テニスは、様々な感情に満ちたスポーツだ。時にプレーヤーはコート上で感情的になり、ドラマが生まれる。2019年「全米オープン」の大坂なおみ(日本/日清食品)とココ・ガウフ(アメリカ)の試合では、勝った大坂が涙のガウフを励ます心温まる一幕があっ…

テニスは、様々な感情に満ちたスポーツだ。時にプレーヤーはコート上で感情的になり、ドラマが生まれる。2019年「全米オープン」の大坂なおみ(日本/日清食品)とココ・ガウフ(アメリカ)の試合では、勝った大坂が涙のガウフを励ます心温まる一幕があった。そしてスポーツでは常に面白い場面が生まれる。ウェブメディア Essentially Sportsが、2019年のテニス珍場面を紹介している。早速、振り返ってみよう。

1.「悪くなーいね」ジョコビッチがイタリア人記者のアクセントをまねる

ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、「全豪オープン」で7回タイトルを獲得した史上初めての選手となった。メルボルンで歴史的な記録を打ち立てた後の記者会見で、ジョコビッチはイタリア人テニス記者Ubaldo Scanagatta氏のアクセントを真似てみせ、会見室は笑いの渦に包まれた。

記者「“全豪オープン”7回優勝、グランドスラム15回優勝」

ジョコビッチ「悪くなーいね(イタリア風に)」

「(イタリア風アクセントが)似ていますね」と記者が言うと、ジョコビッチは笑顔で、アクセントを真似たことについて軽く謝った。

ジョコビッチのコート内外での芝居がかった振る舞いは、テニスファンの心を掴んできた。ボールボーイに対する愛想の良いジェスチャーであれ、対戦相手に示す友好的な態度であれ、彼はそういった振る舞いで愛されている。

2.「モンテカルロで起きたことは、起きたことだ」ナダルの珍?名言

ローマで行われた記者会見で、ラファエル・ナダル(スペイン)の早口と、独特のアクセントが相まって、面白いフレーズが生まれた。ローマに来る前、ナダルは「ATP1000 モンテカルロ」「ATP500 バルセロナ」「ATP1000 マドリード」のクレーコートの3大会で、ファビオ・フォニーニ(イタリア)、ドミニク・ティーム(オーストリア)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)に敗れていた。またタイトルを一つも獲得することがないまま「ATP1000 ローマ」に出場するのは、ナダルにとって初めてのことだった。そして記者会見で「クレーコートの王者」と呼ばれるナダルは、過去数週間の敗北について、一気に早口でまくし立てた。

「モンテカルロで起きたことは、起きたことだ。バルセロナで起きたことは、起きたことだ。マドリードで起きたことは、起きたことだ。そして僕は今、ローマにいる」そのセリフが、2019年テニスにおける最も面白い場面の1つとなった。

3.キリオスと「レーバー・カップ」のセクシーな女性

2019年の「レーバー・カップ」は、ニック・キリオス(オーストラリア)の「セクシーな女性」発言を抜きには語れない。ロジャー・フェデラー(スイス)と対戦し、第1セットを取ったキリオスだったが、第2セットの途中で観客の中にセクシーな女性を見つけたため、それ以降は試合への集中力を失ったのだ。

「正直に言うよ。観客の中にセクシーな女性を見つけたから、集中力を失ってしまったんだ。今すぐ結婚したいぐらいだ」と、第2セットのチェンジコートの時に、キリオスはチームメイトに言った。そのコメントに、キャプテンのジョン・マッケンロー(アメリカ)を含むチームの全員がニヤニヤした。

4.「どれか指を出してサインをくれ」サインの出し方についてナダルがチチパスにお願い

「レーバー・カップ」のダブルスで、キリオスとジャック・ソック(アメリカ)のペアとの試合中、ナダルとペアを組んだステファノス・チチパス(ギリシャ)は、ナダルとコミュニケーションがうまく取れず、サインプレーもうまくいかなかった。

「もう少しサインを分かりやすくしてくれない?」と言うナダルに対し、チチパスは「相手チームが僕のサインを見ているから?」と珍回答をしており、ナダルの意図をくみ取れないでいた。それに対して、ナダルはフェデラーと一緒にクスクス笑いながら、「僕は前衛の君のサインを見ても、君がどっちのサイドでプレーするか分からないんだ。君が逆サイドでプレーする時は、どの指でもいい。どれか指を出してサインがほしいんだ」と言った。そのやりとりに、チームメイトとテニスファンは爆笑した。

5.「ATP500 ワシントンD.C.」準決勝でキリオスがチチパスのシューズを運ぶ

チチパス対キリオスの2時間に渡る素晴らしい試合は、ワシントンの観客と、世界中の何千人ものテニスファンを喜ばせた。チチパスの壊れたテニスシューズを直したリーンダー・パエス(インド)と共に、キリオスは、エンターテイナーの素質を見せた。

チチパスの靴紐は試合中に何度も切れた。チチパスは壊れたシューズをボールボーイに渡し、ファミリーボックスへ運んでもらうと、ダブルスの名手パエスが靴の修理をしていたが、修理が終わると、なんとキリオスがチチパスに靴を届けたのだ。それも靴を捧げ持ち、王子の家来がシンデレラに靴を捧げるかのように。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全豪オープン」でのジョコビッチ

(Photo by TPN/Getty Images)