前回の続きで見やすいキャッチャーを書いていこう。前回の記事>>元審判が語るプロ野球の世界。「フレーミング技術」に対する本…
前回の続きで見やすいキャッチャーを書いていこう。
前回の記事>>元審判が語るプロ野球の世界。「フレーミング技術」に対する本音
今回からは順位付けはやめて、僕個人が感じたことを書こうと思う。
まずは福岡ソフトバンクホークス・甲斐拓也選手。
この選手も見やすい捕手の一人だ。元々は育成契約で入ってきた選手で、当時は「拓也」との登録名で三軍からスタートし、今では日本代表まで上り詰めた、苦労人の選手である。
甲斐選手は入団当初から試合中によくコミュニッケーションをとってきていた。一軍の正捕手になる選手は、積極的に審判とコミュニケーションをとる選手が多い。
なぜかというと捕手は審判員との距離が近いために、審判員を味方にすると試合をスムーズに行うことができるのだ。
なので捕手は投手やチームの状況を考え、相手チームの打者のことも考え、尚且つ審判員のことまで考えないといけない、めちゃくちゃ大変なポジションだ。他愛もない話などをして審判員の機嫌や体調、その日のストライクゾーン、人間性まで見ている。
僕も気を遣わせていたのだろうか?
話を戻して、甲斐選手のコミュニケーション能力の他の強みだが、ズバリ身長が170センチと体が小さいところだ。
単純に体が小さいと判定しやすい!もちろん小さいだけでなく高い技術もありキャッチング技術も素晴らしい。
甲斐キャノンの言葉も流行ったが、肩だけではなく送球体制に入るまでの時間も早いし、謙虚な選手であったことも代表まで上り詰めた要因なのかもしれない。日本代表選手になるべくしてなった選手だと思う。
実はソフトバンクにはもう一人忘れてはいけない選手がいる、高谷裕亮選手だ。
なぜ高谷選手なのかというと、キャッチングに関しては抜群に上手く、ビシッとミットが止まるため審判員にとっては気持ちよく判定させてくれる選手なのだ。
また高谷選手も苦労人の一人で、高校→社会人→大学→プロという変わった経歴をもつ。
そのためなのかキャッチャーとしての能力もさることながら、審判員との関係性の作り方も上手い。僕自身も高谷選手が先発マスクだと「ヨシ!」となっていた。こう審判に思わせている時点で捕手として試合はやりやすくなるはずだ。こんなことは審判員にしかわからないし、数字に出ることはないが大きな武器となっているのは確かである。
今後も僕の感じた選手の特徴を書いていこう。次は広島カープの捕手について書こうと思う。
文:元プロ野球審判 坂井遼太郎