2018-2019シーズンに、シント・トロイデンで活躍した冨安健洋(ボローニャ)、鎌田大地(フランクフルト)、遠藤航(シュツットガルト)が、次々と強豪リーグのチームに移籍。彼らに続けとばかりに、2019-2020シーズンも多くの日本人選手…

 2018-2019シーズンに、シント・トロイデンで活躍した冨安健洋(ボローニャ)、鎌田大地(フランクフルト)、遠藤航(シュツットガルト)が、次々と強豪リーグのチームに移籍。彼らに続けとばかりに、2019-2020シーズンも多くの日本人選手がベルギーに渡った。

 そのひとりであるシュミット・ダニエルは、ベガルタ仙台から移籍したシント・トロイデンで第2節からフル出場を続けるなど、チームの正GKとして君臨している。昨年8月から、継続して日本代表にも召集されている197cmの大型守護神が、サッカーにかける熱い思いを語った。



シント・トロイデンの正GKとなったシュミット・ダニエル ©️STVV

--フル出場が続いていますが、昨年5月に負ったケガ(右太もも裏の肉離れ)の影響はないですか?

「もう大丈夫です。昨年だけでなく2017年もケガで離脱した時期があったんですが、その時に原点に立ち返り、自分の技術を見直すようになりました。おかげで自信を持って復帰することができたので、壁を乗り越えることができたと思っています」

--ベルギーリーグの特徴を教えてください。

「フィールド上のサイドにスペースがたくさんある印象があります。Jリーグのようにコンパクトな状態で試合が進むわけではなくて、試合序盤からオープン。そういう意味では、個性の強い選手が仕掛けることで目立ちやすいリーグですね。

また、夏を過ぎたあたりから『グラウンドが緩い』と感じるようになりました。そういった天然芝のピッチでは、強く踏み込むために”取替え式”のスパイクにして、ホームグラウンドを含めた人工芝のピッチでは”固定式”のスパイクを履くなどで対応しています」

--シュミット選手が思う、自分の”最大の武器”は何ですか?

「ビルドアップですね。ほかのプレーに関しては、正直、すべてが課題だと思っています。シント・トロイデンは練習が長いんですが、その中で至近距離からのシュートの対応など、さまざまなメニューをこなしてレベルアップを図っている最中です」

--確かに、左右の足でのキックがすごく正確ですが、かなり練習を重ねてきたのでしょうか。

「両足で蹴れることはすごく大切だと思っていて、小学4年生の頃から利き足ではない左足でのキックも練習してきました。また、すべての選手に言えることですが、正確なファーストタッチを目指しています。とくにゴールキーパーは2タッチ以内でプレーすることが多いので、蹴りやすい場所にボールを置く技術を重視しています」

--海外でのプレーは今シーズンが初めてですが、試合前にプレッシャーを感じることはないですか?

「今は試合前も試合中もリラックスできています。以前は緊張することが多かったんですが、経験を重ねて『考えすぎてもパフォーマンスは変わらない』と割り切れるようになってきました。結果は”時の運”に左右されることもありますからね。そうして自信を持つことで、自分の強みが出しやすくなり、結果としていいプレーにつながると考えています」




日本代表でも活躍が期待される photo by Sakuma Hidemi

--プレーに集中するために、普段からリラックスした状態でいることも大切だと思いますが。

「そこは、家族と過ごす時間があることが大きいです。可愛い娘がふたりいるんですが、近くで成長を見守るのは何より楽しいですね。まだ部屋の家具を揃えている段階なので、オフにはブリュッセルやアントワープに買い物に行きます。もう少し近くにも大きな街がありますから、生活が落ち着いてきたら家族みんなでカフェに行くのもいいですし、新たな発見がたくさんあると思うので楽しみです」

--チームでポジションを確立したように、日本代表でも出場機会を増やすことが目標でしょうか。

「代表に選ばれたら毎試合出場することを思い描いていたので、そのプラン通りではないですが、試合に出たら自分が与えられた役割をしっかり全うすることを第一に考えています。そうしてチームに貢献し、日本代表として(2022年のカタール)W杯に出場していい成績を残せたらいいですね。簡単にチャンスは巡ってこないと思いますが、それを逃さないように頑張ります」

--ベルギーだけでなく、ヨーロッパでプレーする日本人選手が多くなっていますが、現地での交流はありますか?

「やはりベルギーでプレーしている選手が多いですが、予定が合えば食事をすることはあります。そこでは、ヨーロッパ各国のクラブの戦術や練習方法について話をすることが多いですね」

--シント・トロイデンには、日本人スタッフも5人在籍しているとのことですが。

「すごく相談しやすいですし、さまざまな部分で助けてもらっています。ほかのチームの選手からすれば、『すぐに日本人スタッフに頼れて、何でもやってもらえる』という印象があるかもしれません。そういう意味では、ヨーロッパ組っぽくないのかもしれませんが、サポート体制が整っているのでサッカーに集中しやすいですし、そこはシント・トロイデンの強みだと思っています」

--チームは第18節を終えた時点で11位。これから浮上していくために必要なことは?

「どんな形でも勝つことが大前提ですが、そこで上がったテンションを持続して、いい雰囲気で練習をしてまた試合に臨むというサイクルができたらいいですね。チーム全員でまとまれば、おのずと結果がついてくるでしょう」

--今後の目標を教えてください。

「将来的には、イングランド・プレミアリーグの上位チームでプレーしたいという願望はあります。なるべく英語圏のリーグでプレーが続けられたらと思っていますが、英語以外の言語も習得して選択肢を増やそうとも考えています。どういった道を歩むにせよ、そこで結果を出し、欧州チャンピオンズリーグでも活躍できたらうれしいですね」