アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)の女子シングルス4回戦。 キャリア最大の勝利をサービスで締めくくろうとしていた18歳のアナ・コニュ(クロアリア)は、アーサー・アッシュ・スタジ…

 アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)の女子シングルス4回戦。

 キャリア最大の勝利をサービスで締めくくろうとしていた18歳のアナ・コニュ(クロアリア)は、アーサー・アッシュ・スタジアムの屋根の下にいた観客たちとともに音響システムから出た耳をつんざくような音に飛び上がるほど驚いた。

 コニュはトスを上げようとしていたが、その音にひるんでボールを落とし、左手を胸に当てた。ひとたび何も悪いことは起こっていないと気づくと、彼女は微笑んだ。それから、そこまでと同様の落ち着いた様子で冷静にプレーを再開し、第4シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)を6-4 6-4で下してキャリア初のグランドスラム大会の準々決勝進出を決めたのである。

 「自分に『急ぐな、試合を続けるのよ』と言い聞かせたの」とコニュ。

 彼女はのちに、試合の最後に起きた奇妙な音に怯えたと認めたが、その夜、彼女の気をプレーからそらすものはほかに何もなかった。

 コニュは一度も足を踏み入れたことのなかった世界最大級のスタジアムの屋根の下でプレーしたが、そのようなセッティングや2012年ウィンブルドン準優勝者のラドワンスカという相手でさえも、コニュの集中力を乱しはしなかったのだ。

 「今夜の自分のパフォーマンスに、すごく興奮しているわ。今夜はサービスがかなりよかった」とコニュ。「彼女(ラドバンスカ)には手立てがなかったと思う」。

 ランキングを見れば92位にすぎないが、コニュは2013年全米オープンのジュニア・チャンピオンでもある。怖いもの知らずのビッグ・ヒッター、コニュは、ウィナーの数でも38対9でラドバンスカを上回った。

 ラドバンスカの全米4回戦での戦績は、これで0勝5敗となった。全米オープンは彼女が準々決勝に進むことができていない、唯一のグランドスラム大会である。

 「今日はもうあれ以上、何もできなかったと思う」とラドバンスカ。「精いっぱいトライしたけど、今日の私はただただ動きが遅すぎた」。

 試合後の記者会見の際に、ラドバンスカはなぜ屋根を閉じたままでプレーしたのかと訝った。この試合に先立つアンディ・マレー(イギリス)対グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)の試合で少しの間、驟雨がプレーを中断させたが、すぐにやんでいたからだ。

 コニュ対ラドバンスカの試合が始まる前から、スタジアムの屋根は閉じたままだった。トーナメント・オフィシャルから理由を説明されたか、と質問されたラドバンスカは、「雨の恐れがあるから、と言われたわ。でも、雨の恐れって常にあるものでしょう」と答えた。

 彼女は屋根なしでプレーできたほうがよかったと思っているのだろうか?

 「開いていたら、何が起きていたかはわからないわ」とラドバンスカ。「ただ、なぜ屋根を閉じたままにしたのかわからないだけ」。

 一方コニュは、そのようなことは微塵も気にしていなかった。彼女は閉じた屋根の下でプレーするチャンスを得てうれしかった、とさえ言っている。彼女はそのコンディションはラドバンスカよりも自分のほうに合っていると考えていた。

 「風や太陽、気を散らされるものが何もなかった」とコニュ。「だから私は、ただ自分のテニスをプレーし、ベストを尽くしたの」。

 今年のウィンブルドン2回戦でコニュはラドバンスカと対戦し、3つのマッチポイントを握ったものの、第3セット7-7の場面で誤ってボールを踏んで右足首を痛めてしまい、結局7-9で敗れている。

 コニュは次の準々決勝で、第10シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)と対戦する。プリスコバは第6シードのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を4-6 6-4 7-6(3)で下して勝ち上がった。グランドスラム大会の準々決勝進出は、プリスコバにとっても初めてのことだ。

 水曜日に行われるもうひとつの準々決勝は、世界1位のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)と5位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)の顔合わせとなった。

 また、ドローのボトムハーフの準々決勝2試合は、第2シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と第7シードのロベルタ・ビンチ(イタリア)、カロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)とアナスタシア・セバストワ(ラトビア)だ。(C)AP