これまでに1人しかいない。2006年・2007年に同賞を受賞したノバク・ジョコビッチ(セルビア)だ。しかし、2018年「Next Gen ATPファイナルズ」覇者から2019年「Nitto ATPファイナルズ」覇者となったチチパスは、ジョコビッチに次ぐ2人目となる可能性を持っている。

21歳のチチパスは、今シーズンを最良の形で終えたが、シーズン最初も印象的な勝利で漕ぎ出した。彼は世界ランキング3位のフェデラーを破り、2007年のジョコビッチ以来、最も若いグランドスラムのセミファイナリストとなった。

その後「ATP250 マルセイユ」「ATP250 エストリル」の2大会で優勝、その他の3つ大会で準優勝となった。「ATP1000 マドリード」では、当時世界2位のナダルを破り、自身2回目となるマスターズ1000決勝戦までたどり着いた。さらに「ATP500 ドバイ」「ATP500 北京」でも決勝進出。「ATP1000 上海」の準々決勝ではジョコビッチに勝ち、世界1位の選手に初勝利を収めた。

8月初旬に自己最高となる5位に到達したチチパスは、11月に「Nitto ATPファイナルズ」に初出場ながら、メドベージェフ、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、そしてフェデラーを倒し、決勝ではティームに6-7(6)、6-2、7-6(4)で勝利。強烈な印象を残した。

「Nitto ATPファイナルズ」優勝後、チチパスは「どんどん自分のゲームが良くなっているのを感じているよ…世界最高の選手たちと競い合って、毎日精一杯努力していることが、このような結果に結びついたんだ」と語っている。

※写真はベレッティーニ(左)、チチパス(中央上)、メドベージェフ(中央下)、オジェ アリアシム(右)

(Getty Images)

ATP翻訳ニュース/ATPTour.com